
#55:2024年11月香港旅行記(3)_Lantau Peakハイキング
(2)はこちら
香港に着いて3日目、HYROXの翌日。
現地に駐在して働く友人とハイキングの予定をしていた。HYROXの翌日であることを見越して、友人はいくつもハイキングプランを作ってくれていた。前日の晩ごはんをごちそうになったことも考えると、彼の優しさは底なしのように思える。
鳳凰山(ランタウピーク)
今回ハイキングで向かうのは鳳凰山(Lantau Peak)と呼ばれる山。香港で2番目の高峰であり、標高は934m。香港最高峰の大帽山(Tai Mou Shan)も957mと香港には1,000mを超える山はない。
香港は大きく分けて本土、香港島、ランタウ島、に分かれていて、ランタウピークはランタウ島にある。下の地図の左側にある島だ。

香港は実はハイキング道がたくさん整備されていて、100kmを超えるトレイルレースも開催されている、と書くと意外と思われるかもしれない。意外と大きく自然が豊かなのが香港。Trans Lantau by UTMBというレースはとても有名で、その最長部門は126kmだ。
佐敦(Jordan)から東涌(Tung Chung)へ
友人とは朝8:30に待ち合わせ、メトロで東涌へ向かった。

東涌からハイキング道入口へはバスに乗る。このバスに乗るまでの流れだけでも興味深いことがいくつかあった。
①おにぎりが人気
友人から「東涌でおにぎりが買えるよ」と言われていた。僕は海外で買えるパサパサのおにぎりなのだろうと勝手に想像していたのだが(申し訳ない)、日本人の経営しているおにぎり屋で、米はふっくら、海苔はパリっとして日本のコンビニで買えるものと遜色ない、むしろ専門店だからコンビニよりも美味しいかもしれない。

驚いたのが、この写真で分かるように、たくさんの香港人がおにぎりを求めて群がっていたことだ。ハイキングの時におにぎりを食べる、という文化が香港にもあるなんて嬉しいことだ。会社名は「華御結」(はなむすび)、おにぎりもとてもおいしかった。
②香港でのハイキング人気
東涌駅を出て登山道へ向かうバスを探す途中、色んな方面へハイキングへ向かう大勢の客を見かけた。まるでシーズンの奥多摩、丹沢を思わせるような人の出である。

香港は山の斜面にまで都会が広がっている。東涌も山に近いとはいえShake Shackもあり、一大登山グループと思しき紳士淑女の大群がShake Shackの横で記念写真を撮っていた。ややシュールであるが、香港ならではの光景と言える。

ハイキング
無事バスに乗り、急斜面を「歩いたほうが速いのではないか」と思えるスピードで登ったあと、ハイキングのスタート地点として設定していたPak Kung Auというスポット(峠)に到着した。

日本とはまた異なる植生の山を歩いていく。そんなに急なところもなく、淡々と歩けて気持ちいい。歩いていると次第に木はなくなり、美しい稜線が姿を現した。こちらの記事によると、①過去の火山噴火による堆積岩、火口岩が大半であること、②戦争による焼失、を原因として森林限界が低いようだ。
https://www.alpine-tour.com/catalog_pdf/hong_kong_nl_01.pdf

山頂に到着し、華御結のおにぎりをいただいた。「鯖の柚子風味」のおにぎりは、日本で食べたことのない味ながら本当に美味しかった。どこかのコンビニで出してくれないかな。

山頂は冷たい風がビュービュー吹いていたので、おにぎりを食べたら行動を開始した。ゴンピン360というケーブルカーに向かうため、来た道とは違う方向へ降りていく。

急な階段が続く。海外で怪我したら元も子もないので慎重に降りていった。
Wisdom Path
Wisdom Pathと呼ばれるスポットは観光客で賑わっていた。大きな木に書かれているお経が8の字に並んでいる場所で、パワースポット感と禍々しさが共存していた。中華系の方々はこういうところでも賑やかで楽しそうだった。絶対に映えないだろうと思われる自撮りも決行していた。

Wisdom Pathでは、前日にHYROXに出た日本人とばったり会った。Lantau Peakから降りてきたと話すとたまげていた。
天壇大仏
ケーブルカーの近くには大仏があった。先ほどWisdom Pathで会った日本人が「大仏の階段が大変だった」と話していて、見た目は大したことないのに登り始めると確かにきつかった。階段の途中には激しく疲弊した観光客もいた。足腰の劣化は世界共通課題と言えるかもしれない。

Ngong Ping 360(昂坪360、ゴンピン360)
東涌駅からこの大仏近くまでは、ゴンピン360というケーブルカーが伸びている。なんとこのゴンピン360、乗車時間25分、距離にして6kmとアジア最長のバイケーブル・ロープウェイらしい。
「アジア最長のバイケーブル・ロープウェイ」等と書かれると、「その『バイケーブル』を付けたのはなぜ?」と変な懐疑心を発揮してしまう。公認会計士としての懐疑心はガバガバなのに、こういうところだけは無駄に発揮するのが僕だ。
調べてみると、「アジア最長のロープウェイ」はベトナムにあるようだった。1位を取るために、「バイケーブル」を付してジャンルを絞り込んでいると分かり、全く有用性のない優越感を覚えた。
ゴンピン360の周りはちょっとしたテーマパークのようになっていて、お土産屋やスターバックス等が並んでいた。こんなところで買う必要は全くないと思われる世界共通の謎のアクセサリー屋等もあった。
昔からの親友に、変な柄の好きな変わった女の子がいるのだが(携帯電話は小さな寿司で覆われている)、その子が好きそうな靴下を見つけて購入した。靴下なのに2,500円もしたのでお土産と引き換えに何かを奢ってもらいたい。

ゴンピン360はなかなかの絶景だった。金額もなかなかのものであったが、なんせ6km、乗り終わった後には「こんなに長い距離をサッと運んでくれてありがとう」という気持ちだった。親友に対するお土産のスタンスとは異なり、なかなかに平和だ。
下山
朝からコーヒーを飲めておらず身体がカフェインを欲していたので、Pret A Mangerでコーヒーを買い、先ほど登山隊が写真を撮っていたShake Shackの隣の階段で飲んだ。
ハイキングの距離は5kmほど、そこまで激しいアップダウンもなくHYROX後のアクティブなリカバリーとしては最適だった。友人には感謝してもしきれない。
とはいえ明らかに身体には疲労感があり、頭もボーっとするので晩飯前に一度宿で昼寝させてもらうことにした。今思えば一日行動を共にする中で「ちょっと寝てくる」というのもなかなかに非常識に思える。
香港でのハイキングは色々な発見があり、本当に楽しかった。香港の他の山々も歩いてみたい。(4)へ続く。