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CRAFTXの松田さんに聞いてみた1/3 「好きなブランドと松田さんの距離感とは?」

こんにちは。「ちょど研」研究員の巣内です。
今回は「ブランドと生活者のちょうどいい距離感研究所」の最初の取材ということで、ザ・D2Cのブランドに話を聞きに行きたいと思っていました。
自社で企画・製造した商品を、ECサイトで直接販売するD2Cのブランドなら、ユーザーとの距離感もダイレクトにわかるのではないでしょうか?

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そんな思いから、今回お話を伺うのは、クラフトビールの新星ブランド「CRAFTX」の事業責任者であり、ブランドディレクターでもある松田周達さん。
CRAFTXは、今年で一周年を迎えたクラフトビールブランドで、ライトな層もカジュアルにお酒を楽しめるようなコンセプトで、商品を展開。新商品のプロジェクトをクラウドファンディングで成功させたりと、ユーザーと共創することをビジネスに積極的に取り込んできました。
インタビューの聞き手である巣内が、CRAFTXのアートディレクターとして働いている関係性もあり、今回取材にご協力いただきました。

そんなCRAFTXの松田さんに、ブランドとユーザーの距離感について、色々聞いてみました。

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松田周達さんの好きなもの

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巣内 今日は「みんなが”華やぐ”ようなお酒の体験を届けたい」でお馴染み、CRAFTXの事業責任者、松田周達さんの取材に来ました。松田さん、よろしくお願いします!

松田 よろしくお願いします!

巣内 僕らは、メディアのタイトルを「ブランドと生活者のちょうどいい距離感研究所」という名前にしていまして。

松田 めっちゃいいですよね、その名前!

巣内 ブランドとユーザーの間にある距離感や関係性を、いろいろな分野の方を取材して調べていこうと思っているんです。それで、僕らは、ブランドというモノを、服や映画、食べ物や人など、いろんなものがあると解釈しているんですが、最初の質問として、まずは松田さんの好きなモノや人について教えて下さい。

松田 結構あります。僕、自分のインスタのフォロワー数が500くらいなんですけど、それに対してフォローしてるアカウントは1,000くらいあって。大学でマーケティングの勉強をしていたこともあって、企業とかブランドとか芸能人とか、ちょっと気になるとすぐフォローしちゃうんです。

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巣内 その中では、例えば何が好きですか?

松田 アメリカの「White claw」っていう、飲料のブランドが好きなんです。「ハードセルツァー」と呼ばれる、アルコール入り炭酸水のカテゴリーを一躍世に知らしめたブランドなんですけど、彼らがインスタでやってる活動が、ずっと一貫していて好きなんです。味の説明じゃなくて、White clawを飲んで楽しんでいる人々のモノクロ写真が、ただずっと並んでいる。それがすごく楽しそうで、いいなーって。

巣内 SNSを使ったプロモーションや、表現がお好きなんですか?

松田 パッケージデザインも好きですね。日本のお酒のパッケージって、情報過多になりがちで、いかに棚のなかで目を留めさせるか、いかにレジまで持って行かせるかとか、という目線でデザインされることが多いと思うんですけど、White clawはすごくシンプルに統一されていて、デザインの一部の色を変えるだけで味の違い見せるなど、説明的ではないんです。想像なんですけど、White clawを飲んでるシーンがスタイリッシュに見えるように、という試みなんじゃないかなと思っていて。そういうところも、個人的に好きですね。

巣内 ブランドのそうしたスタイルとか、それが置いてある空間を含めて、世界観として好きなんですね。White clawとの出会いはいつ頃ですか?

松田 一年前くらいですね。味に衝撃を受けたとかではないんですけど、White clawがある時間を楽しんでもらう、みたいなコミュニケーションに持って行けているのは、憧れがあります。

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巣内 White clawの、ビジネスモデル的な強みは何かありますか? 例えば、スーパーの棚を持ってるというような、あるビジネスモデルに特化しているから勝っている、というブランドも多いと思います。

松田 うーん。なんでしょうね。ビジネルモデル…でもやっぱり、人格とか情報とか世界観も含めて、いつも一貫しているということが、ユーザーの期待を満たしているんだと思うんです。外装とか瓶とかブックレットとかにめちゃくちゃ凝って、デザインだけにお金をかけても、その見た目だけに共感して買うのって、難しいと思うので。一貫したメッセージを発信していること、というのも強みなんじゃないですかね。

巣内 そんなWhite clawとの出会いは、自分にどんな影響を与えていると思いますか?

松田 ちょっと遠回りして答えてもいいですか? White clawと似たような立ち位置で、日本では「CHILL OUT」という飲料ブランドがあって。“飲むリラクゼーション”をコンセプトでやっているブランドで、これを飲むことでリラックスできますよ、という一貫したコミュニケーションをひたすら発信し続けているんです。

巣内 広告も、どんな味なのかという説明は特になくて、「チルしない?」というシンプルなものですよね。

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松田 そうなんです。常にシンプルなコミュニケーションだし、このブランドが持ってるプロダクトも、このひとつだけで。でも、だんだんと需要も高まってきて、Webの販売だけだったのが、次第に自販機にも置かれるようになってきていて、すごい成長してるなと思うんです。いざ飲んでみると、まぁ、衝撃的な驚きはないんですよ(笑)。でも、一貫したコミュニケーションで、その価値をぐっとあげている。市場を見つけて、自分たちのコミュニケーションでユーザーをその市場に導くとか、活動がもたらすインパクトの重要性、みたいなことを意識するようになったのは、white clawやCHILL OUTの影響ですね。

巣内 好きなブランドを通して、ご自身のブランドで目指す先も明確になってきたんですね。

松田 ビールの仕事を始めてすぐの時は、右も左もわからないから、とにかく「美味しいビール作ろう」と思うんですよ。それは間違ってないし、実際にとっても美味しいビールを日頃作っているブルワリーと組んでいるんですけど、並行して、ビール専門の職人集団とは違うスペシャリティで尖っていくことも考えた時に、white clawもCHILL OUTを見て、思うところがありましたね。

巣内 そこがCRAFTXの強みになっていくような部分ですよね。ブランディングとか。

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好きなものとの距離感

巣内 松田さんの好きなモノについての質問をさせていただいて、white clawやCHILL OUTを通していろいろ見えてきたんですけど、今後もこれらと同じ距離感で接していきたいですか? つまり、仮想敵というか、松田さんにとってライバルにも当たるのかなと。

松田 あーー。そうですね。今までと変わらず付き合うんだろうなと思いますね(笑)。これは巣内さんの意見も聞きたいんですけど、僕は、ブランドとユーザーの距離感が一貫していることも重要だと思っていて。white clawとCHILL OUTも、好きだしリスペクトしてるけど、僕多分、超強烈なファンになって毎日飲む、みたいなことはないと思っていて。週に数回アカウントを見たり、自販機で見かけたりするくらいなんだけど、でもそのたびに「あ、すごいな」「かっこいいな」「好きだな」と思う距離感なんです。

巣内 なるほど。

松田 一定の距離に配置されてる友達みたいな感じだと思っているんです。年に一回のペースで会っておきたい友達、みたいな。その時に、いつも変わらずに起きる会話とかやりとりがあって、そこに安心や信頼がある。そういう距離感が愛される理由かなって。

巣内 今のお話で、すごくわかる気がしました。ブランドとユーザーのいい距離感が。いい感じにつなげてくれましたね(笑)。

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松田 そういうことで言うと、もうひとつ話していいですか? 僕、伊藤園の「特濃コーンポタージュ」っていう缶のコーンスープが死ぬほど好きなんです…! その商品の一分間プレゼンで某企業の面接とかも通っていたほどで(笑)。でも、ある時から「特濃コーンポタージュ」の知名度が上がってきて、パッケージを変えたりと、ちょっと見た目が変わってきちゃったんです。本質のスープの味自体は変わってないんですけど、今、僕の中で前ほどの熱量がないんです。マーケティング活動によって、ちょっと心の距離感が遠くなっちゃったんですよね。

巣内 推しのアイドルが有名になってきて、アーティスト路線で売り始めて心が離れちゃう、みたいな感じですかね。

松田 そうかも! それによってファン層が広がってるし、確実にビジネスとしてはいい方向に行ってるんですけど、という…。

巣内 ファンの鑑ですね(笑)。いい距離で応援します、みたいな。なんか愛がありますね。

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松田 近かったものが遠くなってしまって寂しい、みたいな感覚は一般的だと思うんですけど、逆に、遠かったものが近づいてきて心が離れちゃう、みたいなものもあるのかなー。あ! 僕、お笑いコンビのラーメンズがすごく好きだったんですけど、ユニットでの活動が減ってきた時に、逆に、小林賢太郎さんと片桐仁さん、個々での活動が増えてきたんですよね。ラジオとかテレビの出演で、よく見かけるようになったり。コミュニケーションとしては、露出は増えて距離は近づいたはずなんですけど、何となく心の距離が空いちゃって。僕が求めていたラーメンズは、年に1回だけ舞台やDVDを見るという存在だったんだなーって。…わかります?(笑)

巣内 はい。松田さんの、好きなモノや人に対する距離感が、今のエピソードでよくわかった気がします。ありがとうございます!
今回は、松田さんのパーソナルな部分からお話を聞きしましたが、次回は、いよいよご自身のブランド「CRAFTX」とユーザーの距離感について、探っていきたいと思います!

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ちょど研サムネ_2


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