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「わたしのいるところ」ジュンパ・ラヒリ

2022年4月12日(火)晴れ
インド系アメリカ人である彼女の書くものが好きだ
初めは好奇心の方が先に立っていたものだけど
読んでみれば意外にも
メンタリティがとても近いのです
同じアジア人だからなのか
遠く離れているのになんだか近しいような
不思議な浄化作用

今作は、イタリアに移住しイタリア語で書かれたもの
(読んだのは日本語訳ですが)
外国語での創作はより詩的になることを意味する
と私は思う
これまでの作品よりもよりシンプルで本質的な何かが
澄んだ上澄みを掬うように
読めば心に残っているのです

私は彼女と同世代だから感じる
更年期の憂鬱を静かに受け入れようとするように
友人の愚痴を聞いたり精神分析医にかかってみたり
心のひだに引っかかった
小さな日常を淡々と描く
それらは書きようによっては
残酷であったり赤裸々であったり
するはずなのに

だって若い頃に比べれば人生なんて
おおよそ悲劇的なものみたい
だのに
なんとも愛おしいのです
きっと彼女がそれらに深い愛おしさを
感じているから?

否、今気づいたのだけど
客観視させてくれるから
自分のはまっている落とし穴のようなものが
見えるのかもしれない
そしてそれすらも
少しだけ微笑ましく
思えるからなのかもしれない

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