ほんとうのこと
私の故郷は、東京の大都会から南へ1000km、大型船で24時間かけないと辿り着けない島、小笠原諸島の父島だ。
生まれて1歳にならない頃から約9年間をこの島で過ごした。そして内地へ移住した。それ以降、「島に帰りたい」その思いが消えることはなかった。
そして、ずうっと望み続けていた「父島に帰って暮らす」ことを、約20年ぶりに実現させたのが昨年の2023年であった。
たった3ヶ月半の間だったけれど、それは素晴らしい日々だった。それはかれこれ20年前に故郷の父島から内地に移住して以来、最も穏やかで豊かで幸せな日々だった。何もかもか完璧で天国にいるかのような時間だった。
そして私は「ほんとうのこと」に気が付いた。そのことを、今、再び島に戻ることで確信した。
その「ほんとうのこと」をここに書こう。
ほんとうは。
ほんとうは、美しいんだ。
ほんとうは、輝いているんだ。
ほんとうは、自由なんだ。
ほんとうは、全部あるんだ。
だけど「ほんとう」は
形が変えられて
隠されて
見えなくなって
感じられなくなって
「ほんとう」は
ほんとうじゃないみたいになった。
「ほんとう」はうそみたいになって
誰にでも手に入るものじゃないみたい。
おかしいな、へんだな、
ほんとうは、「本当」なのに。
そんなふうに思って昨日に書いた詩。
たぶん私たちは、すでに幸せで満たされて全部もっている。でも、お金とか利益とか、儲けたい誰かの思惑とかおかしな時代の変容の中で、本当にもっていたそういう美しく輝く自由で素晴らしいものたちを、見失ってしまった。自分たちで失くしてしまった。そんなふうに思った。
きっと、心と体がぴったり合わさって、頭でっかちにならず、心体の感覚に従ってそういうふうに生きられたら、人はみんなもう一度「ほんとうのこと」が分かるんだろうな。
でもそのためには、『心と体がぴったり合う場所』に生きてないと、気が付くのはちょっと難しいのかもしれない。
そしてそういう場所で生きることを選ぶことが難しい時代で、「本当のこと」が失われていく、いろいろなことがどんどん狂っていくような感じがする。
本当は。全部ある。
そのことを忘れないように。
そのことをずっと大事にできるように。
ずっと「島に帰りたい」と思い続けていたのは、ここに居れば、心と体がぴったり合うと知っていたからなんだ。
再び帰って来れたこの島の風に吹かれながら美しい夕陽をたっぷりとたたえた大海原を眺めながらそんなことを思いましたとさ。
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