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CRAFTXの松田さんに聞いてみた3/3 「ブランドを通じてお客様とやりたいことはありますか?」
こんにちは。「ちょど研」研究員の巣内です。
前回はCRAFTXとユーザーの距離感について、理想の関係や、実際に試している施策などを通して色々探っていきました。
ここからは、ブランドの未来の話。今後、CRAFTXがユーザーとどんなことをやっていきたいのか。妄想空想ありの、フリートークで探ってみたいと思います。
実現させたい施策の空想MTG
巣内 前回の記事で「CRAFTXを通じて、お客さまとどんな関係になりたいか」ということを探ってきましたが、目指したい関係性にたどり着くために、今後いろいろな施策が生まれていくと思います。今回は、「まだ実行できてないんだけど、いつかこんな施策もやりたい」という、未来の話をお聞きできたらと思います。ざっくばらんに、やってみたい企画などはありますか?
松田 前回の話からも繋がるんですけど、お客さまのお酒を飲む時間にどう影響を与えていくか、ということは考えます。うざがられない範囲で、介入していきたいんですよね。例えば、お酒を買ったつもりが、面白い人が商品を運んできて、気づいたら一緒に楽しく飲んでるみたいな(笑)。ちょっと、世にも奇妙な物語みたいですけど。でも、体感していただきたいことって、そういうことなんです。
巣内 お酒を飲む時間を、演出していきたいということですね。
松田 ひとりで飲んでても、楽しくなるような時間にしたいというか。例えば、僕はローファイヒップホップのYou Tubeのライブ配信とかも好きなんですけど、あれって、いつアクセスしても常に音楽が流れてて、延々と誰かがコメント欄でしゃべってるんです。そういうイメージなんです。ひとりだけど、他の人とも一緒に過ごしてる気持ちになれるというか。
巣内 ブランドのブラッシュアップも終えて、今がCRAFTXの分岐点になるのかもしれませんね。松田さんは、やっぱりカルチャーが好きというか、そういう方向に寄せたいのかなと今の話を聞いてても感じました。プラットフォームとしてブランドが定着してほしいというお話もありつつ、一方でやってみたいこととしてはローファイヒップホップの話が出てきたり。やっぱり根っこはそこなんですね。
松田 根っこというか、もうバリバリそこなんです(笑)。そういうカルチャーのエッセンスを抽出したら、きれいな色水になるんだろうなという思いはあって。
巣内 飲み会のプラットフォームみたいなのを作るとか、いいかもしれないですね。例えば、毎週決まった曜日と時間に、サロンみたいなのがOnline上で立ち上がってるとか。そこで、「今日は映画について飲みながら話しましょう」みたいな、テーマだけ毎回決まっていて。CRAFTX側がリードはするけど、動かしてるのはユーザー側、みたいな環境が作れるといいですよね。
松田 それで、Clubhouseが出る時に「これだ!」と思ったんですよね。その前から、お客さまの飲む場が人とつながることでハッピーになる、みたいなかたちを目指していて。CRAFTXの名前だけついた部屋があって、そこに行ったらお酒を飲みながら何か話せるとか。
巣内 ラジオとかも面白そうですよね。CRAFTXの中の人が話すのでもいいと思うし。毎回ゲストが違っていて、松田さんが来たりとか。
松田 そうですね。それを組み上げる時は、巣内さんにアドバイスをもらいたいです!そういうメディアを作る時って、滑ったり、がっかりしちゃうケースもあるかなと思って。とあるブランドで、具体的に言えないですけど…インスタライブをやってたんですけど、開いたら内容も一方通行だし、絵の楽しさもなくて。めちゃくちゃ残念な感じで。
巣内 ナショナルブランド?
松田 いやいや、そこ別にミステリーでいいじゃないですか(笑)。でも、そうはなりたくないので、やるならちゃんと仕込みたいなって。
巣内 CRAFTXでも、缶のデザインにQRコードを入れ込んで、そこにアクセスすると自社のクラフトビールにまつわる動画が見れる、というのもやってましたね。メディアの立ち上げはやっぱり大変ですよね。
お客さまと一緒にやってみたいこと
巣内 お客様と何か一緒にやってみたいこと、とかはありますか?
松田 レモンサワーを新しく製造する時に展開したクラウドファンディングは、お客さまと一緒に作れたような感覚がありましたね。ゼロから一緒に作り上げたわけじゃないんですけど、興味を持って、リターンを買って支援してくれる方々がいたことは嬉しかったです。それが、新しい流れだったと思うので、今度はお酒の場が盛り上がるようなものも一緒に作れるといいですよね。
巣内 クラウドファンディングだと、リターンがあるし、小ロットで設計できるからいいですよね。レモンサワーって、なんでクラファンやることにしたんですか?
松田 レモンサワーを新しく作るのって、難しいチャレンジだと思ってたんです。世の中に、すでに死ぬほどたくさんレモンサワーの種類があるから。だから、みなさんがどういう反応をしてくれるか、というのをちゃんと確認したうえで、出したかったんです。
巣内 マーケットニーズを確認しながら進めたかった、ということですね。ラベルのデザインも開発中で、「現在公開しているものから変わる可能性があります」という前提だったので、お客さまも最終的にどんなデザインの商品になるのか、把握していない状態で支援してくれていたと思います。それで成功したのはすごいことですよね。
松田 そうですよね…。ちょうど今週末、最終的にこういうデザインになりましたというご報告を、クラファンで支援してくれた方たちにお届けしようと思ってて。まじでドキドキします。
巣内 お酒って液体だから、お客さまはイメージで投資していることになりますよね。だから、ドリンクって難しいですよね。価値を売るってことだから。
松田 ほんとそうなんです。うちが、少し前に「セレブレートワン」という一本3,500円のビールを限定で出したのも、まさにそこに対する挑戦で。お祝いというシチュエーションを想定して、“記憶に残る乾杯を”というコンセプトで限定1,000本で販売したんですけど、すごいペースで完売したんです。前の、white clawとかCHILOUTの話もですけど、美味しさだけの勝負じゃなくて、こういうシーンで飲んでほしい、こういう設えで飲んでほしい、みたいなことも発信していくのが大事だなと。レモンサワーのクラファンと、セレブレートワンという商品で、すごく実感しました。
見つけてもらう機会を増やしたい
巣内 大手のビールメーカーさんって価格帯が安いから、ビールは安いって錯覚しがちだけど、クラフトビールというジャンルはもともとプライスが高いですよね。今、プライスってどのくらいの設定なんですか?
松田 何本セット、とかの入り数によっても違うんですけど、当初は一缶700円〜くらいでした。そこからブランドブラッシュアップを経て、たくさんの方に買っていただいて、我々も資材とかコントロールできるようになってきた部分もあるので。感謝の気持ちも込めて、今は一缶470円とか500円くらいになりました。
巣内 おぉ、結構変わりましたね!
松田 個人的には、今は結構いい価格にできたんじゃないかなと思っていて。当初の一缶700円とか900円の価格帯って、クラフトビールマニアの世界なんですよね。ビアバーに行って、一杯頼む時の価格で。一本1,500円とか、1,900円とかもある世界ですけど。
巣内 ビールというよりも、ワインとかに近い楽しみ方ですよね。
松田 はい。一缶250円とかで売られているナショナルブランドと、クラフトビールマニアの世界の、ちょうど中間の価格になったかなと。ナショナルブランドを買い慣れてる人からすると、ちょっとご褒美的な価格の値段だし、マニアの人から見ると、クラフトビールでこの価格は買いやすい、となる。
巣内 もうコンビニに置いてほしいですよね(笑)。アイスでいうところの、ハーゲンダッツみたいな。あの感覚で、ナチュラルローソンとか置いてほしいです。成城石井とか紀伊国屋とか。
松田 そこは新しいチャレンジですよね。
巣内 もう少しライト層にも届けたいとなると、成城石井とか紀伊国屋とか、何となく相性がいいのかなという気もしますね。あとは軽井沢のお店とか(笑)。旅行先に行くと、テンションが上がって記念とかご褒美的に少し高いものも買いたくなりますよね。
松田 わかります。気合いの入ったセレクトショップとか、金沢とか沖縄とかにあるイメージですよね。
巣内 テーマを分けて3回お話を聞いてきましたが、やはりポイントはお客様とどう関わるか、ということですね。意見交換会イベントとか試飲会とかもいいですね。
松田 試飲会というかたちじゃないですけど、去年末、CRAFTXのビールを樽に詰めて、全国のクラフトビアマーケットさん10店舗とコラボするという企画をやりました。仙台から関西まで。あれは良かったですね。都内が多いので、社員で何人かで別れて吉祥寺店とか神田店に行ったり。現場での感触見れたので。
巣内 あとは、屋外のイベント会場で置いてもらえるといいですよね。映画上映とか音楽ライブとか。そういうリアルスペースへの露出を増やして、お酒という枠組みだけではなく、お祭りとかカルチャーの視点から、CRAFTXの存在を知ってもらうという。
松田 まずは、樽だけ作っちゃっててもいいですけどね。依頼したら制作してもらえますか?(笑)
巣内 樽はいいですよね。楽しそうで。
今想像する、ブランドの未来の姿
巣内 クラフトビールの美味しい飲み方とか、ちょっとしたポイントとかありますか?
松田 すぐに飲まなくても、買ったらひとまず冷蔵庫に入れた方がいいです。クラフトビールでもいろんな製法があるんですけど、とりあえず冷蔵庫がいいと思います。そうじゃないと、瓶内発酵しちゃって、明けた瞬間爆発した例もあるので。
巣内 CRAFTXのビールの楽しみ方、みたいな情報を演出として整理するのもいいかもしれませんね。保存方法とか、こういうシーンで飲みましょうという提案まで具体的に示してあげて。それを実行するかはお客さまの自由だけど、クラフトビールにあまり馴染みのない人を、どうやって楽しめばいいのか導いてあげるのも大事かもしれないですね。特に、ライト層を狙っていくなら。
松田 それ、巣内さんへの依頼シートに追加ですね…(笑)。
巣内 やっぱり松田さん、至急で助手が必要ですね! 最後に、CRAFTXの未来像というか、こうなっていたいという未来の姿はありますか?
松田 来週ホームパーティーがあるからとか、キャンプがあるからとか、お客さまのスケジュールに合わせて、“じゃあ、CRAFTX買っておこう”みたいなところにやっぱり行きたいですね。そういう距離感というか。そのために何をするのか、というところを更に考えていきたいです。
巣内 そのお話を伺うと、確かに「お客さま」という距離感ですね。さっきのローファイヒップホップのライブ配信みたいに、という計画も面白そうですが。でも、若干ペルソナがコア寄りになっちゃうかもしれないですね。
松田 そうなんです。あと、僕がそれやっちゃったら…というのも思っていて。今、比較的マス寄りというか、プレーン寄りで成功することに個人的に興味があるので。一緒にやるメンバーとかチームのサイズが違ったら、また違うかもしれませんけど。
巣内 3年後とかに、CRAFTXから枝分かれして別のブランド作る、みたいになってたら、そういう可能性もありますかね? でも、その時には年を重ねてるからもっと、渋いものとかに興味があるかもしれませんね。だから、今だという気もします…。
松田 駆り立てられるな―(笑)。
巣内 たくさんお話聞かせていただいて、ありがとうございました!ブランドとユーザーの距離を探っていく、この研究所の最初の取材としても、とても興味深かったです。
松田 僕も、いい機会でした。考えも整理もできたし。巣内さんとロングミーティングできた感じもあって。
巣内 仕事ではご一緒していますが、一度ゆっくりお話を伺ってみたかったんです。足元の仕事じゃないフリーダムなブランドのお話ができてよかったです。今日はいろいろとお話を聞かせていただいて、ありがとうございました!
(記念にCRAFTXの「Xポーズ」を。)
距離感の図解
最後に、1回目から3回目まで松田さんが話してくれた色んな距離感を図解しました。
こうして図にしてみると色んな発見がありますね。
次回もお楽しみに!
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