春の外房(鴨川温泉・太海・御宿)を巡る旅①
3月も半ば、かねてから行きたいと思っていた太海の旅館の予約が晴れて取れました。二日目はノープランでしたが、思いがけずのプランニングが舞い降り、晴れやかな春の外房のひと時をお届けできれば、と綴ってみます。
外房への旅は特急「わかしお」
国鉄エル特急が全盛期の世代の人にとっては、房総への旅は総武線地下ホームからでしょうか。
何の疑いもなく、東京駅からの切符を買ってましたが、今は土日に「新宿しおさい」というのが総武線各駅停車の線で、走っておりました。新宿発の急行・特急は昔もあったようで、さらに遡れば、我らが内田百閒先生も、両国から千葉方面への汽車に乗っています。
目まぐるしい房総特急の変遷はともかく、今日は東京駅からスタート。京葉線のホームから出発です。久しぶりの京葉線ホームは、遠かった。こんなに距離があったかと思うほど、逆方向に向かう人並もかなり多く、しかもその半分くらは、ディズニーグッズを持っており、金曜の午後ですが、どれだけディズニー行っているのかと感心するくらい…。
さて、特急「わかしお」安房鴨川行き、前より2両が自由席、後ろ3両が指定席ということで、5両編成。いつからこんな短くなったのかと、房総方面のへのニーズの現実を見るのでした…。(ただし、時間帯・日時によって編成を変えたり、途中から増結したりしていて、合理的に運用している、というのは後から分かりました。)
念のため私が初恋テツの小学生の頃の、「ごお・さん・とお」=昭和53年10月(1978年)のダイヤ改正の時刻表で確認すれば、千葉・房総方面のエル特急はすべて9両編成。うち、5両が自由席。↓やはりこちらの方が絵にはなりますね。
京葉線ホームを13:00に出発。あっという間に地上に出て、運河を横切り、荒川、旧江戸川、江戸川と渡り、一番、驚いたのはスピード。なんと、蘇我まで、33分。
蘇我から少しなだらかな山手を走り、景色も徐々に変わります。土気から大網までに一山超え、減速はあまり感じられず。大網からは、九十九里の内陸部の広々とした田畑を眺め、直進南下して、大きく左にカーブして茂原着。ここまで、53分!
茂原からは南側の山地が海岸に迫り、外房線も南東の方に進みながら、海に近づき、上総一ノ宮到着、ここまででちょうど1時間!ここから都心まで特急で通勤されている方もあるのでは、という速さです。
御宿、勝浦過ぎると、ようやく海が近くに見えてきます。
勝浦、安房鴨川から太海へ
勝浦から安房鴨川も、外房らしい景色が続きます。
狭い入り江の集落、太平洋に面した白い海食崖や岩礁は外房に来たよぉ、という実感が湧きます。
安房小湊を通過して一気に、視界が開けて、安房鴨川に到着です。ここまで、1時間52分。2時間を切っています。
「ごお・さん・とお」のエル特急「わかしお」は安房鴨川まで2時間26分。今は、30分以上縮めています。京葉線と車両のスピードUPが大きいようです。
安房鴨川から太海までは内房線に変わり、太海まで一駅です。
着きました、太海駅!
駅周辺はがら~ンとした感じで、特にこれといったものはありません。
と思いきや、駅はなんか斬新な、デザイナーズ駅舎!
アンビバレント?!な太海駅周辺
さて、今回、太海を選んだのは、春の外房の「気になる旅館」があったのと、もう一つはつげさん(つげ義春)の訪れたところということで、来てみたかったのでした。
つげさんの漫画に触れたのは大学生の時(と言っても「ガロ」をリアルタイムで読んだのは、はるか上の世代)。ハマっている友人がいて、その影響。
ということでどんな街が展開するかは、興味深々なのでした。
そもそも、太海駅も↓を想定してましたが、↑昨年こちらになったとか(^^;
さて駅を少し下り、国道にかかる横断歩道には謎の待合室。バス停があるわけでもなく…。
5m四方で繰り広げらるアート?は、すでに、「つげワールド」に肉迫している。すごい世界観…笑
駅前の町並みは、ややうらびれた感じですが、店はしっかり開いています。古風な郵便局に、レトロな薬局。
こはら荘、こちらは太海の唯一の温泉だったらしく、是非とも入りたかったのですが、すでに閉業、残念orz…
ということで、明るい現代アート!?と鄙びた街と自然が混在している、独特の雰囲気に浸りながら、宿を目指します。
投宿は「よしのや」
旅館に到着するも、"し"がお出かけ中?かつ玄関扉も故障中で手動でしたが、気持ちよくご主人にお迎えしてもらいました。
部屋に通してもらえば、目の前が砂浜じゃないですか!
窓を開ければ、左右いっぱいに広がる砂浜。このまま、ずっと座っていたいと思うくらいの、心地よい海風と潮騒。しばし潮風をどうぞ。
さて、散歩に出る前に、一番風呂に入らせていただきました。
泉質は単純硫黄泉に近いようですが、冷泉なので、加熱、硫化水素濃度が濃いということで加水になります。弱アルカリ性で、ほのかな硫黄の香り漂うお湯でした。
ご主人に伺ったところ、旅館の組合でタンクローリーを購入して、山から運んでいるとのこと。火山帯じゃないので熱いのは出ません、とはおっしゃる通りで、房総半島で硫黄泉に入れることだけでもびっくりです。
ということで、体があったまったところで、この後、太海の漁港の方に散歩に出かけます。(つづく)