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チベットに行きたい-西四川省

どこで身分証明書の提示を求められるのかが鍵だった。
チベットは中国当局の取締がきつくパーミットがないといけない。
パーミットは高いしツアーでないといけないのに
ゲートは開いたり閉まったりする状況だった。
そこで、成都からバスで西に行って、
西四川に色濃く残るといわれるチベット文化を見ることにした。
そこには観光地としてではない、中国に取り締まられていない、
チベット本来の文化があるという。
そしてあわよくばチベットへノーパミットで越えようときめた。

バスで、
成都→カンディン→ダンバ→ガンゼ→シンチャン→リタン→そしてパタンへと向かう。

8日間の西四川省大爆走だった。
バスで8時間、4時間、13時間、5時間、4時間、4時間とか。 

それは3千〜5千メートル級の山や峠をいくつも超えないといけない過酷なルートだ。

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〈クラクションをひっきりなしに鳴らして走るのがポイント〉


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〈船に乗ってるんじゃないかと思うほどの〉


一つのバンに7人も8人もの人がぎゅうぎゅうに、大真面目に乗り込んだ。
車内には絶えず耳に残る土地の音楽?が流れている。

(こんな曲だった気がする↓)


目も耳も、なにかの洗脳をうけていくように。
そして体も、果てしなくつづく舗装のない道のせいで
がたがたと振動を受け続ける修行だ。



数時間走るとみんなでそのへんでおしっこをする。

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〈こんな景色を見ながら〉


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〈デスクトップの背景みたいな景色が続く〉


カンディン↓

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Konka International Youth Hostel

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ダンバ↓

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〈色使い。。!〉

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〈美人谷というところ〉


チベットにあるべきタルチョ(祈祷旗)はこうして、
西四川でもいたるとこに見られる。

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〈やはり、チベット文化がのこっている〉


しかしガンゼにて、換金していたお金が足りなかったため、
ご飯が食べれなくなってきた。
換金できそうな銀行が見当たらないのだ。

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〈誰か元をください。。〉


仕方なくとある宿のベンチに腰掛けて眠ろうとすると、
店主がわざわざやってきて言った。

●「お前ここでねるのかい
ここで寝るんじゃない。
奥の宿部屋で80元のところ50元で寝かしてやるから 」
でも昨日泊まったところは25元だったので、
ただでベンチにいちゃいけないなら昨日のとこに戻って払ったほうがましだった。しかも50元のその部屋は嘘で、一個のベットでそのおじさんと添い寝をしろという意味だった。
たまったものじゃない。
払えないをアピールすると
警察に連絡するぞと脅すので
じゃあ出ていくよ
というと、渋い顔だ。

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〈そこにいたオウムちゃん〉


普通はバス停のベンチは人が朝の便を待っていてもいい場所なはず。
明日の朝一番にバスの切符を買おうとしているのをおじさんもしっていた。
けど納得のいかないフシがあるようで、
すごい目でこっちを睨んでくる。 

会話はすべて筆談かジェスチャーを駆使され、
最終的には私の発すティムドン(わからない)でおわる
おやじは50元を譲らない。
私は1元だって譲れない。
これが30分も1時間もつづくのだった。(1元は12円)
もう自分が強い人間だとアピールすべしと思った。
私は左手を拳にして地球に見立て、
右手の人差し指でそれをぐるっと一周してみせた。
そして最初の地点の手前で止めてチャイナと言って地面を指さした。
ミンバイラ?(わかった?)       
と聞くと、ぽかんとしていたので
もう一度やってみせた。するとおじさんは笑いながらうんうんと頷いて2階に上がっていった。 

それからおじさんは、2階に上がって、興奮気味に奥さんを起こして
2人の話し声が聞こえてきたかと思うと
戻ってきて、来い、と言うので、ぐんぐん階段をのぼっていくと
私を80元の部屋に案内した。
お金はいらないと言ってくれた。

バタンとベッドに倒れて、涙がでてきた。
気がついたら朝だった。●

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〈いつか好きな人とたくさんお金を払って泊まるべき部屋だった〉

どこに向かっても1人であるのに、
人に優しくされると心の奥底の幼稚でダメな自分が暴かれるようだった。


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〈街はどんどんチベット色が濃くなって行く〉

チベットはバックパッカーの憧れの土地
でも僧侶たちはお布施をとろうとがんばってるのをみてて
自分の中で価値が少し薄れていった。

〈髪の毛売ってるのかな。。〉


***


●ガンゼからシンチャンへの道のりも
相乗りのバスだった。
大きな声で目的地を連呼しているタクシー運転手の群れにいって
シンチャン!シンチャン!といっている人に乗せてといえば良かった。
夕日が沈んで、あたりが真っ暗になり、
車中泊になった。
これで一泊浮くなあと、呑気にしていると、
乗っていた車の助手席の後ろから何やらささやく声が。。。
あろうことが、相乗りのカップルが、そこで何やらシはじめたらしかった。
運転手は近くのホテルに泊まってしまい、
3人だけだったので、私は一晩中の狸寝入りをさせられることに。
彼らは、キスをしたかと思えば喧嘩し、女は泣き出し出て行ったかと思えば
また戻ってきて、男が出ていったかと思えば、女は
クラクションをぶっ放して呼び戻していた。
そんな中寝たふりをするのもばかばかしかったが、それ以上に
中国語が話せないし、
トイレにいきたさがすごかったので
すかしっぺを頑張りながら夜が明けるのをひたすらに待ち、
はやく朝になって極力きれいめなトイレに出会えることを願った。●

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〈静寂の朝〉

***

そして、リタン。

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リタンは人口の3分の1がチベタンだった。
こんにちははチベットでタシデレーという。
チベット語で知っているのは、これだけ。
街を少し歩くだけで、高山すぎてハアハアと息があがることに気がついた。

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〈僧侶を育てる宿舎かな〉

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〈かわいい!〉

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〈そしてついてくる。。!〉


***


パタンへと向かった。(宿泊:和平酒店?)
パタンは中国の最も西の街で、そこからチベットに渡るつもりだった。
パーミットがないということを黙って密入国しようとしバンに乗り込んだ。


●悪路を行く中ドキドキで、こいつら全員裏切っているんだなと思いつつ進む。
しかし途中のお昼ごはんのためのストップにいたほかのドライバーが
私が日本人だということをきき
それはまずいということがバレる。
最初のドライバーがそういう知識を何も待っていなかったことが
不幸中の幸い?で、ここまで来てしまったんだからどうにか切り抜ける方法はないかと
若い英語の話せるカップルと他のドライバーも集まってきての会議みたいになっている。

みんなで話し合った結果若いカップルが一人の別のドライバーの車で
先にボーダーまでいって検問があるかみてそれから私の方のドライバーに連絡をする
というチームプレイをしてくれることになった。
一時間後、連絡は入らないからあきらめようと私のドライバーはいう。
私はずっと行きたかったのでこれでは気が済まないといった。
ドライバーを150元でうごかそうともした。 
地元ドライバーは10人くらいあつまってお前それすると警察に撃たれるぞと口々に言って
警察の絵の看板まで持ってきた。
そこに一人の少年があらわれた。
彼は私が中国語がわからないのになにやらもめているのに気づいて
英語で話しかけてくれた。
彼はチベットのラサから戻ってきた中国人だった。
話によるとそこにはラサに近づく程に検問があり
その数は10箇所以上でそのつど中国人IDが必要になると
説明してくれた。
その後若いカップルから連絡が来て、IDが必要になったときいた。。
そして私はノーパーミット超えを諦めた。
ここまで諦めなかったからこそ、みんなの協力があったからこそ
諦められると思った。。       ●


優しすぎる彼はその後、青年宿舎までバイクの後ろにのせて案内してくれた。

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〈壁に旅人の落書きを書いていい習わしがあるようだ〉


そこには風呂がなかったが、洗濯機があった。

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〈洗いは手動らしい〉

●そして彼は恋人よりもたくさんの品々をプレゼントしてくれた。
彼が私にくれたもの
 ガム
ペットボトル水
ペットボトルお茶
チベタン料理
BBQ
ポストカード
果物たくさん
ブレスレット
アダプター
フォトショップ
部屋代
夜ご飯代●

中国人は、マナーがない人もいるけれど、とかく優しい。
道で歩いている人がいれば必ず車がとまって、ぎゅうぎゅうの車内の中にさらに人を入れようとしてくるし、
たのんでもないのに飲み物や食べ物を、こうして当たり前のように差し入れてくれる。


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〈いい宿だったけどバイクできたから場所がわからない〉


パソコンに違法ダウンロードした?フォトショップを入れてくれている彼氏。。

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〈優しさが異次元〉


彼が去った後の宿で
彼ののこしたブレゼントに囲まれながら
チベットをあきらめた今、
これからどうしていくか考えた。


窓の外からはいってきたハチが、
青い空を歩ける不思議にとまどっている。

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〈部屋に入ってきそう。。〉


ここにきて、最後にのこる、したいことは。。。


鳥葬をみることだった。


本当にみていいのだろうか。


答えはない。



一日中考えた。
そして翌日、パタンからリタンに戻って、
鳥葬を見ることができるといわれる場所に向かうことに決めた。

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〈2匹に増えてる。。〉




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