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「こんとん」のはなし
物語(本)には、文字として情報を目から取り込み、反芻をしながら理解を深めるものと、文字をあえて言葉(声)として語ることで、より人々の心に浸透するものの2つがあると思っている。この「こんとん」という絵本は、どちらの要素も兼ね備えている。
そして、この短い言葉を読み終え(聞き終え)たあとに、様々な角度からのそれぞれの意見(この世の姿を語りあえる)を引き出す力を持っている、数少ない絵本だと思う。
「こんとん」はいつも空をみあげて笑っている。
あるとき、二人の王様が来て、目と鼻と口という7つの穴をあけるのだ。
こんとんはそのまま崩れ落ちて、二度と立ち上がらなくなってしまう。
読み終えたとき、胸をつかまれ、キューっと胸が苦しくなった。
Twitterにも書いたけれど
じぶんの目でみる
きく
かぐ
じぶんの口でかたる。
それは
なんだか
とてつもなく
たいへんな
ことだったんだろうね。
「こんとん」より抜粋
近頃、この地球はまさに
混沌としていて、
人は、こんとんのように、
目を覆い、口をとざし、耳をふさいでいたりする。
きっとそれは、その場にいることが安全だと、
思っているのかもしれない。
そうしているほうが、
自分を守れると思っているのかもしれない。
わたしはふと、
穴を開けた王様の行動を通して、
人の傲慢さに思いを馳せ、
親の虐待で世を去った子どもたちを思った。
哲学的な要素をも併せ持つもつこの本は、
架空の「こんとん」という怪物を通して、
たくさんのことを語りかけてくる。
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