見出し画像

個人ゲーム開発でお金を稼いで自由気ままに生きていこう!!

という決断しようとしている人(特に会社に所属をせず独立しようとしている人)に対して、個人的に思うことを思うままに書きます。
あ、釣りタイトルですよ。

私はあなたの決断を止めも応援したりもしません。ただ、その決断を後悔しないものとするための記事です。

では本題。
私自身、ゲームを作って個人事業主として活動し、ゲームを作って実際に収益を得ています。ですが、無名の未経験だけど、これから自分のゲームだけを作って生活していこう!と考えている個人開発者には、こう伝えたいです。

『未経験で無名のあなたが、個人ゲーム開発だけで生活していくことは、ほぼ無理ゲーになっていく』

私がそう考える理由を、まとめていきます。

1.競争の超激化

まず一番大きいのが、小規模ゲームの環境がいま大幅に変わりつつあることです。それは、生成AIの存在です。

プログラムを書けなかった人がちゃんと動くプログラムを書けるようになり、イラストを書けなかった人が、それっぽいイラストを作れるようになりました。
ゲームを作るために自分に無かった技術を、お金をほとんど掛けずにプロンプト1つで簡単に得られるようになりました。

”ゲームを作る”ということにおいては、非常に追い風です。
ですが、”作る”と”稼ぐ”は別の話です。

”稼ぐ”という観点で見た時に、これまでよりも多くの人がゲームを作れるようになったらどうなるでしょう、答えは簡単。

競争が激化します。

「名前の知られていない個人ゲーム制作者が作ったゲーム」と、
「有名漫画家が(AIの補助で)作ったゲーム」だったり、「有名Youtuberが作ったゲーム」が同じ陳列棚に並んでいたら、多くの人はどちらを手に取るでしょうか?

生成AIが出るまでは、後者のようなゲームが生まれる可能性はほぼ有りませんでした。(野田クリスタルみたいな特殊な人を除く)

それは、生成AIが登場するまでは、ゲームを作ることのハードルがとても高かったのです。手を出せる人間は限られていました。

ですが、いまやプログラムが分からなくても、絵が書けなくてもゲームを作れる時代に急速に変化しつつあります。

そうなった時に、あなたよりも遥かに知名度のある人間が、ゲーム制作に参入したらどうなるでしょう?

テレビに出ていた芸能人がYoutubeに来て、多くの駆け出しYoutuberたちは視聴者を取られてしまいましたよね。それと同じことが小規模なゲーム制作界隈で起きると私は考えています。

未経験で初心者のあなたでも出来るということは、知名度のある初心者の有名人でも出来るということです。

また、「名前の知られていない個人ゲーム制作者が作ったゲーム」の母数も圧倒的に増加するでしょう。当然ですが母数が増えればヒットの確率も下がっていきます。
供給過多になれば、価格は下がり、売上は減ります。経済の基本です。

いまのYoutubeで生き残っている人はどんな人でしょう?
昔から続けている先行者、大きな資本がバックにある人、別の界隈での有名人、ばかりになっていませんか?

2.経済的に独立するには、ゲーム制作収入だけでは厳しすぎる

個人ゲーム制作だけで稼いで生きていこう!と思っている人は、経済的に自立することの解像度が低いことが多いと思います(失礼)。

具体的に、経済的に自立出来るのにはどれくらいのお金がいるのかを見ていきましょう。

1.生活費編

生活費のうち、一番大きいのは家賃です。
首都圏なら一人暮らしでも家賃に10万円近くはかかります。10万円で徒歩10分以上の1Rといったところでしょうか。

そして、一日の食費が1500円と低く見積もっても、45,000円かかります。光熱費、通信費などが加わると、15万円は生活費に掛かります。ここに、遊びや衣服、髪を切ったり通院するなどの費用を加えると、月18万円の出費を見積もっておくべきでしょう。

2.税金編
さらに、日本人として生きるには非常に多くの税金が掛かります💩
具体的には、所得税、住民税、年金、社会保険料の4つです。

このうち、会社員は厚生年金、社会保険料の半額を会社が払ってくれます。
しかし、個人事業主の場合は、社会保険料は全額自己負担です。また、厚生年金に入ることは出来ないため、会社員と比較すると将来の年金額が減ります。

実際の金額を計算してみます。月25万円、ボーナス無しの年収300万円を前提に考えてみましょう。
まず所得税。控除の金額によって変わるので、一概な金額を出すことは出来ませんが、目安としては、年収300万円の場合5,000円前後掛かります。

次に健康保険。個人事業主の場合は、国民健康保険に加入します。先にも書いた通り全額自己負担です。
月25万円の給与と仮定した場合、健康保険が毎月25,000円前後です。
参考:https://www.cr.mufg.jp/mycard/knowledge/23121/index.html

次に住民税
住民税は結構算出が面倒なので、こちらのサイトを引用すると、年収300万円だと年額10万5000円。月で割ると8,750円。
参考:https://www.cr.mufg.jp/mycard/beginner/22063/index.html

最後に国民年金。こちらは令和6年度では月額16,980円です。
たまに勘違いしている人がいますが、国民年金を払わないという選択肢はありません。あるのは支払いの猶予/一時的な免除、という選択肢だけです。これも失業や、学生、などの正当な理由がなければ認められません。

これらの金額を合算すると、仮に月25万円稼いでも、毎月約5.5万円が税金・年金で飛びます。
(所得税 +社会保険料 + 住民税 + 国民年金 )= (5000円 + 24,500円 + 8,750円 + 16,980円)

月25万円の収入で、税金が5万円、生活費が18万円、残る2万円を貯金。ここがなんとか経済的に自立できるギリギリのラインでしょう。

学生からしたら100万円というお金は途方もない金額に見えますが、大人になってからの100万円は、数ヶ月の生活費で消えます。
たったの100万円”です。

ここまで出費を見てきました。次にゲームを作って、経済的に自立出来るギリギリのライン、月25万円を稼ぐにはどれくらいのゲームが売れないといけないのかをざっくり見ていきましょう。

◯Steamなどの買い切りゲームの場合

まず、Steamなどのプラットフォームで販売をする場合、売上の一定パーセンテージをプラットフォームに差し引かれます。Steamの場合は30%です。100万円売り上げたら30万円をSteamに持っていかれます。

ここで仮に、半年に1回ゲームを販売して生活するとします。8番出口も制作期間約半年らしいです。半年生きるために必要な費用は、25万円×6ヶ月で150万円としましょう。

150万円の売上を出すゲームを作るには、Steamの手数料を踏まえると約215万円分売り上げないといけません。
1本のゲーム単価が仮に500円(8番出口は470円)の場合、4300本の売上が必要です。

ちなみに、8番出口の作者さんは、もともとゲーム会社で働いていたというバックグラウンドがあります。初心者が半年であのクオリティのゲームは作れません。

こちらのサイトによれば、いまSteamで販売されているゲームの売上本数(中央値)が約2000本とのこと。

つまり半年に1回、中央値を大きく突出したような売れるゲームを作らないと、生活費すら賄えないレベル、ということです。
これが1年に1回のペースのリリースなら、その倍は売れないといけないわけです。
そんな競争に、個人で継続的に生き残っていけますか?

◯スマホゲームなどの広告収益の場合
近年、スマホゲーの広告収益単価は低下しています。データ保護の観点で、ユーザの好みに合った単価の高い広告が出しにくくなったためです。

アプリの内容によって全然違うので、あくまで超ざっくりとした目安ですが、以下の記事だと、小さなゲームであれば1DLあたりの売上は10~30円程度。
ただ、これは2015年の記事なので、現在はもっと下がっていると思います。
参考:https://appmarketinglabo.net/appdata2015/

ポジティブに見積もったとして1DLあたり20円のゲームで月25万円稼ぐには、1万2500人のユーザが必要です。

毎月国技館の収容人数ほどの人間に、あなたが作ったゲームをダウンロードしてもらう必要がある、というイメージです。また、課金アイテムを売る場合、各ストアに手数料を払う必要があります。AppleStoreであれば課金額の30%が取られます。

ゲームをインストールしてもらう、というのはYoutubeで動画をポチるよりも遥かに高いハードルがあります。
それでもYoutubeには1000回再生も行かない動画が無限にありますよね。

毎月1万2500人のユーザに遊んでもらうのはどれだけ難しいか。
広告単価が下がってくれば、必要なユーザ数はもっと増えます。なのに、ゲームアプリの数は圧倒的にこれから増え続け、ユーザーの奪い合いになるでしょう。

じゃあ儲からないゲーム開発なんて、やめろって言いたいの?

違います、決してそういうことではないんです。

創作という活動は人生をより豊かにしてくれる1つの要素です。私自身、ゲーム制作を非常に楽しんでやっています。
私はゲーム制作を通じて、色んな知識や経験、人脈が出来ましたし、多くの人がゲーム制作を通じ、自身の創作性を発揮出来る社会を作りたい、と考えています。
(そういったコンセプトでゲーム開発ブログを運営しています)
https://yurinchi2525.com/

ただ、私が言いたいのは、『市場の先行者でもないあなたが、今の環境でカンタンに経済的に自立出来るくらい稼げる!』なんて思わないことです。

昨今、いろんな人やセミナーが、初心者からでもゲームを作ってお金を稼ごう!と言っているのを観測しています。
確かに、ゲーム開発に縁の無かった初心者でもゲームが作れるようになった、というのは、事実だと思います。

もちろん、現状自作ゲームだけで生活出来ている人はいます。ですが、それを言っている彼らには先行者利益があります。
すでにリリースしている複数のゲーム、技術や知識、保持しているアセットの量、ついているコアなファン、販路の存在、人脈があります。

ですが、先にも書いた通り、AIの補助による圧倒的な作品数の増加、ゲームを作れなかった人が参入してくる、という変化の中で、あなたのゲームがヒットする可能性はこれから下がる一方です。

他人より突出した能力や知名度などを持っていないのに、この確率の低い賭けに人生を全ツッパするのは超危険、というのが私の意見です。

ゲーム開発でお金を稼いで生活しよう!というモチベーションよりも、
・ゲーム制作という、1つの創作趣味として楽しむ
・ゲーム会社に就職するためのポートフォリオ作り
・潰しの効きやすいグラフィック、プログラミングスキルを身につける
・身近な誰かに面白かったと言ってもらえる
・自分のエゴや性癖の発散
というモチベーションでゲーム制作を行う方が、精神衛生的に良いと思います。

個人的な意見ですが、革新的で新しいゲームは、そういったモチベーションから生まれることが多い気がします。
世界的に大ヒットしたUnderTaleは、もともとは「自分と友だちだけのために作っていた」ゲームでした。

もちろん売れるための努力を惜しむ必要はありませんが、あなたの作ったゲームに、"たまたま"ヒットが生まれて、それがお金になったらラッキー!くらいの心持ちの方が、楽しく長く続けられるのではないでしょうか?


投資の世界では、初心者に投資を勧める本が書店に出回り始めたら、市場は頭打ちの可能性が高いと言われます。
飽和しつつある市場で、先行者が簡単に金儲け出来る方法があります、

それは、情報を持っていない人に、高い金額の情報を売ることです。
(Yout◯ber養成学校、声◯養成学校etc...)

私自身は別にそういうビジネスは否定しません。
そういったビジネスは昔からあるし、何か法律を犯しているわけでもないので、悪徳と思わないし(嘘の内容はダメだけど)、お金を払っている人、もらっている人を全く否定しません。

ただ、もしあなたが『ゲーム開発で稼ぐ講座』に、あなたの余裕資金以上のお金を払おうとしていたり、個人でゲームを作ることに人生を全ツッパしよう考えているのなら、一度よーく考え、情報を収集してほしいのです。

ゲームを作って数百万円稼いだ!という話を聞いたら、それが何ヶ月の制作費で掛けて稼いだお金なのだろうか?制作月数で割ったらいくらになるか?それは経済的に自立出来る金額を超えるようなだろうか?

一番成功した金額でその額なのだとしたら、同じ受講している人間の平均や中央値だと、どうなっていただろうか?リリースして1ヶ月はその金額稼げても2-3ヶ月目はいくらになっているだろうか?

競争が激化し、”当たる”可能性が下がるゲーム開発"だけ"で、本当に経済的に自立出来るだろうか?

こういったことを考えたり、情報収集してから、それでも本当に人生を全ツッパするべきかの判断をしても遅くないと思います。

月25万円稼ぐ最強の方法

ここまで読んでくれたあなたに、ゲーム開発だけで生活する代わりに、安定して月25万円の収入を得ることが出来る”最強”の方法を特別に無料で伝授します。
この記事を読んでいるあなただけに特別です!

これを知らない人は人生を損していると言っていいでしょう!
それは・・・

会社員になることです。

「俺は会社員として生きていくなんて嫌だから、ゲームを作って生きていきたいんだ!」と考えている人もいると思っています。
だが、そんな人にこそ、会社員になることを私は勧めます。

会社員のメリット

1.収入が安定
仮にあなたが売上を1円も挙げられない営業マンだとしても、会社はあなたに給料を払う義務があります。
いくらあなたが失敗しても、会社が責任を取ってくれるんです。

誰しも、なにかを始める時に最初は失敗します。
あなたが一人でゲームを作って、上手く行かなかったら、その責任を自分が取らないといけません。
ですが、会社員ならどんなに失敗してもいいんです。会社が最終的に失敗の責任を取ってくれるんです。

しかも、いくら失敗しても会社は給料を払ってくれます。こんな神環境はありません。
そして、収入が安定するとお金が貯まります。失敗できる環境で、経験と貯金を貯めてから独立を考えても遅くないのでは無いでしょうか?

2.将来の仕事に繋がる
会社員になることで、最低限身につけるべきマナー、仕事の進め方、本当の意味でのコミュニケーション能力が身につきます。

ビジネスというのは、あなたが想像する以上に人間関係・信頼関係によって成り立っています。
実力よりも、人間関係・信頼関係を通じてほとんどの仕事は発注されます。

仮にあなたがゲームを1人で作ろうと思っていても、他人と仕事をする機会は必ず発生します。
作業を外注したり、テスターを不特定多数にお願いしたり、企業にメールを送ったり。

他人とスムーズに協業する方法や、相手から信頼してもらえる方法を知らないと、トラブルを生んだり、あなたに協力してくれる人が減っていきます。あなたと仕事をしたくないと思った相手は、「あなたのここがダメだから仕事をしたくない」なんて、言ってくれません。
みんな無言であなたの元を去っていきます。

他人とビジネス的信頼関係を構築する方法を学ぶ一番簡単な方法が、会社員になることです。会社員なら、あなたのお作法が間違っていれば、必ず誰かが指摘してくれます。
あなたが信頼を損なうと、会社の損失になるからです。

けど、もしあなたが一人でゲームを作っているだけならば、あなたのお作法にどんな間違いがあっても誰も指摘してくれません。
気づけばあなたの周りには、人間関係の焼畑が広がっていた、そんな可能性もあるでしょう。

3.会社員属性の人間の気持ちを理解する機会を失う
ゲームに限らず、誰かに遊んでもらいたい、誰かに自分の作ったサービスを使ってもらいたいなら、ユーザの気持ちを理解する必要があります。
そして、日本の人口の大部分が、一度は会社員を経験しています。
あなたが会社員を経験しないと、これだけ人数の多い属性の気持ちを理解できないことになります。

恐らく、会社で働いたことがないであろう、なろう系作家の空想の株式会社を読んだことがあります。
私はまったく共感出来ず、即読むのをやめてしまいました(純粋に全般面白くなかったというのもあるけど)。

会社員を経験せず、会社員属性のユーザの気持ちを理解した作品を作ることは出来ないでしょう。
これはとても大きな損失だと私は思います。

一度立ち止まってから判断をしよう!

私は、いまは会社を辞めて個人事業主をしていますが、自分のファーストキャリアが会社員で非常に良かったと思っています。前職がキッカケで獲得した仕事もあります。
ですが、私のように大した能力のない人間が個人事業主だけで生活するのは無理ゲーと思っているので、貯金が尽きる前に転職か、資金を集めて起業をする予定で会社を辞めています。

自分の決めた道に勢いで突き進みたい!、若い内はそんな気持ちになることもあります。
ですが、突進する方向を間違えれば、大きなお金と時間をロスすることになります。

突進する前に一度立ち止まり、突進する方向をしっかりと決めてから突進する、もしくは突進する準備を整えてから突進する、というプロセスを踏んでもよいのではないでしょうか?

自分で狙いを決めて飛び込んだ突進先なら、後で間違った方向だと気付いた時に、どの方向に修正すればよいか分かります。

けど、誰かが示した方向に盲目的に突きんでから間違えに気づいても、次に自分がどこに向かえばよいか分からなくなるでしょう。

勢いだけで進むのではなく、ぜひ一度立ち止まって考えたり、いろんな情報を集めてみてください。
その上で、人生のすべてを賭けたい!という選択をしたのであれば、仮に失敗してもきっと後悔のない選択になるはずです。

この記事が、あなたの選択の手助けになれれば幸いです。

それでは、素敵なゲーム制作ライフを!

いいなと思ったら応援しよう!