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#188 色々な顔がある腸内細菌。単純化しないで眺めてみよう。

毎日夜19:30に更新中!腸内細菌相談室。
現役の研究者である鈴木大輔が、腸内細菌にまつわるエピソードをお届けしております🦠

今回のエピソードでは、今週お話してきた細菌たちのお話の総括として、腸内細菌の捉え方、考え方について一緒に考えていきたいと思っています。目的はシンプルで、単純化しないで腸内細菌を眺めるというところにあります。

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腸内細菌の分類

ヒトは、自分以外の存在について、分類をすることで理解を深めてきました。元素や生物は、その1例です。共通した機能や見た目によって分類することで、根底にあるルールや仕組みについてのインスピレーションを得ることができます。分類するという行為は、対象物を知る第一歩です。

当然、腸内細菌にも、様々な分類があります。短鎖脂肪酸を産生すれば、短鎖脂肪酸産生菌になります。例えば今週紹介したヌクレアタム菌も短鎖脂肪酸産生菌です。酸素を必要としないグルコースの発酵を通じて乳酸を産生すれば、乳酸菌です。今週紹介したカゼイ菌やロンガム菌は乳酸菌ですね。また、細胞の形状が球体であれば球菌、棒状であれば桿菌に分類されます。

このように、様々な尺度によって腸内細菌は分類されてきました。1つの腸内細菌も、見る尺度によって異なる顔を見せてくれます。ここで伝えたかったのは、腸内細菌の見え方は尺度によって大きく変わってくるし、細かくみていくと同じ分類の中にも多様性が存在するのです。例えば、種の中に様々な株が存在する、ウェルシュ菌やヌクレアタム菌、大腸菌のように。

分類が視界を遮ることもある

1種類の細菌について深堀りしてきたのには理由があります。これは非常に個人的な意見ですが、腸内細菌を善玉菌、悪玉菌、日和見菌として分類するのはとても単純化してしまっていて、もったいないなあと感じるのです。

善玉菌、悪玉菌、日和見菌とは、ヒトに良い菌、悪い菌、状況によって変化する菌です。尺度が曖昧で、主観的です。このような尺度の存在を否定するわけではないのですが、曖昧すぎるが故に、腸内細菌に対する理解がそこで止まってしまうのがもったいないのです。例えば、沖縄本島や離島という海のきれいな島がありますが、これを島として分類して眺めているようなものです。沖縄を、「あ〜、島だね!」と分類するのって何だかもったいないと感じませんか?少しこじつけ感がありますが、腸内細菌についても善玉菌や悪玉菌では止まらない、一歩深い、詳しい世界をお伝えできればと思い、今週はお話していました。

今週のエピソードが届いたあなたには、是非、善玉菌や悪玉菌だけではなく、腸内細菌それぞれに思いを馳せていただけたら嬉しいです。

来週のテーマ発表

最後に、来週のテーマ発表です。来週は、腸内細菌にまつわるニュースについて、色々お話していきます。例えば、アフリカの民族のウンチを集めるプロジェクトです!

以上、色々な顔がある腸内細菌を単純化しないで眺めてみるお話でした!
また来週!

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本日も一日、お疲れさまでした。


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