初めてボドゲを作った日〜ゲムマ2021秋〜
ゲムマ参戦
16人。
11月20日、ゲームマーケット2021秋、初日の東京都におけるコロナ感染者数だ。
何千人という感染者がいたオリンピックのころから打って変わって、世の中は平穏を取り戻そうとしている。
2021春はさすがに参加をためらったが、ようやく落ち着いてきたこともあり、今回はあの熱狂の渦へと身を投じることにした。
ボードゲームの祭典、ゲームマーケットへと。
前回の思い出
ゲムマに参加するのはこれが二回目だ。
前回はちょうど1年前、BestAnswers(というサークルみたいなものに私は所属している)の友だちが出展するというのでお手伝いに行った。
完全に手作りということや、とある事情から大量生産が難しいという理由もあり、ほんのわずかに用意できたパッケージはまたたく間に完売。
あの頃はそんなにマーダーミステリーを出しているサークルも多くなかったし、OZONのブースもなかったので、ジャンルとしてはまだまだ歴史が浅かったのだと思う。
というわけで競争相手も少なかった。
徹夜からの、当日もまだ会場で作業を続けるという「メモリーズ・エンド」作者の度胸に戦慄しながらも、我々は午前中だけで手仕舞ってゆうゆうと会場をあとにしたのである。
そのときの記憶が私の脳裏には強く焼きついていた。
「ほしかったんだけどなあ……」と残念がるお客さんがたくさんいて、コロナ禍でも来てくれた人たちの期待に添えなかったことが、他人の作品とはいえ悔しかったのだ。
自分でパッケージ版のマーダーミステリーを作るにあたり、心に決めていた。
後悔のないようにたくさん作るぞー! と。
人狼ナイトメアのコンセプト
個人的にだが、いつでも作るものは王道を目指したいと思っている。
ニッチなものも面白いし、需要はあるのだが、自分が携われる作品数が限られている以上、すべてにおいて全力を出し尽くしたい。
ただ、技術面の問題として、あまりゲームシステムとして凝ったものを作ることはできない。
となると、いかに王道な作品を仕上げるかというコンセプトになる。
マーダーミステリーの説明としてよく使われるのが「推理小説の登場人物になれる」とか「ストーリーのある人狼」というものだろう。
いわば人狼はすでにゲームとして王道なのだ。
そして、ゲムマ向けに作るのなら、なるべく少人数プレイのものにしようと決めていた。いっしょに遊ぶ人を集めるのが大変だからだ。
そこで、人狼ゲームでありながらそのテーマを成立させるギリギリの人数ーー4人プレイのマーダーミステリーを作ることになった。
テストプレイができない!?
内容面はネタバレになるのでさておき、いちばん困ったことがあった。
それは「我々は大人になってしまった」ということである。
仕事、家庭、その他いろいろ……大人はいつも時間に飢えている。
物語を書くだけなら自分ひとりで頑張ればいい話なのだが、ボードゲームはそうもいかない。
遊びやすいようにと4人用にしたはずが、それすら人をあつめるのが困難なのである。
まあ発売前は身内でテスプを回したいなんて甘えたことを言ってるせいでもあるのだが、とにかくみんなの予定が合わない。
徹夜でスプラトゥーンに興じていた友人たちはいまやどこにもいないのである。(かくいう自分もその一人になってしまったが)
知人の知人にまで伝手を頼り、なんとかテスプにこぎつけたはいいものの、修正などの時間もふくめると入稿までほとんど余裕がない。
テスプしてくれる人は神。
そのことを忘れる日はないだろう。
箱よりハンドアウトが高い
内容物を極限までシンプルにしたかったので、カードは使わず、すべて冊子にした。
8ページと紙どりのよいページ数の冊子を5冊。いずれもB5サイズだ。
予想外だったのは、箱よりも冊子のほうがずっと高かったこと。
マーダーミステリーにおいて、いかに内容物を減らすかというのは大きな課題になっていく気がした。
QRコード読み込みタイプは、最悪あとからでも修正がきくし、いちどしか遊べないマダミスとの相性が良い技術だと思う。
ただ、それだとパッケージを買う意味が薄れる気もするので、ここぞという大事なものだけ封入するのがいいのかもしれない。
ゲムマ当日
おもにツイッターでの宣伝をしながら、ゲムマ当日をむかえた。
いっしょに出す作品は「メモリーズ・エンド」の作者ゆっきーの新作「黒百合学院」と、「悪の組織のウラギリモノ」の作者まーぼの新作「アルコホリック・メンバーズ」だ。
事前の宣伝ツイートの勢いをみると、アルコホリック→黒百合学院→人狼ナイトメアの順に売れそう。
だが悲しいことに製造数は人狼ナイトメア→→→黒百合学院→アルコホリックなのだった。
例によって黒百合学院とアルコホリックは手作りのため、20個も用意することができなかった。
結果、またもや午前中に完売した。すごい。
次回はもっと作ろうと説得したのであっという間に無くなることはない、と信じてる。
「前回が即完売だったので、今回はもうちょっと作っているかと思ってたんですけどーー次からはベストアンサーズさん最初に来ますね」
そう言ってくださった方、本当にありがとうございました。
11時から来ていたお客さんは熱心な方が多いのか、3点まとめて買っていってくれる人が多かった印象。
作品の相乗効果はある。
これはサークルの強みだと思う。
ちょっとした反省
これは大いに気づきのあったことなのだが、実は「人狼ナイトメア」はマーダーミステリーだと気づかれていなかったのではないだろうか。
マダミスを販売しているブースの並びにいたし、サークルとしてもマダミスを売っていたのでまったく対策していなかったのだが、どうやら「人狼」というタイトルはゲムマ会場にいると、人狼ゲームの一種だと思われてしまったようだ。
これは完全にうっかりで、もっとマーダーミステリーだとわかりやすいパッケージにするべきだったと思う。
仮にOZONのブースに置いてあったら(もちろん彼らの販売努力はあるのだけど)、もっと手にとってもらいやすかったのではないだろうか。
売り場をイメージして、商品を作る。
今回はそのマインドが甘かった。今後の仕事や私生活にも活かせる気づきだった。
とはいえ、全体的にすごく楽しい経験だったし、データではなくモノとして手元にのこせたのは大きな財産だった。
なにより買ってくれるお客さんの顔が直接見れたのが力になる。
機会があったらまた参加してみたいし、コミュ障をなおしてもうちょっと業界関係者とも話してみたいと思っている。
最後に、イラスト・デザインを担当してくれたあげやさんに最大の感謝を。
入稿から箱詰めまで、ぜんぶやってくださって、本当に助かりました。
おかげで「人狼ナイトメア」は誰でも楽しく遊べる、コンパクトで美しいマーダーミステリーになりました。
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