見出し画像

「にっぽんの伝統色から季節を豊かにとらえ、日々の暮らしを彩りましょう。」

1月の着物録をまとめたときに、「色の名前勉強しよう……」と言っていて、買った本がこちら。

暦生活編『365日にっぽんのいろ図鑑』(玄光社、2022)

ツイッターで人気のコンテンツの書籍版です。
写真も綺麗だし、いいかな、と思っていたのですが……

結果は、2月の着物録をご覧ください。
全く活かされていない!!

まあ、着物と本を並べて色を探したりしなかった、というのがひとつ。
そしてもうひとつは、365色あっても当てはまらない色が多すぎる。

それはある意味当然のことです。
江戸時代の豪奢禁止令のときは、茶色だか茶色と灰色だかだけで48色もの色味を呼び分けた、と言われるほど、日本人の色へのこだわりは強いのです。

なので、わたしが持っている着物も、「これはこの色だな」というものと、「これはこっちとそっちの間くらい……」といものが入り乱れています。

もうひとつ難しいのは、染めの着物はまだしも、織の着物は縦糸と横糸の色が混ざって、「遠目で見ると○色だけど、近づいてみると糸の色が4色くらいある」とかがよくあることです。
こういうのは、結局何色というのでしょうね?

それはともかくとして、色の名前を知るのは楽しいことです。
原料となる植物や鉱物からとられた名前もあれば、季節や自然の色からとられた名前もあります。

この本は「365日の」なので、1月1日からはじまりますが、初めの色は「銀朱」でした。
名前の印象から、銀色に輝く朱色(って何色やねん)と思っていたのですが、あるいはそもそもただの造語だと思っていたのですが、これがいわゆる「朱色」のことを指すと知って、びっくりしました。
色を出して定着させるために水銀を使っていたとかで、「銀」の名がついたそうな。
そうか、輝いていないのか。
案外派手じゃなかった。
普通の色だった。

でも「銀朱」という響き、華があって好きです。

そんな感じで、本を通して読むというより、枕元に置いて「今日は何色かなー」とか、新しく着物を買ったときに「何色かなー」というふうに使っています。
ぴったりくる色が見つかってもすぐに忘れてしまいますがね。

そもそも色は、けっこう曖昧なもの。
人によって細やかな見え方には差があるし、印刷や画面を通して見ても違うし、染める段階でも毎回ピタッと同じ色が出るわけでもない。
それでも、そんな色のひとつひとつを拾い上げて、名前をつけるという行為自体が、とても人間じみてていいよなあと思うのです。

知識を得ることによって、見える世界も変わります。
色の名前を知ることで、ちょっとずつ違う「青」や「赤」が全部名前を持っていることを知れば、目に見える光景はもっと鮮やかに、楽しいものになるに違いありません。


放っておいても好きなものを紹介しますが、サポートしていただけるともっと喜んで好きなものを推させていただきます。 ぜひわたしのことも推してください!