
電撃!上州・湯宿温泉&SLみなかみ①
シリーズ何回目か数えてませんが、電撃シリーズ!何が電撃かと言えば、会社が終わってから、そのまま、現地にいくというだけのこと。しかし、夜行列車やブルートレインなきあと、新幹線という文明の利器を最大限活かし、会社帰りにヘルシーな心を保つには、なかなかの旅の形じゃないかと。今回は、鄙びた温泉場としては、有名!?な湯宿へGO。
夜7時には、湯宿温泉に
吾らがテツの祖、内田百閒の親?は東海道線に乗る時に、東京駅があるにもかかわらず、東京ではなく、新橋から乗つた、と何かで読んだ気がしますが、北に行く時には、東京駅ではなく、やはり上野駅がイイ!
金曜の夕方会社を終えて、山手線で、上野へ。




日が暮れて、月夜野の街が見えてきて、赤谷川橋梁の大きな橋を渡れば、上毛高原駅。もともと、上毛高原という地名はなかったようで、JRが観光目当てで、作った地名。駅周辺は確かに「高原」のような高台にあります。


街道沿いの古い家と共に、田園風景が続き、完全に日も暮れて、バスの乗客も途中から、自分一人。




湯宿温泉のご紹介
先ほど路線バスですが、終点は猿ヶ京温泉、さらに町営バスで奥に行くと、法師温泉というこれまた秘湯というか、今となっては有名になりすぎてしまった法師温泉長寿館があります。

一度、この法師温泉を訪ねた時に、この路線バスの途中で、二人の男性が降りました。「えっ、ここに何があるの?」ということで、あとで調べて気がついたのがこの湯宿温泉でした。ここは昭和40年代に各地の鄙びた温泉を渡り歩いていたつげさん(つげ義春)も気に入ってしまった温泉場であり、以下がそれにふさわしい紹介文でしょう。
上越線に乗って水上温泉の二駅手前、後閑という駅に降り、バスで三国街道を真っすぐ20分ほど行ったところの湯宿温泉がそれであった。湯宿というから湯の出る宿場かと思ったら、その通りで、三国峠を登り下りするのに昔の旅人はこの湯宿で休憩をしたらしい。バスを降りたところは、大型トラックが疾走する殺風景な街道の町といった趣で、温泉らしさがない。温泉であるということを表示するものもない。ただほこりをかぶった家並があるだけだった。人に尋ねてみると、家並の裏手にもう一本旧三国街道が並行しており、そこが温泉だと言う。行ってみると、車も通れない細い道が一本あり、やはり家が並んであるだけで温泉らしさがない。わずかに宿場らしい面影が残っているが、衣料品店があり、魚屋があり、八百屋がありごくありふれている。古びて傾きかかった家も多く、全体的に貧しいなァといった感じだ。人の姿もなく路地は陽も射さず暗くひっそりとしている。すべてが沈滞してるといった雰囲気だ。本当になにもない。これがどうしてぼく向きなのだ。
小さな駄菓子屋があったので、覗いてみると、小枝をぶつ切りにした昔懐かしいニッキがあった。今どきこんなニッキがと驚き、一瞬、この町は時間が停止しているのではないかという錯覚を起こしそうになった。駄菓子屋の老婆に宿をたずねると、それでも七軒あるという。でも若い人はこんなところに泊まらずに、この先の猿ヶ京や法師温泉に行ったらどうかと言う。ここは年寄りしかいないと陰鬱そうに呟いた。
とまぁ、この前文も「なんにもない」が強調されており、さらに言えば、今は衣料品店も魚屋も八百屋もありません。宿は辛うじて、4軒ほど残っています。共同浴場は4軒あり、これはつげさんが歩いたときと変わらずです。


静まりかえる湯宿の夜


火の用心の音は聞こえてこないけど、お風呂へ向かう母娘のサンダルの音。あっという間に姿が見えなくなったと思えば、こちらの外湯に消えたのでした。残念ながら、コロナ以降、未だに地元の方以外は、入浴できず…。






9月「一夜限りの新盛館」というシネマ上映会があるようです。どのくらい人出があるのか、参加したかった…。
4つの共同浴場のうち、一つだけみつけにくいところにあるのは、この「松の湯」。



湯宿温泉の路地はここまで、ざっと350メートルほど。金曜の夜ですが、一人もすれ違わずに大滝屋旅館に戻ります。聞こえてくるのは三国峠の方から聞こえてくる雷の音とコオロギの声。

大滝屋旅館
3度目の湯宿温泉ですが、「大滝屋旅館」にしか泊ったことがないのでした。ここは、かつて、つげさんの代表作の「ゲンセンカン主人」の舞台になりました。今はピカピカの旅館で面影はなし。

昔はこの路地を入るとこんな景色が見られました。


先代の元に、つげさんから初版本と手紙が届き、大滝屋をモデルとしたことが分かったそうです。サイン本も昔は旅館に置いてあったけど、ファンに持ってかれてしまいました、とご主人は苦笑。
湯宿の源泉について
湯宿の源泉は、全部で3つあります。一つは窪湯源泉、こちらは4つの共同浴場や他の旅館にも引湯されている湯宿のメインのお湯。Na・Cl硫酸塩泉でPH8.0、源泉温度は60℃近くで、共同浴場にはほぼそのまま流れているらしく高温。
「熱くなれば湯宿のお湯じゃない」と言われており、共同浴場は気合が居るかも。

そして、大滝屋にはもう一つ大滝源泉という源泉があります。炭酸水素塩泉(旧名:重炭酸土類泉)でPH7.0、泉温は47℃と低め。大滝屋ではこの二つの源泉をブレンドして、入りやすくなっているのでした。しかもこの源泉は毎分21.5リットルの自然湧出です。

そして、もう一つの源泉は、湯本館に湧いているということで、こちらも自然湧出。自噴源泉が二つもあるということで歴史のある温泉だと分かります。


翌日は、三国街道の須川宿の地を経て、みなかみへ移動。バス旅、鉄旅は続きます。