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#24:東大入試 VS 公認会計士試験

公認会計士試験に受かり監査法人勤務が始まると何度も言われた「東大合格に比べれば公認会計士試験なんて簡単だったでしょ」。

これについては、東大合格よりも公認会計士試験のほうが厳しかった、というのが個人的な正直な感想だ。

東大受験はすごく楽しかったと言える。英語では文法問題だけでなく小説も読ませてくれるし、現代文では近代からの思想の変遷を捉えさせてくれた。数学においても扱われるのは対称式等見た目から美しい数式が多く、やもすれば年代暗記に終始してしまう世界史も、東大入試にかかれば歴史のダイナミズムを感じさせてくれる問題が出題された。

要は学ぶのも解くのも楽しかった。世界史なんて大論述の解答を考えるのが楽しくて1970年の問題まで過去問を研究してしまったほど。世界経済の一体化や主権国家体制、1848年革命、民族自決、各帝国の盛衰、等、大好きなテーマが次から次へと出題された。「他にはどんな問題が出題されたんだろう」という知的好奇心が無限に刺激される、それが僕にとっての東大入試だった。

ところが公認会計士試験はどうだろうか。特に短答式試験の段階では「知的好奇心を満たす」というのは難しい。論文式試験になると財務諸表論の理論や企業法・税法の趣旨など興味深いものも出てくるのだが、それでも電卓を使った計算問題(変な引っ掛け要素もたくさん)やなんともいえない暗記を要する問題を解く必要があった。引っ掛け問題にはだいたい引っかかってしまうストレスもすごかった。

短答式試験の管理会計では「豆腐のカス」に関する問題が出題されたのだが、心の中は萎え萎えで「豆腐のカスに興味はないのよ」しか考えられず、読むのも嫌になって(時間もない)とりあえず「3」を塗ったら当たっていた、というレベルである。会計士として極めて相応しくない可能性すらある。

とにかく心の中は「あーつまんねー」一色だった、というのが正直なところ。こちらのポストで書いた通り生活も切羽詰まっており、これも合わせて「公認会計士試験のほうが厳しかった」というのが本音だ。もはや「これに受かればまあまあ金になる」が原動力だったと言っても過言ではない(金になるのかどうかはこれまた議論を呼ぶ内容であるが笑)。

大学入試当時もマニアックで重箱の隅をつつくような問題を出す私大は割と落ちてしまったこともあり、僕の場合は「東大に合格する頭の良さ」があったというより、「東大の問題を面白いと思える相性の良さ」があっただけ、という感覚が強い。

偏差値の数字で測れないことはたくさんあるなあと思う。

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