秋の日帰りはこれ!勝沼のぶどうと温泉
秋の日帰り旅として、ほぼ毎年通っている山梨のぶどう園と温泉を紹介します!個人・家族でも良し、小グループでも良しのルートです。果実の恵み、温泉の恵み、山梨の風をお届けします~
アクセスは中央線か中央フリーウェイか…
山梨行くなら、当然、新宿駅から「あずさ」とか「かいじ」なんじゃないですか?!というところですが、執着薄い?ゆるい?テツ、かつユーミンをコア世代より少し下の世代にとっては、「中央フリーウェイ」の存在は無視できないのでした(^^;
中央高速で行くのであれば、これまた、ユーミン(荒井由実)か、ハイ・ファイ・セットか、甲乙つけがたく…。右に見える競馬場、左はビール工場を眺めながら、八王子まで進みます。どちらがお好みですか?
中央本線(中央東線)を使うのであれば、この時期であれば、臨時で勝沼ぶどう郷駅(かつては『勝沼駅』)に止まる「かいじ」が最速です。この季節だと、あずさ「かつぬまぶどうまつり号」もあるらしい。しかし、急がない旅なら、下記のような選択肢も…。
中央特快で「高尾」、「高尾」から鈍行で「勝沼ぶどう郷」
都内から新宿線・京王線直通で「高尾」、「高尾」から鈍行(最安値)
朝一番、東海道線下りで「富士」、身延線で「甲府」、中央線上りで勝沼という一筆書きの超ロングコース
あずさ1号(白馬行き)で「大月」まで、「大月」でそばを食べて、小淵沢行きの鈍行(少し贅沢)
ちなみに狩人「あずさ2号」、実際は上り列車。ゴロが良かったので、アレンジしたんでしょうね。古ネタばかりで、すみません。
横浜線を使っていた「はまかいじ」はいつの間にか、無くなってました…。
八王子・高尾から甲府盆地まで
中央高速は秋の土日は、もう調布あたりを中心に大渋滞なので、なるべく早めに出かけましょう。八王子市内に入り、ジャンクション手前から一気に山手に入って行きます。中央線もしばらく25‰の急こう配が続きます。
小仏トンネルを抜けると、一旦神奈川県に入り、高速も、中央線も相模湖の左岸を走ります。中央線はトンネルも多く、山あいの車窓なので、イマイチだなぁ~、なんて本でも読み始めると、酔ってしまうので、要注意。昔の振り子電車は、正直、かなりきつかった。今もE353系は気を抜くと酔います…。
中央線は、上野原から眺め良好の鶴川の高い鉄橋を渡り、桂川沿いを西へ。中央高速は旧甲州街道に沿って山の中腹を走ります。坂に弱い鉄道はこのようなルートになるしかありません。
日本三大奇矯の猿橋の側を通ります。昔は車窓から猿橋が見え、複線化で路線が付け替えられてからは見えなくなったようです。大月の手前、右手に巨大な岩肌が現れます、こちら、いかにも落とし難い様相の山城、岩殿城跡。武田勝頼が織田・徳川に追われて、小山田信茂のこの居城に向かったが、信茂がその途中で謀反。残念な死を迎えることになります。
大月を過ぎると、中央線最大の難関箇所に突入していきます。昔中央線は初狩、笹子、勝沼(現勝沼ぶどう郷)と3か所(地図青丸)もスイッチバックが続きました。今は初狩駅に名残が見られます。小さなカーブも続きます。
中央高速と共に笹子トンネル(約4.7km:赤矢印)を抜けると、甲府盆地まであと一息。甲斐大和を過ぎて、トンネルを抜けると、勝沼ぶどう郷。この先、甲府盆地を左に見ながら(オレンジ色矢印)、山際を下っていくここからの眺めは関東屈指の車窓で、晴れていたら、四季に関わらず、爽快な景色が続きます。大好きな車窓の一つです。
おススメのぶどう園「古柏園」
駅前にはぶどうの木の棚があり、この季節には実っておりますが、勝手に採ってはいけません。そもそも、梯子なければ、高すぎて獲れない。
さて、今回ご紹介するぶどう園、もう30年近く前に訪ねてから、お世話になっている園です。名前は、「古柏園」。駅からは平日であれば、迎えに来てもらえそうですが、9月の土日は事前予約しないと入れないくらい人気のあるぶどう園です。駅から徒歩でも行けないことはないです。
勝沼ICからも近く、ブドウ狩りの銀座通りのようなエリアの只中に古柏園はあります。このあたりは、こちらを見ても、あちらを見てもぶどう園ばかりです。
勝沼のぶどうの栽培は先ほどの句碑にもあったように、もう江戸時代からや行われていたようですが、本格的には明治以降のようです。ワインの製造のために勝沼の若者をヨーロッパに学びに行かせたこともあるくらい。歴史的にも、またぶどうに懸ける想いも熱いのでした。
ぶどう狩りはシーズンがあり、山梨であれば、7月下旬から10月末くらいまで。店頭で並ぶのぶどうの通り、小粒のデラウエアから始まり、次に巨峰系、その次はシャインマスカット、次は「甲斐路」など新しめの品種となります。最近は、冬でも春でも輸入物のぶどうも並びますが、やはり日本の旬のものには敵いません。
毎年9月の上旬に行きますが、理由があり、その時期であれば、下記の通り、巨峰系とシャインマスカットあたりを両方味わえるためです。
今年の夏は暑かったので、シャインマスカットは、9月初旬でも十分甘く、かつてないくらい美味しかった!そして、巨峰系では、巨峰やピオーネは有名ですが、ここでは、「藤稔」という巨峰の孫にあたる品種があります。こちら、刈り取ると実が枝から離れやすい品種のため市場にはあまり出回らないのです。東京ではほとんど見かけません。しかし甘さと酸味も程よく、香りが絶妙で、一度食べたら忘れないぶどうです。是非、食べてみてください~、園内はこんな雰囲気。
「主はぶどうの木」
ぶどう園に来て、まじまじとぶどうの木を見てみると、本当にスゴイなと驚かされます。というのも一本のぶどうの幹から、どれだけぶどうの実を実らせているのかということ。例えば、下の写真、一本の幹から、写真に写っている範囲の、ゆうに4-5倍は一本のぶどうの木から実っています。
このような棚で栽培している国は日本以外は知らないのですが、神秘的でもあります。
讃美歌で「主はぶどうの木」という歌がありますが、これは、以下の有名な聖句から作られている讃美歌です。聖書に様々な動植物が登場しますが、ぶどうはその中でも、代表的な植物。喩えをもって、イエス様が話した一節です。
この箇所のちょろっと解説をすると…(noteで聖句解説は初!?笑)
・わたし=イエス様(イエス・キリスト)
・わたしの父=農夫=神様
・あなたがた=その枝=イエス様の弟子たち
ということで、イエス様が弟子たちに私に繋がっていなさいと話しています。つながっているとは、どういうことか…。
人間の肢体もつながっていてこそ、機能発揮するように、ぶどうの枝のようなあなた方もぶどうの幹(私イエス)につながっていてこそ、水がめぐり、栄養が行き渡って、生きる。だから、私と離れずに、共に過ごそう、私(イエス)が教えるから、苦楽を共にして、喜びも悲しみも分かち合おう!
枝に行き渡り、めぐるものは、私があなたたちに伝える御言葉すなわち「真理」だ。幹は直接、実を実らせることはできないけれども、生きている枝は、たわわに実らせることが出来る。ぶどうの実は、あなたがたの「行いの実(実践)」だ。
ぶどうの実については、他にもいくつかたとえられますが、ザクっと言えば、こんな内容になります。この一か所の聖句で、説教がいくつも出来るくらい深~い、聖句なのでした。
かつて、ある牧師先生と一緒にここを訪れた時、このようなぶどうの木を見つめながら、「このぶどうの木は、実を実らせてこそ、価値がある。この(くねくねとまがった)ぶどうの木を一体どこに使うだろうか…」と。
なるほど、家の柱や木材にも使えない木だ、幹も枝も実を実らせてこそだなぁと、痛く感心したのを思い出します。
ということで、そんなことを考えながら、ひたすら1時間の時間制限の中で、高級ぶどうを食べまくるのでした。ぶどうを食べると、夏は疲れは吹っ飛びますので、思う存分、天の恵みを頂きます。
ぶどうの丘「天空の湯」(電車の方)
さて、お腹がいっぱいになったところで、昼ごはんというところですが、古柏園でも、バーベキューとかほうとうとか食べることもできます。ただ、即はお腹に入らないですね(^^;
ということで、移動しつつ、次に目指すは温泉です。
電車で、ブドウ狩りにいらした方は、園の近くにある、ぶどうの丘が良いでしょう。ぶどう・ワインをはじめ、お土産の店、食事処から、宿泊施設まであるという充実ぶりです。
温泉は頂上付近い湧いているということですが、日量200トンというかなりの湯量。一体どのくらい掘ったのか、盆地内だから、そこまで掘らなくても出たのか分かりません。PH9.5で入ればすぐに分かるアルカリ泉です。
甲府盆地を東の端から西側を一望できるロケーションで、開放感MAX!
絶景露天風呂「ほったらかし温泉」(車の方)
車で来た方は、甲府盆地の温泉で最も有名な「ほったらかし温泉」まで足を延ばすのが良いでしょう。車で30分弱、石和温泉の東側を通り、フルーツ公園内を通過、さらに狭い急坂を登っていくと、「ほったらかし温泉」です。
こっちの湯は正面に富士山が見える落ち着いた感じのお風呂。あっちの湯は、こっちの湯の倍の広さで、開放的なお風呂です。
なぜ、ほったらかし温泉なのか、ですが、創業当初は、ほったからされ状態だったからでしょう。施設はややおんぼろですが、そこまでひどくはなく、脱衣所も清潔に保たれています。
この時期だと、湯舟の外は草ぼーぼー、コオロギの音が聞こえたりして、まあこれはこれで良し。絶景は言葉が必要ありません。さらに泉質は、天空の湯よりもさらに強いアルカリ性単純泉で、お肌はツルツルになるのでした。
軽食を食べられるところがあり、温玉揚げという名物もあったりして、湯上りのお腹も事欠きません。
旧勝沼駅ホーム跡
ということで、車であれば、このまま勝沼ICから中央高速に乗って、談合坂あたりで、休憩してのんびり帰るのが良さそう。夜の中央高速も楽しみつつ。
電車であれば、ぶどうの丘からは下って、勝沼ぶどう郷駅まで、徒歩20分。ぶどう畑の合い間をのんびり散策しながら歩いていくと、鈴虫の声なんかも聞こえてきます。
現「勝沼ぶどう郷駅」の手前には、旧勝沼駅ホーム跡があります。これは中央線が単線時代のスイッチバックの駅で、後に現ホーム(勾配25‰)なりました。
駅周辺には、静態保存の車輌と鉄道遺構もあるので、ついでにご紹介。駅の南側に少し歩いたところには、かつて中央本線で主力で活躍したFE64が保存されています。クラウドファンディングで、再び動かそうとしているようで、実現するか?!
EF64からさらに奥に歩いていくと、旧大日影トンネルの遊歩道が見えてきます。平成9年まで使われていましたが、現在は新大日影第2トンネルが通り、遊歩道になりました。しかし、今は老朽化で安全が確保できないため、通行禁止。こちらも遊歩道で良いから、中を覗いてみたいですね。
ということで、再び、駅に戻って来て、上り列車を待ちます。ぶどう狩りの帰りのお客さんたちの片手には、みどりの網目の手提げにぶどう入れて帰路に着きます。
ゆらゆら揺れる「かいじ」は眠りを誘い、気がつけば、新宿のビル街の明かりが見えて、あっという間に都会に舞い戻るのでした。 (2023.9)