JAIST 社会人コース(情報科学)の入学までにした3つのこと
昨日書いた『社会人大学院で情報科学の修士号を取って得たもの』を多くの人に読んで頂けたみたいで、やはり働きながら情報科学の修士号を取ることに興味がある人は多いようだ。
今日は、ぼくが JAIST (北陸先端科学技術大学院大学)の東京社会人コースに入学するまでに実施したのはたった 3 つだけだったこと、たいした準備はしていないことを書く。
(ちなみに 3 つとは、①説明会への参加(必須ではない)、②出願、③入試(面接のみ))
その上で、社会人大学院への進学を考えている人に向けて JAIST の社会人コースのハードルは高くないことを伝えられたらと思う。
前提
入学時期
ぼくが入学したのは、2017年4月で、すでに 7 年半以上前のことだ。
そのため、当時と変わっている点もあるかもしれない。
できる限りいまの状況を調べながら本記事を書いているが、もし本当に入学を検討される場合には、ご自身でいま一度確認してみることをおすすめする。
筆者のバックグラウンド
ぼくは文系の学部卒。
情報科学やコンピュータサイエンスどころか、理系とは一切関係ない文学部の哲学系専攻を卒業した。
大学卒業後に SIer に就職し、それから数年間、 2 社で正社員のエンジニアとして働いていた(途中、無職でコンピュータサイエンス修行していた期間も含む。詳しくはこの記事)。
実際にしたこと
1.説明会への出席(べつに必須ではない)
ぼくは、東京社会人コースの大学院進学説明会に出席した。
(下記リンクに記載があるが、次回は来年 3 月とのことで、来年の 4 月入学の場合は、出願前の説明会の実施はなさそう。)
ぼくが参加したときは、品川にある東京サテライトで開催されていた。
知識科学(MBA 寄りの専攻)の教授も、情報科学の教授も、それぞれ 1,2 名出席されていた。
説明会への参加は入学に際しては必要なものではない。
ただ、JAIST とはどのような大学院かということや、サテライトの場所・雰囲気がわかったことは大きかった。
また説明会への参加で最も大きかった収穫は、入学の難度に関しての教授の 2 つの発言。
ひとつは「入学試験では、受験者の意欲を最重視します。」という発言。
もうひとつは、質疑応答での下記のやりとり。
ぼく「社会人コースの合格率はどれくらいでしょうか?」
先生「具体的な数字に関してはお答えできません。ただ、働きながら大学院で学ぼうとしている社会人のみなさんは、相当な意欲がありますよね…? そして先ほどの通り、我々は合否にあたって意欲をもっとも重視しています。つまり…はい、そんな感じです」
ぼくが感じた雰囲気としては、「落とすため」「人数を絞るため」の入試ではなく、「本当にやる気があるかどうかを確認するための場」としての入試なのだろうという感じだった。
2.出願
募集要項にしたがって、書類を用意した。
大学の卒業証明書や成績証明書を準備が必要で、卒業した大学から取り寄せるのに多少時間がかかる可能性があるため、出願を考えていれば早めに準備した方がよいかもしれない。
ぼくが出願した際は郵送だったが、いまはインターネット出願とのこと。
そして入学までの全タスクの中で一番重いのは、小論文の作成だ。
小論文に関しては、ぼくが受けた当時も、いまでも、「本学入学後に取り組みたい研究課題について」というテーマである。
募集要項に下記の記載がある
この小論文は、必ずしもきちんとした論文の体裁をとる必要はないと思う。
そもそも募集する人員に対して理系の研究の経験は問うていないため、入学時点でそこまでのものは求めていないと思う。
むしろ、説明会で先生から発言があったように「意欲がどれくらいあるか」を文書を通して見たい可能性が高い。
現にぼくの書いた内容なんて、参考文献すらない「エッセイ」レベルのものだった。(もし参考に見たい方がいればシェアするので、コメントなり Twitter の DM なりいただければと思います)
また、ほかにも職歴調書(職歴書みたいな感じ)などの書類も必要なので、出願期間内に作成して提出する(ぼくは大した時間はかけなかった。)
なお、令和 7 年 4 月入学は、まだ出願可能のようで、令和 7 年 1 月 16 日(木)~29 日(水)が出願期間となっているようだ。
東京社会人コースの修士(博士前期課程)の最新の募集要項はこちら(下記「学生募集要項」のページの Ⅱ.入学者選抜 > 2-3. 社会人コース特別選抜 [431KB])
3.選考
選考は面接のみ。いまはオンラインで面接を受けれるようだ。
ぼくが受験したときは、品川のサテライトで実施された。
面接官として教授が 3 名いた。
まずはじめに、出願時に提出小論文の内容(入学後にやりたい研究内容に関して)を、資料を投影しながらプレゼンする。
なお資料の投影は、OHP を使った。
OHP なんて小学校以来はじめて見た気がしたし、そもそもぼくが使ったのはこのときが人生で最初だった。人生で最後である可能性も否めない。
プレゼン後、教授陣からの質疑応答に答えるという感じ。
ぼくの場合、専門知識もなにもない状態なので、「とにかく勉強と研究をがんばります」というスタンスで受け答えした。
うっすらの記憶だが、結構ボコボコにされた気がする…笑(でも決して圧迫面接みたいな感じではなく、単純にぼくが知らないことが多すぎただけ)
おそらくだが、「ある程度自分は知っています」というスタンスより、まだまだ自分はひよっこですらないことを自覚し、知らないことは「恥ずかしながら知らない」と正直に答えることが大事ではないかと思う。
その中で、「こういう研究をしたい」「そのための努力は惜しまない」という気持ちを表明するのがよいのではないだろうか。
というかそもそも、ちゃんと小論文を書いて出願するだけの気持ちがある時点で、その気持ちをちゃんと面接でも示せれば「意欲がある」ことは伝わるのではないかと思う。
余談:研究室訪問
募集要項に、下記の記載がある。
ぼくは、出願前に教員への連絡は実施していなかったが、「推奨」と書かれているため、実際にはした方がよいと思う。
当時のぼくだったらかなり身構えたと思うが、教授にメールを送るのも面談してもらうのも、まったく緊張する必要はないと思う。
入学後に配属を決める際にも、研究室訪問のようなことをするのだが、先生方は、面談の申込みが来ることも研究室の紹介も、ものすごく慣れているし、自分の研究や研究室に興味を持ってくれている人に対しては、非常に丁寧にいろいろなこと説明してくれる方が多い。
いまだったらむしろ、いろんな先生にいろんな話を伺えばよかったと思う。
少しでも興味がある研究分野に携わっている先生には、ぜひ気軽に連絡を取ってみて、面談をお願いするのがよいのではないかと思う。
なお、1月の下旬は、修論の締切が近く、修士の学生を多く抱える先生はめちゃくちゃ忙しい可能性が高いため、面談してもらうのであれば 12 月中ないし 1 月前半がよいのではないかと思われる。
まとめ
出願を考えている方がすべきことは下記の通り。
出願書類の準備
卒業した大学等への成績証明書などの書類の取り寄せ
研究したい内容に関する小論文の作成
入学するまでのタスクでは、これが一番重い
逆にいえば、力を入れるべきはこれだけ
多分この作成の前に、興味のある研究室の先生にメールで連絡し、面談させてもらった方がよいかも(ぼくはしなかった)
もしかしたら出願前に小論文も添削してもらえるかも?
その他の書類の作成
選考(入試)
入試前に出願資料の小論文の内容をプレゼン資料にする
面接(プレゼン及び質疑応答)
この記事が、大学院進学を考えている社会人の方の参考になれば幸いです。