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#30【自己紹介】11 ミスコミュニケーションってこうやって起こるんだなと思った話

自己紹介も11となると、何が自己紹介なんだかよくわからなくなってきます。でも今回も、自分のでこぼこ脳の特性を痛感したので、自己紹介に分類しておきます。前回は「くらたが他人に理解してもらえなかった」怨嗟をはしたなくも書かせていただいてきましたが、今回は逆で「くらたが他人を理解できなかった」話です。


「カーブス」の研修のすごさ

くらたはカーブス会員です。元気に楽しくカーブスです。
カーブスは懐が深いです。くらたのような運動神経一式忘れて生まれてきた者もいる一方で、筋肉付けたいボルダリング部女子大生もいます。
何よりいいのは、行っただけでコーチがすごく褒めてくれること。
「こんにちは!がんばって来れましたね!えらい!」
まだ来ただけだよ!ワークアウトこれからだよ!
大人になってからこんなに褒められることありません。
かと思えば、ぬるいワークアウトをしているとすかさず飛んできて、笑顔で「ハイ腹圧入れて!もう少し早く!もう少し大きくできますかあ!」と攻め立てられます。怖い!
ちょこ〇ップのほうがたぶん割安ですが、わたしのような意思の硬度が豆腐レベルの者は、このコーチ陣がいなかったら運動を続けられません。

そんなカーブスで、新しく入社されたコーチが1か月の研修に行って帰ってきました。研修前は失礼ながらまだ慣れない部分もあったように感じていたのですが、研修を終えたら「10年前からコーチやってます」みたいな貫禄をつけて帰っていらっしゃった。カーブスの研修すげえ。どんな研修やればそんなすばらしい成果が上がるのか、ぜひ教えてほしいと思っているのでした。この数か月どこかで話したかったのですが、機会に恵まれなかったのでここで書きました。研修つながりということで。毎回ほとんど関係ないマクラですみません。

講演会に行ってきた

さて、最近、ご縁に恵まれて、いくつか研修・講演を拝聴することがありました。まったく関連のない講演でありながら奇しくもテーマは共通して、「働くこと」「他者とつながること」「自分と向き合うこと」を含むもので、大変勉強になりました。おお、セレンディピティ。
そこで学んだことはまたいずれ別の形で書くとして、自分が理解できない側になるパターンのミスコミュニケーションが起きたので、自分の今後の参考のためにここに記録しておきたいと思います。

コミュニケーションの本質

内田樹さんが繰り返し書いていらっしゃいますが、「あなたのことをもっと知りたい」は愛の言葉、「よくわかりました、もうたくさん」は別れの言葉。「あなたのことがわからない、もっと知りたいと思う」という姿勢がコミュニケーションの本質です。
また、安易に「わかるー!」と言う危険性は一般に説かれて久しいですが、「相手が言っていることを自分が本当に理解しているのか?」を常に意識したほうがいいという知見もまた、人類の叡智だと思います。完璧に書いたつもりのインタビュー記事にもたいてい本人からの修正が入ります。ちゃんと聞けよくらた!
同じ雑煮という言葉を使っても、あなたの言う雑煮とわたしの思う雑煮が同じとは限らないのです。

蛇足ですが、近年の「わかりみが深い」という言い方がくらたは好きです。「わかるー!」とは、「わたしはその話を理解・共感しています」という「わたし」が主語の話ですが、それを自制して、「わかりみが深い」=「その話はわたしにとって強い共感・納得感があります」と主語を相手・相手の話のまま整える節度、奥ゆかしさに、くらたは心を打たれます。こうした若い人の言語感覚の鋭さ、言語生成能力はすごいと思う。
ちなみに、くらたは多くの国語学者の人と同じように「正しいか正しくないか」よりは「今どのような日本語が使われているのか」に注目しています。「ら抜き」は気になりますし「重複」はちょうふくと読みたいですし、「流れに掉さす」も「役不足」も誤用が気になるし、尊敬語と謙譲語を間違えた敬語などもムムウと思いますけど、「あたらしい」という言葉は古くは「あらたし」の誤用からスタンダードになったのだと知ったら、「あらたし」とは言わない以上長い歴史の中ではわたしとて同じ穴の狢だと考えています。
話がずれすぎました。すみません。

短期記憶と聴覚からの情報操作が苦手な人間が、口頭の5択クイズに出会うとこうなる

ミスコミュニケーションの話でした。
念のため、この講演は非常に勉強になる素晴らしい内容で、講師の先生のお話も素晴らしかったと、再度書いておきます。ここからの話は、くらたの脳の特性の話です。

講演会の中で、講師からのクイズがありました。うろ覚えですが、大体下記のような内容でした。

箱があって、その箱の中は真っ黒く塗られています。
そこに、一つ穴があります。
その穴から豆電球みたいな光が見えます。
その光を見ていると、光はどうなるでしょうか?
  1 大きくなる
  2 消える
  3 増える
  4 変わらない
  5 動きだす
はい、挙手で回答してください。1だと思う人~……

心理学を学んだ方はお気づきかもしれませんが、実はこれは「自動運動」の話でした。今くらたが「自動運動」とは何かを調べてみると、

自動運動とは、「暗室内で1個の静止光点を凝視しているときに、この光点がさまざまな方向へラ ンダムに動いて見える現象」(『最新 心理学事典』, 平凡社 2013)である。

『点滅光による自動運動について』(竹内由則・荒毛将史・福崎美稔/立命館大学)

孫引きすみません。同論文によれば、この現象はパイロットの間ではよく知られた、夜間飛行中に気を付けるべき錯覚であるそうです。

この講演においては、「真っ暗でほかに何の手掛かりもないと、人間の目は1点の光を"同定”できない。自分一人だけで抱え込んで考え込むとき、これと同じことが起きる。だから一人で抱え込まないことが大切」という趣旨の話でした。実に納得性が高い話です。めちゃくちゃ役に立つ。

ただ、くらたはこのクイズ全然わからなかった。答えがわからないというよりは、前提で言われていることが全くわからなかった。
小見出しのとおり、わたしは「短期記憶」と「聴覚からの情報操作」が苦手(WAIS-IVによる)です。くらたの脳で上記のクイズを考える場合、聴覚からの情報を脳内で視覚イメージに置き換えて考えていきます。

「箱?どの大きさ?福引ボックスみたいなこと?」
「穴?講師のジェスチャー的にピンポン玉くらいの大きさか?」
「え?ピンポン玉くらいの穴の向こうに豆電球が見えるの?ていうかその箱の中に頭を入れてる前提??」
「それもう豆電球の周囲の風景とか見えるんじゃない?どういう状況??」

……という具合。パニックです。
そのうえ最後の選択肢5つはわたしには多すぎて、「4」になったときには「1」を忘れてるから手を挙げるどころのさわぎではありませんでした。

そのとき一緒に受講した先輩の言を借りれば(うろ覚え)、

あなたは電話ボックスのような箱の中にいます。
内側はすべて黒く塗られており明かりもありません。
そこに1か所だけ、向こうは見えないけど光が入ってくるくらいの小さな穴が開いています。
暗闇の中で見えるのはその穴からの光1点だけです。
その光をずーっと見ていると、その光はどうなりますか。

これで3択くらいにしてもらえば、くらた脳でも、初めて聞く場合でも理解できたにちがいない。

くらたは面接の練習で、「話すときに一文が短くわかりやすい」と褒められてうへへとニヤけたことがありますが、それは「自分が覚えておけないから長文を話せない」ということなんだろうなと今は思っています。
苦手なことは長所にもなりうるというのはほんとなんですね。

ちなみに、この特性を書くことで補ってきたためか、くらたはメモ魔です。20代のころは話している人の顔を見て会話を進めながらメモが取れました。手は口よりも遅いので書いていることと話していることにはタイムラグが生じますが、一画面に2チャンネル同時表示するみたいな感じで同時進行できました。ひとに驚かれた特技はこれくらいだったのに(地味!)、これも30代前半くらいでできなくなりました。しょぼん。今は「メモを取りたいので少し待ってください、すみません」とお願いするようにしています。

ともあれ、自分の脳の特性を改めて実感するとともに、ミスコミュニケーションってこうやって起こるんだなーと実感したできごとでした。

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