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いよいよ公開!壮大なエンターテインメントの大林宣彦監督最新作『海辺の映画館―キネマの玉手箱』

 緊急事態宣言が発令した週末の4月10日に公開予定だった大林宣彦監督最新作『海辺の映画館―キネマの玉手箱』。その直前に公開延期になったことが発表され、そしてよりにもよって本来なら公開日であった4月10日、しかも宣伝の方によると、「舞台挨拶が終了する時間」に大林監督は息を引き取ったという。ガンによる余命宣告を受けながら前作『花筐/HANAGATAMI』を完成させた大林監督は、後世に伝えたい言葉を折に触れて語ってこられた。その映像は、4月に再放送され、戦争をしてはならないという強い思いや、映画の可能性を信じ、映画の未来を信じることを胸に刻み込まれた気がする。

 あれから3ヶ月、いよいよ公開される『海辺の映画館―キネマの玉手箱』は、サブタイトルに「キネマの玉手箱」とあるように、映画館を舞台に、映画の歴史と戦争の歴史に飛び込んでいくような物語。『時をかける少女』的発想で、自由に時間を行き来するが、行った先が戦争の只中なので、それはもう大変だ。沖縄戦や、広島で原爆の犠牲になった演劇団「桜隊」のエピソードも登場する。深刻な場面は深刻に、でも基本は壮大なエンターテインメントだ。大林監督自身も2役で登場。映像の魔術師と呼ばれた大林監督が、鮮烈なデビュー作『HOUSE』にも負けない強烈なイメージを与えてくれる、まさに渾身の大林節を浴びるような至福の3時間。混沌さを楽しみ、そして体に焼き付け、帰ってからじっくりと味わう。まさに映画の魅力が詰まった作品を、存分に感じてほしい。

©2020「海辺の映画館—キネマの玉手箱」製作委員会/PSC



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