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急降下からの起死回生#サバイバル日記inベトナム ⑤

こんにちは。Chuncoです。

先日の投稿時点、私はコロナウイルスの世界的拡大と、ベトナムでの規制強化、そして引っ越し・転職と、いろんな変化がいっきに重なったことにより、自分でもびっくりするくらい不安になり、ほとんどパニック状態になっていました。

結果から言うと、部屋を変えてもらうことができてすぐに不安は解消されたのですが、人間が余裕をなくすとどんな心理状態になるのかという実体験を書いておこうと思います。

感染するかもしれないという恐怖感

これまで自分がコロナウイルスに感染することは、自分の身の危険というより、自分の年齢だと陽性でも症状が出なくて気づかずに感染を広げることのが怖いと考えていました。日本へ帰りたくない理由も、実家には還暦を迎えたばかりの両親と、喜寿をとっくに過ぎた祖母がいるから。あるいは、まだ感染が広がっていない地域に広めてしまうリスクがあるから。
ところが、新しい環境に移ったとたん、”自分も感染して助からなくなるのでは?”という恐怖心が出てきました。なぜかというと、コロナ対策として避けるようにと言われている3密(密接・密集・密室)がベトナム人の日常生活だからです。勤務先の事務所は同じ建物をローカル向けのアパートとして貸出していて、部屋が100室ほど、とても小さい部屋ですが通常2人以上で住んでいます。もともとベトナム人はパーソナルスペースが狭く、男性同士でも肩を組んで歩くほど。

また、勤務先で食事が出るのですが、大皿に盛られた料理をみんなでつつくというスタイル。普段なら屋台でも「お腹壊すかどうかは運だね~」などと言って食べるのに、そのときは”こんなの食べたら絶対に感染する!”という考えに

さらに、見知らぬ人に囲まれることによって”だれがウイルスを持っているかわからない”と、他人が危険を運ぶ存在のように感じられました。顔と名前がわかっている相手であればその人が外出していてもそんなに気にならなかったのに。世界中で中国人・アジア人差別が起きるのも、もちろん肯定はできないけど、それくらい人々にとってよそ者は恐ろしい存在に見えるのだということ。

そして、日本語を話せる人が多いとはいえ、周りはベトナム人ばかりなので、本当に感染してしまったとき自分は適切な治療が受けられるのだろうか、という不安。

快適じゃない部屋へのストレス

初日の夜をなんとか過ごしたものの、エアコンがない部屋は扇風機を回しても暑く、手に入ったマットが薄すぎてほとんど床に寝ているような硬さ。しかも床はアリだらけ。外にはたくさんの人の気配。1時間も寝ないうちに起きるのをくりかえして、翌日は熱中気味と寝不足で頭痛がして食欲もないためふらふらに。仕事にもまったく集中できません。
3食しっかり食べてよく寝て免疫力を保てている自信があれば、気持ちも強く持てます。しかし、ここでも考えは”自分はこのまま弱って感染しやすくなるんじゃ…”とネガティブな方向へ。
部屋にはシャワーとトイレしかなく、冷蔵庫やキッチンがなく、自炊して自分でバランスをとることができなくなるというのも不安材料の一つとなりました。ホーチミン市がロックダウンされる可能性もゼロではないことから(現在はレストランなどは休業命令が出ているが、スーパーやデリバリーで食糧は十分手に入る)、水や食べ物をストックして安心したい!という欲求が生まれます。こういう気持ちが増幅されると買い占めにつながるのだと思います。
またベトナムでは感染者が出た場合、マンション全体が封鎖・住人はそのまま隔離となっています。万が一、このアパートが封鎖対象になったら、この狭い部屋に閉じ込められるのか!そんな妄想から、もはや部屋が牢獄にしか見えなくなってしまいました。

悲しい世界への絶望感

連日飛び交う世界のニュース
もともとかなり感受性が強く、大きな事件があると直接関係がなくても引きずられて落ち込むことがあったのですが、最近はヨーロッパやアメリカの状況を伝え聞いて不安をあおられてしまいました。世界から見れば甘すぎると感じられる日本の対策。

そして日本の国民的コメディアンの訃報。ベトナム人にもよく知られていて、日本人もベトナム人もSNS上に志村けんさんの話題をあげていました。笑顔が必要なこのときに、とても残念なことだと思います。
そして、やはり年齢的なリスクを再確認し、日本にいる家族のことが心配になってしまいました。家族にはこちらから注意をしてはいますが、自分の目が行き届かないところで生活しているのでどこで感染するかわからない。自分が無事でも、もしも家族や友人たちに何かあったら…?今、日本で何かあっても、もはや帰ることもできない。

自分のキャパシティーを知る

たった一晩過ごしただけで、わたしは極度の不安状態に陥り部屋に居られないほどになってしまいました。部屋がせまってくる感覚がして、落ち着かなく、息苦しくなってしまう。
いくらベトナムの感染者が少ないことや、ほとんど市内感染が起きてないこと、食料の懸念がないことなどを頭で考えても、心の冷静を保てなくなっていました。

4年以上の滞在経験からベトナムの生活には慣れたつもりでしたし、今までホームシックになったこともありませんでした。新しい仕事自体には興味を持っていたし、住環境も事前に承知していて(エアコンなし・水シャワーは知らなかった)、短期間だけだからと割り切っていたはずが…。
すべてが最悪のタイミングで重なったとも言えますが(そもそもコロナ騒ぎがなければ、ここに移る必要もなかった)、心の余裕をなくすとこうまで追い詰められて自分勝手になれるんだなと思い知りました。

冒頭でも述べたとおり、体調が悪いことを伝えてすぐにとてもいい部屋に変えてもらうことができましたのですが、新しい部屋を見た瞬間、それまで真っ暗だった視界が急に晴れて、まともに息ができるようになりました。もちろん翌日から仕事にもちゃんと取り組めるように。

買い占めや差別、あるいは隔離を拒むという行為について、冷静になれという指摘はありますが、自分の身が危険だと感じたときにほんとうにそれは可能なのでしょうか。コロナウイルスのことがなくても、世界から戦争も貧困もなくなっていないのです。それは全部、人間が変わらぬ日常を守りたい自分本位な生き物だからなのではないでしょうか。

~劇的ビフォーアフター~

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部屋の広さは4畳くらい?ベッドがないので寝床は巣のよう。外に面した窓はなく、廊下から丸見えの格子(ガラスなし)は換気用か?


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もちろんエアコン、水圧の強いお湯が出るシャワーつき。キッチンと冷蔵庫も整備してくれて何の文句もないお部屋に



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