映画「ぼけますから、よろしくお願いします」をみて涙する
東京都行政書士会が設立した公益社団法人成年後見支援センターヒルフェの特別研修で、このドキュメンタリー映画を鑑賞しました。
成年後見制度や家族信託とは、直接関係はありませんが、高齢化社会を考えるうえで、とても素晴らしい映画だと思いました。
広島県呉市。この街で生まれ育った「私」(監督・信友直子)は、ドキュメンタリー制作に携わるテレビディレクター。18歳で大学進学のために上京して以来、40年近く東京暮らしを続けている。結婚もせず仕事に没頭するひとり娘を、両親は遠くから静かに見守っている。
そんな「私」に45歳の時、乳がんが見つかる。めそめそしてばかりの娘を、ユーモアたっぷりの愛情で支える母。母の助けで人生最大の危機を乗り越えた「私」は、父と母の記録を撮り始める。
だが、ファインダーを通し、「私」は少しずつ母の変化に気づき始めた…病気に直面し苦悩する母。95歳で初めてリンゴの皮をむく父。仕事を捨て実家に帰る決心がつかず揺れる「私」に父は言う。「(介護は)わしがやる。あんたはあんたの仕事をせい」。そして「私」は、両親の記録を撮ることが自分の使命だと思い始め−−−
信友直子監督は、このドキュメンタリーを泣きながら撮ったと言われています。娘だからこそ、ここまで入り込んだ映像を撮れたのでしょうが、逆に、娘だからこそ、辛かったのではないでしょうか。
しかし、この極私的ドキュメンタリーは、そんな娘の視点で撮られているので、それが、見ているこちら側も、つい自分の親のことを思い出されてしまうのでした。そのため、やはり静かに涙が流れてしまうのでした。
老いは誰にも、避けては通れないものですが、なかでも認知症を患うのは本人も家族にも辛く苦しいことです。
そうなりたくない・・・と思っても、どうにもならない、そんな時こそ、家族の優しさや大切さ、介護従事者のありがたさがしみじみと感じられる、見終わった後、なんだか清々しい気持ちになれる映画でした。
そして、この映画の続編ともいえる「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~」が、3月25日から、全国順次公開されるそうです。
このやさしいドキュメンタリーの続きを、ぜひ映画館でみてみたいなあと思いました。