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「その山は天地を貫く一本の柱だった。」

「十二国記」がミュージカル化するですってーーー!!??

という衝撃のニュースから1週間。
皆様いかがお過ごしですか。
わたしはチケットが取れるのかどうか、と言う思いですでに戦々恐々としています。
舞台には詳しくないのですが、「このメンツが揃ったらチケットは激戦」という声を方々で見かけるので、存じ上げない役者さんのファンクラブに入ったものかどうか、頭を悩ませています。

さて、今日の本棚本はこちら。

小野不由美著 『丕緒の鳥』(新潮社、2015)

これが出たときは衝撃でしたねー……
十二国記としては久しぶりの新刊、ただし短編集、ということで、わたしは普通に発売当日に本屋で買って出勤したのですが。
そう、これは短編集。
しかも先に出ていた短編集『華胥の夢』と違って、本編メンバーが不在なのですよ。
衝撃的でした。

物語はそれぞれ、国の役人が主人公です。
本編では語られることのない、国の役人。
彼らにも名前があり、役職があり、職務に対する思いがあり、王に対する思いもそれぞれ、というのを、こう言う形で見せてくるかー、と唸った記憶があります。

これは『白銀』の前に発売されていて、ホワイトハートで出版されていたものよりもだいぶ後に出たものなのですが、新潮版だとシリーズの中程の位置に並べられています。
わたしはホワイトハート版を読み込みまくった10年後?くらいの『丕緒』を読んだので、なんというかいつものメンツが出てこないことのガッカリ感と、いつものメンツが外から見るとこうなるのか、という印象が強かったです。

なかでも2つ。

柳国の官吏による罪人の死刑にまつわる議論は、単行本に先んじてyomyomという新潮社の冊子に掲載されていたのを読んでいたのですが、当時日本で死刑の是非が世論をにぎわせていました。
まさか十二国記で時勢に合わせたような短編(しかも主人公格が不在どころか、初めて内情が明かされた柳が舞台)なのに驚きました。
結構気軽に死刑をする世界観だと思っていたのですが、法律があり、法を作る仕組みと法を守る仕組みがある中で、現実の問題をどう処理するのか、しかもそれを問える相手が不在である、という状況に、どんよりとした傾国の重みを感じました。

もう一編は思いっきりネタバレになるのでどの話かは伏せますけども。
延王やってくれるなーーーーこのやろう!!
となるのが最高でした。
下々のものにとっては、これほど遠い存在なんだな、とも。
最小の匂わせで最大の存在感を出してくる延王、強すぎます。

どのお話も、本編の登場人物をよく知っていてこそ、みたいなところがあるので、とりあえず長編を読み込んでからどうぞ。

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