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電撃!上州・湯宿温泉&SLみなかみ①

シリーズ何回目か数えてませんが、電撃シリーズ!何が電撃かと言えば、会社が終わってから、そのまま、現地にいくというだけのこと。しかし、夜行列車やブルートレインなきあと、新幹線という文明の利器を最大限活かし、会社帰りにヘルシーな心を保つには、なかなかの旅の形じゃないかと。今回は、ひなびた温泉場としては、有名!?な湯宿へGO。

夜7時には、湯宿ゆじゅく温泉に

吾らがテツの祖、内田百閒ひゃっけんの親?は東海道線に乗る時に、東京駅があるにもかかわらず、東京ではなく、新橋から乗つた、と何かで読んだ気がしますが、北に行く時には、東京駅ではなく、やはり上野駅がイイ!
金曜の夕方会社を終えて、山手線で、上野へ。

北へ向かうには、上野駅から乗る 中央改札は今も昔も変わらない雰囲気で
かつてはこの地下ホームから、北へ向かう夜行や特急が溢れかえってました こちらでお弁当購入
上越新幹線 たにがわ 自由席はガラガラ
新幹線でよく食べるバランス弁当!

日が暮れて、月夜野の街が見えてきて、赤谷川橋梁の大きな橋を渡れば、上毛高原駅。もともと、上毛高原という地名はなかったようで、JRが観光目当てで、作った地名。駅周辺は確かに「高原」のような高台にあります。

上野から1時間強で到着
群馬は谷川岳、みなかみ、老神、猿ヶ京・法師など山や温泉地へのハブのような駅

街道沿いの古い家と共に、田園風景が続き、完全に日も暮れて、バスの乗客も途中から、自分一人。

真っ暗なバス停にぽつんとひとり
バスは右の国道を通り、湯宿温泉は左側の路地のようなところにあります 左は「太陽館」
時間は18:59、既に静まり返っている 温泉場には見えないですね
本日の宿 暗くてすみませんが、これが湯宿っぽい

湯宿温泉のご紹介

先ほど路線バスですが、終点は猿ヶ京温泉、さらに町営バスで奥に行くと、法師温泉というこれまた秘湯というか、今となっては有名になりすぎてしまった法師温泉長寿館があります。

上原兼と高峰三枝子のCMで有名に フルムーン、懐かしい~

一度、この法師温泉を訪ねた時に、この路線バスの途中で、二人の男性が降りました。「えっ、ここに何があるの?」ということで、あとで調べて気がついたのがこの湯宿温泉でした。ここは昭和40年代に各地の鄙びた温泉を渡り歩いていたつげさん(つげ義春)も気に入ってしまった温泉場であり、以下がそれにふさわしい紹介文でしょう。

上越線に乗って水上温泉の二駅手前、後閑ごかんという駅に降り、バスで三国街道を真っすぐ20分ほど行ったところの湯宿温泉がそれであった。湯宿というから湯の出る宿場かと思ったら、その通りで、三国峠を登り下りするのに昔の旅人はこの湯宿で休憩をしたらしい。バスを降りたところは、大型トラックが疾走する殺風景な街道の町といった趣で、温泉らしさがない。温泉であるということを表示するものもない。ただほこりをかぶった家並があるだけだった。人に尋ねてみると、家並の裏手にもう一本旧三国街道が並行しており、そこが温泉だと言う。行ってみると、車も通れない細い道が一本あり、やはり家が並んであるだけで温泉らしさがない。わずかに宿場らしい面影が残っているが、衣料品店があり、魚屋があり、八百屋がありごくありふれている。古びて傾きかかった家も多く、全体的に貧しいなァといった感じだ。人の姿もなく路地は陽も射さず暗くひっそりとしている。すべてが沈滞してるといった雰囲気だ。本当になにもない。これがどうしてぼく向きなのだ。
 小さな駄菓子屋があったので、覗いてみると、小枝をぶつ切りにした昔懐かしいニッキがあった。今どきこんなニッキがと驚き、一瞬、この町は時間が停止しているのではないかという錯覚を起こしそうになった。駄菓子屋の老婆に宿をたずねると、それでも七軒あるという。でも若い人はこんなところに泊まらずに、この先の猿ヶ京や法師温泉に行ったらどうかと言う。ここは年寄りしかいないと陰鬱そうに呟いた。

つげ義春 貧困旅行記 

とまぁ、この前文も「なんにもない」が強調されており、さらに言えば、今は衣料品店も魚屋も八百屋もありません。宿は辛うじて、4軒ほど残っています。共同浴場は4軒あり、これはつげさんが歩いたときと変わらずです。

鄙びた温泉好きに知られている「つげ義春の温泉」より
昭和51年の湯宿 メイン通りは車通れない

静まりかえる湯宿の夜

ゲンセンカン主人より
ここから夜の散策へ

火の用心の音は聞こえてこないけど、お風呂へ向かう母娘のサンダルの音。あっという間に姿が見えなくなったと思えば、こちらの外湯に消えたのでした。残念ながら、コロナ以降、未だに地元の方以外は、入浴できず…。

小滝の湯 早く入れてくれ~(切実)
小滝の湯の桶の音が響く 湯宿の中心へ
昭和40年とは行かないですが、この辺りは当時の雰囲気と変わらないかも
右には旅人宿「金田屋」 左奥には、源泉をもつ湯本館
この薬師如来のある小さな広場?が湯宿の真ん中(と勝手に考えてます)
誰もいない… 右側の広い敷地には昔、新盛館という映画館があった 

9月「一夜限りの新盛館」というシネマ上映会があるようです。どのくらい人出があるのか、参加したかった…。
4つの共同浴場のうち、一つだけみつけにくいところにあるのは、この「松の湯」。

小さな路地の向こうに灯り
こちらが「松の湯」 早く入りたいな!
「湯けむりの塔」ここで再び左側の国道17号と合流

湯宿温泉の路地はここまで、ざっと350メートルほど。金曜の夜ですが、一人もすれ違わずに大滝屋旅館に戻ります。聞こえてくるのは三国峠の方から聞こえてくる雷の音とコオロギの声。

向こうには雷光 早めに退散

大滝屋旅館

3度目の湯宿温泉ですが、「大滝屋旅館」にしか泊ったことがないのでした。ここは、かつて、つげさんの代表作の「ゲンセンカン主人」の舞台になりました。今はピカピカの旅館で面影はなし。

その雰囲気だけはかすかに残る

昔はこの路地を入るとこんな景色が見られました。

かつての大滝屋 (みなかみ18湯 上毛新聞社より)
宿もモデルとしたか…

先代の元に、つげさんから初版本と手紙が届き、大滝屋をモデルとしたことが分かったそうです。サイン本も昔は旅館に置いてあったけど、ファンに持ってかれてしまいました、とご主人は苦笑。

湯宿の源泉について

湯宿の源泉は、全部で3つあります。一つは窪湯源泉、こちらは4つの共同浴場や他の旅館にも引湯されている湯宿のメインのお湯。Na・Cl硫酸塩泉でPH8.0、源泉温度は60℃近くで、共同浴場にはほぼそのまま流れているらしく高温。
「熱くなれば湯宿のお湯じゃない」と言われており、共同浴場は気合が居るかも。

大滝屋 こちらの浴槽は熱いですが、激熱ではないです(窪湯源泉)

そして、大滝屋にはもう一つ大滝源泉という源泉があります。炭酸水素塩泉(旧名:重炭酸土類泉)でPH7.0、泉温は47℃と低め。大滝屋ではこの二つの源泉をブレンドして、入りやすくなっているのでした。しかもこの源泉は毎分21.5リットルの自然湧出です。

大滝屋の大浴場の方は二つの湯舟 左は(大きい方)ぬるめ、右は熱め

そして、もう一つの源泉は、湯本館に湧いているということで、こちらも自然湧出。自噴源泉が二つもあるということで歴史のある温泉だと分かります。

湯治のお客さんも歓迎 湯あたりもせずに遅くなりましたが、初日から2度、3度と浸かりました
大滝屋の夜は更けていく

翌日は、三国街道の須川宿の地を経て、みなかみへ移動。バス旅、鉄旅は続きます。

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