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【読書/Netgalley】いつか月夜/寺地はるな
みなさんこんにちは。
今回はこちらの本を読みました。
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あらすじ
会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安(「モヤヤン」と呼んでいる)にとり憑かれるようになった。
特に夜に来るそいつを遠ざけるため、とにかくなにも考えずに、ひたすら夜道を歩く。
そんなある日、会社の同僚・塩田さんが女性を連れて歩いているのに出くわした。
中学生くらいみえるその連れの女性は、塩田さんの娘ではないという……。
やがて、何故か増えてくる「深夜の散歩」メンバー。
元カノ・伊吹さん、伊吹さんの住むマンションの管理人・松江さん。
皆、それぞれ日常に問題を抱えながら、譲れないもののため、歩き続ける。
いつも月夜、ではないけれど。
所感&危うさと優しさが入り混じった素敵な小説
今回のお話はNetGalleyで読みました。
(久しく紹介してませんでした。みなさんもいかがですか??)
寺地はるなさんの優しいけれど、でもそれぞれが危うい登場人物たちに、
つい目が離せず、一気に読み終わってしまいました。
ざっくりとした内容としては、夜みんなで歩いているお話なのですが、
その中で各々悩んでいることがあり、解決に向け、とはいかないけれど、
自分のなかで区切りをつけて動き出す。
その様が、何だか心に沁みるようで。
このまま慣れてはダメだ、と一歩踏み出す様に、
こちらも周りの空気に飲まれて慣れてしまった出来事はないだろうか、と考えてしまいました。
今は子どもたちがいるのでしませんが、
学生時代とかはよく夜の散歩をしていました。
大学の近くに住んでいたので、夜中に音楽を爆音で聴きながら大学まで歩いたりして。
pmsで辛い時とかも音楽とともにお散歩したり。
家にいるよりも外を歩いている方が落ち着いたりしますよね。
いつか子どもが大きくなってお留守番出来るようになったら、夜お散歩行きたいなぁ。一緒に行ってもいいし。
にしても、作家さんってどうしてこんな表現を思いつくんでしょうか。
洗濯物を干すあいだも、雨は降り続いている。「夜更かしをするんじゃないよ」と叱る大人に隠れて、布団をかぶっておしゃべりしている子どもたちの話声のような雨だ。こういう雨を表現するのにぴったりな言葉がきっとあるのだろうが、實成はそれを知らない。
すごくないですか?
絶対自分じゃ思いつかないけれど、でも何となくわかるような気がする。
こういう言葉を集めたいなぁ。
また、実家に帰省するシーンがあるのですが、
夫(主人公の父親)に死に別れた母を気遣う子どもたちの気持ちに対し、こんなセリフがある。
「わたしのさみしさはわたしのもんや」
娘や息子ごときがどうこうできるようなものではない、ときっぱり言い切った。
思わず両親を思い浮かべてしまいましたね。
まだ両親ともに健在ですが、決して若くはない年代。
どちらかが先に死に別れたときに、きっと寂しいだろうと決めつけてしまいそうな気がして。
何がその人にとって正解かはわからないけれど、せめて決めつけて行動するようなことだけはやめようと思いました。
夜のシーンが多いので、夜の夜長にいかがですか?