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【2022年1月開始ドラマ短信】『DCU』『ハレ婚』『封刃師』

『DCU』

阿部寛さんも横浜流星さんもかっこいいです。でもドラマとして特に惹かれるところはなかったなあ。若干、予感はしてたけど。第1話は拡大バージョンでしたが、今回の事件にあまり興味が持てず気が散ってしまい、途中からながら見になってしまいました。

ディープクライムユニットというネーミングも適切じゃない気がするし(犯罪集団ぽくない?)、公安の清水健治(山崎育三郎)が最初から隊長の新名正義(阿部寛)に敵対的なのがよくわからない(ながら見してて理由を見逃したか?)。なんか「敵対する勢力があるという図式を使う」みたいな風に見えてしまった。

容疑者が出国してしまう、急いでダムに潜って証拠を、っていう展開も、「容疑者が出国するから時間がないという図式を使う」に見えた。まあそれはいいとしても、ダムに新名たちが潜っている間、空港で公安の清水が待機していて、証拠が出たっていう瞬間に容疑者の元へ行って逮捕状見せて逮捕する、って、それってつまり証拠が上がる前に逮捕状出てない? 準備してなきゃ無理だよね? って思ってしまいました。そうなると、潜って捜査したのってあってもなくても良かったことになっちゃいますよね。というか、少なくとも、後から証拠を揃えても良かったってことになるので、そんなに焦らなくても良かったわけです。逮捕を分かりやすくしたいのはわかるけど、私はこういうところで「あーあ」ってなっちゃいます。やっぱり細かいところをきっちり作らなかったら、せっかくお金かけても作品がチープになります。(ながら見している間に、ここら辺の整合性が取れるようなくだりがあったのかな。だとしたら申し訳ない)

図式図式言いましたが、図式は別にいいんです。大抵のドラマは図式の組み合わせのバリエーションでできているのだと思うし。ただそれらを必然らしく見せるように細心の注意を払ってくれないと、見ている方は醒めてしまうし、作品の質も落ちてしまうと思うんですよね。

全編を貫くであろう新名正義(阿部寛)と瀬能陽生(横浜流星)が関係する過去の事件の部分はおもしろそうな気もするのですが、続けてみるかどうかは迷ってます。

『ハレ婚』

“一夫多妻制特区”という発想がおもしろい。序盤から主人公の前園小春(島崎遥香)がなんかギャーギャー騒がしい感じでちょっと疲れを感じつつも、第1話を最後まで見ました。今回はこれから一夫多妻に小春が加わります、というところまで。夫の伊達龍之介(稲葉友)のキャラが謎(ヘアスタイルも。昔の少女マンガのキャラみたい)で、なぜ小春を請うのかも謎。

まだなんとも計り知れないので、次回も見ます。(あまり騒がしいと見るのやめちゃうかもだけど)

『封刃師』

ヤバイ! これは今期一番いいかもしれない!
いや、何から言ったらいいのか…

まず、「穢刃」というコンセプトがいい。穢刃とは、人の心に溜まった闇が作り出す刀で、それを手にした者はむやみに殺戮を繰り返す(公式サイトより)。けれども、そんな説明がなくてもドラマを見ていればわかるシンプルさ。

第1話は、職場のパワハラ、アルハラを受け続けた果てに穢刃を得た者の話。この人は、例えば『西荻窪 三ツ星洋酒堂』や『スナック キヅツキ』へ行ったとしてもおかしくない。これらは悩みやモヤモヤを抱えた人がバーやスナックへ行き、優しい店主に癒されるドラマです。ストーリーの核はそれ系のドラマと同じだけれど、本作では、癒されずに溜まったものが刀となり復讐へと走らせるわけです。

その悪の刀に、主人公の封刃師・ 御沙神駆(早乙女太一)は、刀で向かうのでなく鞘のみで対する。刀を鞘で受ける「封刃」というコンセプトが新しい。

封刃師・駆は戦いの最中に鞘で相手の身体に触れ、その悪の内実を悟る。ごく普通であったはずの人が悪に至った過程を理解するんですね。然るのち、その悪の象徴である穢刃を鞘で受けて封印する。悪を糾弾したり跳ね除けたりぶち壊したりするのでなくそのまま受け止める、というのは、多分これまでのドラマにない気がします。物理的な「刀を鞘で受ける」という行為が、抽象的な「相手の心を受けとる」ということの比喩にもなっていて、今の時代においてすごく重要なことが表現されていると感じます。そしておもしろいのが、穢刃(とそれを持つ者)はカメラに写らないこと。これもいろんな解釈ができそうです。

「お前の穢れすべて受け止めた」って、いやー、ぐっと来ました。そしてもうなぜかわからないけど、駆が「穢刃封刃つかまつる」って抑えた声で言うのにうひゃーっと萌えました笑 これを聞くためにまた見たいと思うくらい。なんだろう。早乙女太一さんの声? 言い方? 両方かな。そもそも「ケガレヤイバフウジンツカマツル」っていう音の流れもいいのかも。これ叫んじゃうとダメです。別物になっちゃう。このまま叫ばないでいてお願い。

駆は悪/穢れを受け止め続けるわけですから、きっとそれなりのダメージを受けているはずで、案の定ラストあたりでその兆しが見えていました。これが後々どうなって行くのか。ヒーローにダメージがあるっていうのも萌えポイントの一つですよね。

本作は質の良いアクションエンタテインメントというだけでなく、悪を退治するというシンプルな構造(それこそ“図式”ですね)の中で新しいことや深いことをやろうとしていて、しかもそれを25分程度の中でサクッと見せる、かなり興味深い、プロの作品だと思います。

こちらは第1話の殺陣のシーンのメイキング動画です。


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