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【宮城リョータ】神様が左手で描いた眉毛【SLAM DUNK】

お誕生日おめでとう、リョータ

 映画『THE FIRST SLAM DUNK』を観た後、もし今何かひとつ願いを叶えることができるのであれば、宮城リョータに毎年バースデーカードを送りたいと思った。きっと差出人不明のカードなんて気持ち悪いだろうけれど、この世界のどこかに「生まれてきてくれてありがとう」と心の底から思っている人間がいることを生存者の罪悪感を抱えた彼に伝えたくて仕方がなかった。実際に今年の7/31に手紙をしたためてみたが、この手紙は誰にも読まれることなく5カ月たった今もパソコンの中に眠っている。
 せっかくなので、「2023年を支えてくれてありがとう、SLAM DUNK」企画の第2弾として少し修正を加えて公開してみようと思う。
 宮城リョータよ、遅くなったけれど、お誕生日おめでとう!

宮城リョータ様へ

 ウィンターカップも始まり、キャプテンとして日々忙しい毎日を過ごしているかと思いますが、お元気ですか?君たち湘北高校バスケ部のメンバーが厳しい練習の中で培った力を最大限発揮できることを心より祈っています。
 さて、私には君にどうしても伝えたいことがあります。それは君が「右利きの神様が左手で描いた特別な子」であるということです。そう思った理由は君とチームメイトの三井さんの因縁が始まった日に彼が言っていた「お前のその歪んだ眉毛が好きじゃねぇ」という言葉です。この言葉を聞いたときにとある曲を思い出しました。それは、個性的という理由で問題児扱いされた友人に向けて書かれたIUの『Celebrity』という曲です。この曲には「たとえ世界が君を厄介者だと言って落ち込ませても、私にとっては唯一無二の特別な人だよ」というメッセージが込められています。
 『Celebrity』は以下のような歌詞があります。

You are my celebrity
(あなたは私にとって特別で大切な人)
잊지마 넌 흐린 어둠 사이 왼손으로 그린 별 하나
(忘れないで、君は曇った闇の中にある左手で描かれた星の1つ)
보이니 그 유일함이 얼마나 아름다운지 말야
(あなたに見える?その唯一さがどれほど美しいのか)
You are my celebrity
(あなたは私にとって特別で大切な人)

【MV】IU-Celebrityより

 私にはこの曲に出てくる「あなた」が君であるような気がしてなりません。右利きの神様が君が大切な人たちにちゃんと見つけてもらえるように目印として描いたのが、君の眉毛だと思います。利き手では出せないラインこそが君の個性であり、無数の星がある夜空の中で唯一の煌めきを放っています。
 でも、時にその強い煌めきが厄介ごとを連れてくることもあるでしょう。転校先の中学校で出会ったクラスメイトや三井さんを筆頭とした不良たちが良い例です。でも、どうかこのことを悲観的に捉えないでほしいと思います。君に集まってくるものが玉石混交であったのは、君が自身の個性を自覚していなかったからでしょう。君が幼くして経験した出来事の1つ1つが君が自分という存在と向き合う機会を悉く奪っていたように感じます。自分を理解できていない人間が無自覚に放つ個性は時に乱反射し、本来届くはずのなかった人間に目障りな煌めきとなって届きます。
 でも、これからはちゃんと届くべき場所で君の個性は発揮されると私は確信しています。それは山王戦を経て、宮城リョータという人間の輪郭が君の中ではっきりとしたと感じたからです。消化不良なまま抱えていた過去や蔑ろにしていた自分の感情と向き合うことを通して、個性をコントロールする術を君は手に入れました。これから君が人生を通して愛していくたくさんの大切は、君が持つ生意気で、でも愛おしさの詰まった眉毛の歪みを目印にやってくるでしょう。

最後に

 高校1年生の冬、ゴミみたいな雪が降る中で君という花は踏みつぶされました。そして、高校2年生の春に桜の木の下で再び芽を出し、8月3日の嵐を乗り越え大輪の花を咲かせました。君という花が咲くまでをどうか過小評価しないでほしいです。君は、君じゃなければ耐えられないような道をたった1人で歩いてきました。
 最後に、私が大切にしている言葉を君に送りたいと思います。

 ”The self love is the best love.(自己愛こそが最上の愛だ)”

 私は君が自分自身を心の底から許し、愛し、誇りに思える日が来ることを願っています。そして、ちょっぴりユニークで、でも一等な煌めきを放つ星として大切な人たちの道しるべになってください。

コンテンツ紹介:IU『Celebrity』


 よくぞここまで読んでくれました。本当にありがとう。
 今回のコンテンツ紹介は、手紙の中に登場した韓国の歌姫・IUの『Celebrity』。これまで「左手で描いた=失敗作」と解釈していたけれども、この曲を聞いてから「左手で描いたからこそ生まれる唯一のラインが個性となる」という解釈もできると気づいた。すごく温かく愛に満ちた考え方だと思う。ぜひ、自分や身近にいるユニークな最高人間たちを想って聴いてみてほしい。そして、「あなたは私にとってのCelebrity(特別で大切な人)」と伝えてみて。

次のnoteでも会えたら嬉しいよ!
またね!

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