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地球の反対側への架け橋をめざして(1) 防災事業編

ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ・・。中南米と呼ばれる国々には、たくさんの日系人が暮らしています。
現地に暮らす人びとの安全安心をまもり、都道府県の架け橋をつくるための活動をしている会社があります。

建設コンサルタント会社 中央開発は、中南米でどのような取り組みをしているのか?そしてどのような価値を提供しようとしているのか?
担当者に直接、お話をうかがいました!


左から山口部長、関田部長、小林課長

皆さんが携わった中南米での仕事について聞かせてください!

山口: ブラジルで現地の市や防災局と連携して、災害の兆候や前兆現象をとらえて、災害発生の危険が高まった時に近隣の住民の方々や関係者に警報を出すためのモニタリングを行っています。

関田: これに関連して、ブラジルの非営利団体Instituto de Engenhariaから、「日本の防災技術について教えて欲しい」と要望があり、2024年6月に彼らが主催した講演会に参加して来ました。

小林: 私はお二人とは少し違って、日本にあるたくさんの観光資源や特産品、伝統芸能などを現地の人びとに紹介するイベントに携わっています。

防災モニタリング

モニタリングとはどのようなものですか?

山口: 大きく、次の3点です。

  • 土砂災害の危険性が高い場所に傾斜計を設置して、斜面崩壊の兆候をとらえて近隣住民の方々に警報を出すためのモニタリングを行う。

  • 河川に「河川管理システム」を導入し、①水位観測、②雨量観測、③ライブカメラ、で河川の氾濫前に警報を出して避難を促すほか、市民の方々に一般公開する。

  • 橋などの構造物に微動センサーを取り付けて、構造物の健全性を評価する。

山口: このうち、私たちはバルエリ市、フランコ・ダ・ロシャ市(いずれもブラジルサンパウロ州)やCEMADEN(ブラジル連邦防災モニタリングセンター)と協力して土砂災害のモニタリングを行っています。

関田: モニタリングの事業展開をするにあたり、現地のパートナー企業からIE(Instituto de Engenharia)を紹介してもらって、講演が実現しました。

どんな内容の講演をされたんですか?

関田: 次の2つのテーマです。

  • 地質DXの活用による道路モニタリング技術

  • 都市部における河川モニタリング技術

関田: 詳しく話すと長くなりますので、興味があればIEが出している記事やYoutube動画、私たちの会社で出しているプレスリリースがありますので、そちらをご覧ください。

https://prtimes.jp/main/action.php?run=html&page=releasedetail&company_id=93454&release_id=21&owner=1

講演会に参加してみて、どうでしたか?

山口: 対面・オンラインで400名ほどの方にご視聴いただき、反響は大きかったと感じています。というのも、今年5月にブラジルの最南部リオグランデ・ド・スル州で大規模な洪水が発生しました。甚大な被害をもたらしたことで、現地における災害予防への取り組みの関心が高まっていることも要因であると思います。

関田: 講演会場へは、これまで働きかけていた政府機関のほか、道路管理会社など民間企業の関係者も対面で来場してくださいました。
また、後日、この講演を視聴した斜面防災対策工事会社より問い合わせがあり、現在お話を進めていますので、大きな効果が得られたと感じています。

今回のプロジェクトを進めるにあたり、困難だったことや思い出深いエピソードがあれば教えてください!

山口: コロナ渦の影響は非常に大きかったです。約2年間現地渡航ができなかったので、時差がある中でプロジェクトを進めることは大変でした。ミーティングは、日本時間の午後8時・ブラジル時間の午前8時など双方の時間帯を考慮のうえ設定していました。

関田: 物事が計画通りに進まないことが大変でした。ブラジルの民間企業に対して飛び込み営業は通用しないので、協力者を見つけたり担当者との信頼関係構築に力を入れました。そうして得た少ないチャンスから、当社製品の良さを説明して関心を持っていただくまでには、多くのハードルがありました。

グローバルセンター、そしてお二人が目指す今後のビジョンについて教えて下さい。

山口: 現地における災害リスクマネジメントに対する関心が高まっているので、当社独自の地質DX技術を活用し、より包括的な防災・減災への貢献を目指す取り組みを図りたいです。

関田: 当社の斜面モニタリングシステムを、海外のインフラ施設管理を行っている民間企業に普及していきたいです。モニタリングシステムの導入をきっかけに、当社の総合的な地盤技術を海外でのビジネスにつなげたいと考えています。

関田さん、山口さん、ありがとうございました!


次回、>> 地球の反対側との架け橋をめざして(2) 交流事業編 に続く


プロフィール

関田 宏一
(グローバルセンター 海外技術部 海外技術部長兼防災・アジア事業開発部)
1994年入社。国内での地質調査関連部門を経て2003年より海外事業部門に所属。以降、一貫して海外事業に携わる。2021年より海外技術部長に就任。
アフリカ、中南米そしてアジアでの地下水開発プロジェクトや地盤技術関連業務、中南米での農業関連事業に携わる。


山口 達朗
(グローバルセンター 調査役)
2006年入社。海外事業部課長、同担当部長を経て、2023年よりグローバルセンター調査役。入社以来、一貫して海外事業へ携わる。
主に南米ブラジル等における防災モニタリング事業、地盤コンサルティング等のコア技術の海外展開により新興国等が抱える社会・経済上の課題解決に貢献する事業(SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」)に携わる。

※所属・役職は執筆当時のものです。

編集: 中央開発(株) 経営企画センター

https://www.ckcnet.co.jp/