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風の吹くまま…「葛飾柴又」
仕事の激務が続き、遠出もままならずという日々。こういう時は、身近な場所で気分転換。昨年に引き続き、この季節、『風の吹くまま、気の向くまま』葛飾柴又ワールドへ。あたかも地元の人のように、御一行様を少しご案内しましたので、ちょっとしたレポになります。
本日は、千葉側からのアプローチ!
午後から、友人知人の皆さんほか、ちょうど兵庫や佐賀から上京してきた親御さんも合流して、二十数名の御一行様の散策企画を打ちました。しかし、久しぶりに柴又行くということなら、まだ使ったことのないルートでのアプローチを試してみようということで。一足先に、柴又へ向かいました。
↓↓noteを始めた頃の記事に載せましたが…、
高砂駅→柴又駅(京成金町線)
JR金町駅→京成金町駅→柴又駅
JR金町→徒歩で江戸川の土手(約30分)→柴又
矢切駅(北総線)→矢切の渡し→柴又
この4番目のルートは、まだ未経験。かの寅さんが、20年ぶりに柴又に帰って来た時のルートでもあります。
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とは言っても、55年前に矢切駅なんかはありません。北総線は、京成高砂から、伸びており、江戸川を渡ってどんな駅かと思いきや、意外にも地下ホームでした。
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野菊の墓
駅から西へ、江戸川方面に向かいます。静かな住宅地が続きますが、ややアップダウンもあります。平野で、川を渡って、トンネルに入るというのは、台地があるということで、調べてみれば、ここは下総台地の西の端でした。
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安定した地盤、昔であれば、農作には不向きな場所ですが、洪水はないから、人はちらほら住んでいた地域です。
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しばらく行くと、西側は開けてきます。台地の際が見えて来て野菊苑公園に。ここは、伊藤左千夫の小説「野菊の墓」の舞台になった地です。
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公園からお寺につながる小さな橋を渡ると、野菊の墓の文学碑があります。
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民子は一町ほど先へ行ってから、気がついて振り返るや否や、あれッと叫んで駆け戻ってきた。
「民さんはそんなに戻ってきないッたって僕が行くものを……」
「まア政夫さんは何をしていたの。私びッくりして……まア綺麗な野菊、政夫さん、私に半分おくれッたら、私ほんとうに野菊が好き」
「僕はもとから野菊がだい好き。民さんも野菊が好き……」
「私なんでも野菊の生れ返りよ。野菊の花を見ると身振いの出るほど好もしいの。どうしてこんなかと、自分でも思う位」
「民さんはそんなに野菊が好き……道理でどうやら民さんは野菊のような人だ」
民子は分けてやった半分の野菊を顔に押しあてて嬉しがった。二人は歩きだす。
「政夫さん……私野菊の様だってどうしてですか」
「さアどうしてということはないけど、民さんは何がなし野菊の様な風だからさ」
「それで政夫さんは野菊が好きだって……」
「僕大好きさ」
真まことに民子は野菊の様な児であった。民子は全くの田舎風ではあったが、決して粗野ではなかった。可憐かれんで優しくてそうして品格もあった。厭味とか憎気とかいう所は爪の垢あかほどもなかった。どう見ても野菊の風だった。
という明治の作品ですが、なんだか、はるか遠い昔のようです。野菊苑のベンチがあっても、こんな二人の対話は聞くことはできまい、などと考えながら、台地を下りていきます。
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野菊はない・・・
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「矢切の渡し」
「野菊のこみち」が尽きると、目の前に延々と続く堤防。巨大な看板も見えてきました。
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若草萌える、土手の上に立つと、見えてきました江戸川!気持ちいい~
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ここから、土手を降りて、更に河川敷の雑木地帯を抜けていくと、見えてきました。桟橋! しかも、先客が3名も並んでいます。
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「矢切の渡し」、知る限りでは、都内唯一の渡し船。多摩川にもありそうですが、東海道の「六郷の渡し」年一回復活するとかで、常時運行しているのはココだけです。
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そして、矢切の渡しを有名にしたのは、細川たかしの演歌でした。
♬連れて逃げてよ~ついておいでよ~
夕暮れの雨が降る、矢切の渡し~
と親の心に背いて、駆け落ちしてしまう二人を歌って、大ヒットしたのは昭和58年。野菊の墓の二人の主人公が、この場所で別れを告げて、それが今生の別れになるのでした。今となっては「野菊の墓」あってのこの歌詞だと分かります。
演歌「矢切の渡し」はまさに昭和を代表する演歌!
私も、小学校の遠足の帰りのバスで、ふざけ半分で歌ったのが、「上手い!」ということで拍手喝さいを浴びてしまい、お昼の校内放送で歌わされて、あやうく!?演歌歌手になるとこでした笑
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お客さんこちらで、降りず、そのまま乗船。乗車率70%くらいで、出帆。
そして、手漕ぎかでなく、モーター、そりゃそうか。
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モーターなら、対岸まで2分もかからないのですが、矢切の渡しは、風の吹くまま、気の向くまま、直線で渡らないのでした。
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結局、5,6分かけて、柴又側の桟橋を目指します。極めつけは、船頭さんの啖呵売というか口上付き!一部、録音しましたが、あまりにもアレアレなんで、直接お聴きになってくださいませ。
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第一作の予告はこちら。是非とも、一度は観てもらいたい映画ですね!
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葛飾柴又ワールドへ上陸
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第一作「桜が咲いております。懐かしい葛飾の桜が今年も咲いております…」と寅さんの口上が聞こえてきそうな河川敷です。
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さて、今日は早くも真夏日、暑いせいか、お昼近いのに、人通りが少ないなと思ったら、どこかのおじさんが、「今日は三社祭だから、みんなそっちだよ」と。
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昭和の空気をそのまま残す
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本日、お昼はどちらにも入らず、駅前の「三河屋」さんへ。
このコロナで、駅前は激変。綺麗になったのは嬉しいですが、広々とした駅前がなくなってしまいまして…。
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散策~参道から山本亭へ
集合まで、駅前のベンチでくつろぎながら、行き交う。野球の少年団の自転車が通り、目の前のたこ焼き屋のおやじさんは「あっちーな、早く帰りて~よ~」柴又ワールドが広がっております。
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そうそう、このさくらの履いてるサンダル。小細工あるんです。
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駅前にて集合して、再び参道へ。やはり、いつもより閑散としています。
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帝釈天の門前から一時解散で、皆さん、食べ歩きのため、1時間弱の自由時間。
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個人的におススメの草団子屋は「吉野家」。草団子、幕末とか明治には本当に江戸川の土手でよもぎを摘んでいたのだと思いますが、こちらは長野県の松代のよもぎを使用。ヨモギをたっぷり使っているので、濃厚草だんご。
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皆さんにお勧めしたら、即行列。通りがかりの人まで、思わず並んでしまうという群集心理笑
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帝釈天、見どころは、まずこの山門。門に掘られている彫刻はかなり凝っていて、見応えがあります。日光の東照宮を模して名棟梁により造られたと後から知りました。
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そして、もう一つ挙げるなら、この門かぶり松じゃないかと。しかも、垂直、四方にのびているという、なかなかの作品です。
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と、こちらが松に感動していたら、今日、一緒に同行して来てくれていた顧問の牧師はおみくじ引いてました笑 おいおい、牧師もおみくじ引くのか笑。「大吉」良かったW
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和洋折衷のお屋敷「山本亭」
帝釈天から歩いて3分。かつての地元の名士のお屋敷。和洋折衷で、売りは、日本庭園ランキングで3位になったことがあるというところで、全面的にPRしています。
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今回、初めて内部を拝見、家屋は予想以上に広くて、確かにお庭も立派。ちょっと、足立美術館とはスケールの差はありますが…。
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ここから、江戸川の土手の上に登って、再び、江戸川と柴又の街並みを眺めて、いよいよ、寅さん記念館へ
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寅さん記念館&山田洋次ミュージアム
こちら、映画「男はつらいよ」の撮影がひと段落した後に、松竹の撮影所からセットを移設しています。内部は「とらや(くるまや)」、そのものです。
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このスペースがおすすめ。昔の客車を模したボックスシートで、寅さんの汽車旅、啖呵売などを観れます。満員御礼。
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最後は、壁一面に50作分のポスターやマドンナの映像が流れます。女優さんたち、今となって大女優ばかりですが、一緒に来た20代の女性たちはもうほとんど、一人も、分からないという現実^_^;
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山田洋次ミュージアム
こちらは、併設されている山田洋次監督のミュージアム。初期の映画はさすがに見ていませんが、寅さん以外では、「学校」とか「武士の一分」とか良かったなぁ~。
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「(学校の)先生は、いつから勉強しか教えなくなったんだ」ってセリフがありましたっけ。
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山田洋次監督の中期以降の映画は、テーマが「家族」というのが多いんですよね。「家族」について思いを巡らせるなら、是非この場所で…
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遠方から来てくれた親御さんにはいたく喜んでもらえまして、良かった!
懲りずにまた来てください!若い人には「寅さん観てね」とPRして、エンディングの富士山のように、晴れやかに解散!
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