
#45:住宅ローンは「変動」で借りなさい
塩澤崇氏の「住宅ローンは「変動」で借りなさい」を読んだ。
金利が上がっても、 住宅ローンは「変動」で借りなさい――1時間でわかる「新時代のお金の常識」
著者、塩澤氏について
塩澤氏、Youtubeの不動産系の番組に出ているのを数回拝聴したことがあり、明瞭で分かりやすい解説だなと思っていたので買った。明瞭で分かりやすいだけじゃなく、僕自身不動産は持ち家派かつ住宅ローンも変動金利で借りるスタンスだったので、読みたくなった。
良かった点①状況を踏まえた主張
結論としてこの本はとても良かったのだが、その理由として「変に客観的事実を並べて比較するよりも、スタンス取って話されたほうが自分のスタンスも明確にしやすい」というのがあると思う。
塩澤氏はこのタイトルの主張をするために「日本はしばらくインフレの状況となる一方で急激な金利上昇は起こりづらい」という前提を置いているので、そもそもその前提が異なる方は違う結論が導かれるはず(僕も日本の経済動向として同じことを考えている)だし、そのことを塩澤氏も認めている。
日本の経済状況を踏まえた上で、1つの説を展開している点が良い。「結局買うか買わないかは哲学だよね」的な思考停止で終わらず、スタンスが示されているのがよかった。「はじめに」にも「自分の中にロジックをもつ人は強い」と書かれている。
良かった点②変な営業本ではない
不動産について興味を持った頃、10冊ほど本を買って読んだのだが、意外と「結局自分のサービスの宣伝本かい!」というのがあった。
確かに塩澤氏はモゲチェック等のサービスを展開しているが、この本における宣伝はほぼ無いと言える。
また、例えば僕自身が住宅を買う際に不動産屋には「今の時代、年収の10倍ぐらいはローン組めますよ」と言われ「いや、それは嫌でしょ笑」と思っていたのだが、こういった点も塩澤氏は冷静な分析を展開し適正な金額を提示していて説得力があった。
良かった点③気になっていた個人的興味に突然刺さる
自宅を保有している今、そして公認会計士という職業上個別株に手を出しづらい状況、やはり不動産投資というのは常に頭の片隅にある。住宅ローンを抱えた今、不動産投資をやるべきなのか、いやできるのか、これだったら不動産投資からやっとけば良かったのでは、等、考えていたのだが、最後のほうにおまけのように内容が入っていた。
この内容があることは想定していなかったので棚ぼたでよかった。
総じて
更に金利や給与の状況について議論を深められるなと感じる部分があった、というのが気になる点ではあるが、入門書的位置づけなので十分かと思われる。むしろ塩澤氏の話や文章はとても分かりやすいので、その辺りを深掘りした本を出しても読みたい層はいるのではないかと感じた。