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地球の反対側への架け橋をめざして(2) 交流事業編

ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ・・。中南米と呼ばれる国々には、たくさんの日系人が暮らしています。
現地に暮らす人びとの安全安心をまもり、都道府県の架け橋をつくるための活動をしている会社があります。

建設コンサルタント会社 中央開発は、中南米でどのような取り組みをしているのか?そしてどのような価値を提供しようとしているのか?
担当者に直接、お話をうかがいました!


携わっている事業の内容を教えてください!

小林: 私は、日本にあるたくさんの観光資源や特産品、伝統芸能などを現地の人びとに紹介する「日本と南米の交流事業」に携わっています。
2012年以来、都道府県と現地の日系人とのネットワークの構築を支援し、日本の特産物や観光資源を現地の方々に紹介する取り組みを続けています。携わった国々は、ブラジルをはじめ、アルゼンチン、パラグアイ、ペルー、ボリビアと多岐にわたります。

現地の方々へは、具体的にどのような紹介をしてきたのですか?

小林: 数多くありますが…今回は、一例をお伝えしますね!

  • 静岡県: 探偵ドラマを制作し、物語の中で県内の名所や特産品を紹介

  • 栃木県: 県立高校の農業クラブと現地の方々とのオンライン交流イベントを運営

  • 茨城県: お茶や納豆、果実酒などの特産品を現地のカフェに紹介

  • 愛媛県: 砥部焼の製造事業者と海外で活躍するアーティストの交流イベントを運営

  • 秋田県: 伝統芸能を現地の方々に紹介するイベントを運営、南米秋田県人会の若手会員向けリモート講座の開催

  • 三重県: 忍者体験のイベント・伊勢うどんの試食イベントを運営、三重の歴史文化を紹介する講演会の開催


特に思い出深いプロジェクトについて、紹介してください!

小林: 愛媛県の砥部焼海外交流事業が、印象に残っています。ブラジルからデザイナーを招いて実際に砥部町に滞在してもらい、窯業センターや窯元さん、地元の高校のデザイン科で陶芸を学ぶ生徒たちと、技術交流や意見交換会を行いました。
その前後には、4回にわたって、世界で活躍するブラジルのデザイナーや陶芸家に出演してもらい、ブラジルデザインなどを伝えるリモート講座も開催しました。

ー デザインのプロから見て、砥部焼はどのように映ったのでしょうか。 ー

小林: とても魅力的に映ったようです。砥部町に滞在したブラジルのデザイナーが、砥部焼の特徴の一つである呉須(読み:ごす。染付に用いられる陶磁器用の青い絵の具のこと)をブラジルに持ち帰って、現地のアーティストを集め、砥部焼の魅力や絵付けを伝えるワークショップを開催したとも聞いています。

小林: その成果品は、ジャパン・ハウス(文化庁管轄の施設)で展示されました。こうした一連の実施事業への反響は大きく、愛媛県のテレビや新聞にも取り上げられました。また、地元松山市の学校用の教材でも紹介される予定になっています。
日本には備前焼や有田焼、九谷焼など有名な陶磁器がたくさんありますが、ブラジルではTobe ware(砥部焼)が最も有名な日本の陶磁器の一つになっています。ブラジルで砥部焼への注目度が増したことに貢献できたと自負しています。

ブラジルのジャパン・ハウスで開催された砥部焼の展示会

ー ブラジルは日系移民の歴史があり陶磁器の作家が数多くいるので、TOBEのことが広く伝わったのは嬉しいことですね。 ー

小林: デザイナーと砥部市の交流は、今も続いています。今年(2024年)の9月にもブラジルの作家が自費で来日して、砥部町に3週間ほど滞在しました。
私もその仲介や手助けを行い、砥部焼の作家や高校生たちとの交流会やワークショップをボランティアで支援しました。業務外のことではありますが、とてもやりがいになっており、今後もこうした活動を続けていきたいと思っています。

その他にも色々なプロジェクトを展開されていると思いますが、特に大変だったエピソードを聞かせてください!

小林: 静岡県のPR動画作成です。今でこそ全国の市町村で行っている交流事業を展開するはじめの一歩として取り組んだこともあり、私自身も着地点がわからない中、気合を入れて取り組みました。
この時作ったドラマ仕立ての動画は、県のYouTubeチャンネルに掲載されています。

 2日間で撮影したとは思えない作品に仕上がっていますよね。 ー

小林: 限られた時間でしたので、スピード感を持ちつつ、良い作品になるよう試行錯誤しました。できるだけ土地柄が伝わるように、ほとんどの出演者を地元の方々で構成しています。
たとえば現地の喫茶店やバーの店員さんをスカウトしたり、県庁の担当者さんや私たちの会社の静岡支店長にも出演して貰っています。
静岡県の名所や誇るものなどが物語の中にさりげなく織り込まれた作品になっていますので、ぜひ皆様にご視聴いただきたいです!


小林さんが目指す今後のビジョンについて教えて下さい。

小林: 降ってくる仕事の枠を超えて、これまでの集大成となるような取り組みに挑戦していきたい、という思いが強いです。
私はブラジルで13年ほど暮らして現地の新聞記者やJICAプロジェクトの現場で仕事をしてきた経験を活かし、「自治体×海外」の業務に携わって4年目になります。
現地の資源や人材、文化や歴史を活用して、日本の社会課題や海外からのニーズに応えていくようなビジネスプランを構想しています。

小林さん、ありがとうございました!


前回、>> 地球の反対側との架け橋をめざして(1) 防災事業編 はこちら


プロフィール

小林 大祐
(グローバルセンター 担当課長)
2007年入社。大学卒業後ブラジルに渡り、現地日系社会の新聞社で編集・記者として勤務。南米各地の日本人移住地を取材して回る経験を得る。中央開発株式会社に入社後は、JICAの業務でブラジルやモザンビークなどに10年間以上滞在。コロナ禍以降は日本の自治体の南米向け業務に従事する。

※所属・役職は執筆当時のものです。

編集: 中央開発(株) 経営企画センター

https://www.ckcnet.co.jp/