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「アファーマティブ・アクション」は必要?やらなければいけない→創造性を高めるよい機会へ
こんにちは!シンギュレイトnote編集部です。
みなさんは、「アファーマティブ・アクション」を行っていますか?
アファーマティブ・アクションとは、歴史的・構造的に不利な立場に置かれてきた人々に対し、格差を是正する目的で一定の優遇措置を講じ、機会均等の実現を目指すことを意味します。日本では、男女格差を埋めるアファーマティブ・アクションが最たる例であり、最近では、女性管理職比率の向上や女性役員の登用推奨などが行われています。
一方で、このようなアファーマティブ・アクションは逆差別だという意見もあります。果たして本当にやるべき事なのでしょうか?
今回は、シンギュレイト代表の鹿内が考えるアファーマティブ・アクションの是非について語るコラムです。
![京都大学などの研究機関の教員・研究員として、ヒトの脳(認知神経科学)の基礎研究に第一線で従事。その後、大手人材企業でピープルアナリティクスの事業開発に取り組む中、株式会社シンギュレイトを設立。”信頼”をキーワードに、人と人との新しい関係・関係性を作り、新結合(イノベーション)を増やすことを目指す。ピープルアナリティクスの技術、学術研究などの知見を活用し、イノベーティブな組織づくりを支援している。1on1での話し方・聴き方を可視化する1on1サポーター「Ando-san」、イノベーティブな組織への変革を促す組織診断「イノベーション・サーベイ」を提供中。情報量規準が好き、漫画好き、サッカー好き。](https://assets.st-note.com/img/1718189230932-m9CN9pRp7i.jpg?width=1200)
日本の男女格差に対するアファーマティブ・アクションの現状
まずは、男女格差の解消という観点からアファーマティブ・アクションの現状を見てみましょう。ここでは、日本の会社組織における女性登用に焦点を当てたいと思います。
ご自身の会社を思い浮かべてみてどうでしょうか?おそらく多くの企業で、男性比率が高いのではないかと思います。特に正規雇用社員という括りでみると一目瞭然でしょう。実際に調べてみると、厚生労働省の企業調査によると正社員・正職員に占める女性の割合は、令和4年の調査で26.9%と男女比に大きな差があることがわかります。*1。
また、管理職においても、女性の登用が進んでいないのが現状です。2022年10月時点の調査で企業の女性管理職の割合が12.7%という調査結果もあります*2。2003年に日本政府が掲げた「2020年までに指導的地位(管理職)の女性を少なくとも30%」という目標には全く届いていません。
目標として掲げてはいても達成には程遠い、というのが日本の現状です。いまの日本社会は、だいたいどこを切り取っても男性が多い状態になっているといえるのではないでしょうか。
アファーマティブ・アクションを実践する
僕自身(鹿内)は、ジェンダー格差を是正するアファーマティブ・アクション(積極的格差是正措置)を実践しています。その中の1つが、「3人以上の登壇者がいるイベントで、登壇者の25%以上は女性にする」という取り組みです。
最近、この取り組みを実践する機会がありました。それが2023年8月にエコノミクスデザイン社と共同で始めた、Open Research Cafeというプロジェクトのオープニングイベントです。
Open Research Cafe(通称OReC)は、試行に必要な経済的・心理的コストを小さくし、研究や調査を数多く試行する場をつくることを目的に立ち上げられました。研究・調査に参加いただいた参加者と「科学の楽しさ」を共有するカフェのような場を目指しています。
オープニングイベントでは、ゲストを招いてパネルディスカッションを実施。このゲストの女性比率が25%以上になるように、ゲスト招待を進めましたす。結果的に25%以上を達成することができ、多様性に富んだパネルディスカッションになったのではと思っています。
アファーマティブ・アクションをどう捉えるか
ここまで、僕の実践例とともに、男女格差是正に対するアファーマティブ・アクションの具体例についてみてきました。
このようなアファーマティブ・アクションは、日本では「やらなければならないこと」と捉えられがちですが、私は「よい機会(Opportunity)」と捉えています。
僕自身は、この社会が創造的であること、新しいことが生まれる社会であって欲しいと思っています。そんな「創造的な社会」には、本質的な男女差はなく、むしろ両性が社会に参画することで、より創造的な社会になるとも。そして、また、創造的な社会・新しいことが生まれる社会を担う人が、「もっと生きやすい状況であって欲しい」と思います。
ですから、「女性比率が低いまま・女性登用が進まない」という状況においては、今はない機会を作るアファーマティブ・アクションは大切な活動であり、良い機会だと捉えているのです。
もちろん、一部では一様的な偏りも大事でしょう。創造性には多様性とは逆に、一様性が必要な時もあるからです。たとえば、歌舞伎は男性だけで構成されているからこそ、生まれる芸術や文化といえるでしょう。その逆もあります。このように一様性が新しいものを生む可能性もあるため、一概に男女比率を半々にすべきだとは思いません。
また、一般的に、手段の目的化は、本来の目的を見失うことに繋がるため良くないといわれています。しかし、女性登用をはじめとする中々進まない格差是正においては、目的手段的な捉え方で進めても良いのではないか、と思うのです。格差を是正すること自体も大切ですし、実際に女性比率が高まって男女比が一緒になれば、議論は一歩先に進み、より創造的な社会へ踏み出せるはずです。
アファーマティブ・アクションを、「やらなければならないこと」から、「新しいもの・創造性を高める良い機会」へ。捉え方を変えれば、取り組み方や、向かう姿勢も変わります。より創造的な社会の実現のために、前向きに実践してみてはいかがでしょうか?
*1 厚生労働省 企業調査結果概要
*2 NHK NEWS WEB 企業の女性管理職の割合12.7% 厚労省「国際的には低い水準」
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本記事は、シンギュレイトが毎週配信しているメールマガジンに掲載している代表鹿内のコラムを、シンギュレイトnote編集部が加筆修正したものです。メルマガ登録はこちらから。