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【コンサル業界研究】総論①-戦略コンサル、経営コンサル、ITコンサルって何が違うの?-

どうも、外資系うさぎのちょこさんです。
今回は業界総論として、コンサルティングファームの種別や提供されるサービスの違いについて簡単にまとめていきたいと思います。
就職や転職で業界について調べている各位、同業者でもう一度改めて基礎的なところを抑えておきたい各位のお役に立てれば幸いです。

なお、前回に引き続き、この記事も有料設定していますが、全文無料で読むことができます。もしいいねと思っていただけた場合は、ちょこさんの大好物のおいしいチョコレートを一粒調達するための費用としてカンパいただけると大変うれしいです。
※前回カンパいただいた皆様、大変ありがとうございます。大好物のおいしいチョコレートにありつけました。

それでは、本編をどうぞ。

戦略コンサル、経営コンサル、ITコンサル…の違いは誰に対するサービスかの違い

このあたり、解説しているブログやnote記事もたくさんあると思いますが、ちょこさんの頭の中の整理も兼ねてパパっとまとめておきたいと思います。

いきなり話がズレるのですが、やっぱり何事も自分自身の理解度を高めるのに大事なことは一度、自分なりのアウトプットを作って世に放つことだと思うんですよ。
尊敬する上司各位や同僚各位も、ちょこさんの専門外のことを質問しにいくとめっちゃ丁寧に教えてくれることがほとんどです。
もちろんちょこさんも自分の専門分野について質問受けたらそれはもう全集中の呼吸で答弁します。
タイトルに関係なく素直にgiveしあえる環境って素晴らしいものです。

さて、本文にもどりましょう。

結論から言うと、戦略コンサルティング、経営コンサルティング、ITコンサルティング…の違いはクライアントのどのようなレイヤーのマネジメントに対して提供されるサービスか、が最も大きな要素となります。

その中で、戦略コンサルティングを専門サービスとしているファームが戦略ファーム、ITコンサルティングを専門としているファームがITファーム、という分類になります。
さらに、総合ファームとは、戦略コンサルティング、経営コンサルティング、ITコンサルティングと複数のサービスを幅広く総合的に提供しているファームを指します。

具体的な例を挙げると、戦略コンサルティングを専門としているマッキンゼーやBCGは戦略ファーム、ITコンサルティングを専門としているIBMやアビームはITファーム、サービスラインが広く戦略、業務、IT全てのコンサルティングを提供しているアクセンチュアやBig4は総合ファームと呼ばれます。

細かく分類するとキリがないので、今回は
 ①マネジメントのレイヤー
 ②各レイヤーでの代表的なアジェンダ
 ③ファーム種別ごとのアジェンダカバー範囲

の観点から整理してみましょう。
まず、下記スライドをご覧ください。

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マネジメントレイヤーについて
マネジメント(管理者)のレイヤーは、トップマネジメント、ミドルマネジメント、ロワーマネジメントの3つに分類されるケースが多いと思います。
今回は後述するアジェンダの性質上、ミドルマネジメントを更にミドル-ハイ、ミドル-ローに分けてあります。


トップマネジメントはWhy/Whatを問う

図中に示したように、トップマネジメントはCEOやCOOを始めとした、総合的な経営判断を行い、その責任を全て引き受ける最上級の管理職となります。

必然的にトップマネジメントレイヤーのアジェンダは、新規事業、全社戦略、組織改革、など会社全体に関わる超重要課題が並びます。
当然難易度も高く、何が問いになるのか、何が答えになるのか、真にあるべき姿を求めそれを描き出すようなプロジェクトの進め方になります。

当社は何をすべきなのか(What)、そしてそれは何故なのか(Why)、という究極の問いに、脳みそから溢れ出る示唆の最後の一滴まで絞りきり、決裁権限者であるCxOの心を掴む成果物を作り上げます。

他のレイヤーには真似できないコンサルティングの真骨頂、まさに戦略コンサルティングといえるでしょう。
もちろんその難易度に見合ってフィーも高額、プロジェクトチームの労働時間もそれはもう派手派手だぁ

このレイヤーのプロジェクトのイメージはこんな感じです。

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一般的に、コンサルタントの仕事と聞いて思い浮かべるものってこのあたりなのではないでしょうか。

巷で聞く、コンサルは餅の絵しか描けない!と言ったイメージもこのレイヤーだけにフォーカスを当ててしまったがゆえの誤解と言えるでしょう。
ただ、中には本当に煮ても焼いてもどうやっても食えそうにない名状しがたき混沌の絵が成果物となってしまうケースも残念ながらあることにはあるので、これを読んでいる各位がこの手の案件を発注する立場になりましたら、ぜひともRFP(提案依頼書)をしっかりと練り上げ、提案段階からプロジェクトチームと密なコミュニケーションを取り、発注後も彼らの品質を常に管理し続ける姿勢を持って、彼らに正当なプレッシャーを与えてあげてください。

プロジェクトの成功にはクライアント自身も自分ごととしてプロジェクトに大いにコミットする、というマインドが必要です。


ミドルマネジメントはWhat/Howを求める

さて、次にミドルマネジメントです。
日本語になおすとそのまま中間管理職、トップマネジメントと現場を管理するロワーマネジメントの橋渡し役となり、トップマネジメントが定めた経営方針、経営戦略に沿って、事業/部門目標をたて、現場がそれを達成するためのマネジメントを行うことが彼らの役割です。

ここでは便宜上
 ・ミドル-ハイ:よりトップマネジメントに近い本部長、部長クラス
 ・ミドル-ロー:より現場に近い部長、課長クラス

と定義してあります。

このレイヤーでは、トップマネジメントのアジェンダと比べ、より具体的なアクション、金銭的な効果の実現を求めるものが多くなります。
当社は何をすべきか(What)、それはなぜか(Why)、という視点から一段回下がり、全社戦略の実現のために当部門は何をすべきか(What)、それをどのように実現すべきか(How)、が主な論点になるのです。

ミドル-ハイのレイヤー
クライアントの規模にもよりますが、事業部長、本部長、部長といった個別組織を束ねる立場が該当します
彼らがカウンターパートとなり、あるべき姿の業務モデルの検討、コスト削減計画、など次のステップとして具体的なアクションに移ることができる成果物をデリバリーするようなプロジェクトになります。
いわゆる、経営コンサルティング、業務コンサルティングと呼ばれる類のプロジェクトですね。

戦略コンサルには食べることのできる餅のコンセプトを描くことが求められるとしたら、経営/業務コンサルに求められるのは、その餅をどうやって作り焼くか検討し、具体的な実行計画に落とし込むこと、と言えるでしょう。

このレイヤーのプロジェクトのイメージはこんな感じです。

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ミドル-ローのレイヤー
こちらも規模によりけりですが、部長、課長といった現場チームを直接束ねる立場が該当します。
彼らのロールはミドル-ハイのレイヤーによって策定された部門戦略、業務方針に沿って、具体的な業務を遂行することが主なものになります。
このくらいになると、当部門は何をすべきか(What)よりも、それをどのように実現すべきか(How)の要素が強くなってきます
プロジェクトにおいても、オペレーションの改善、システムの導入といった具体的な解決策(ソリューション)の提供が成果物になります。

最近の流行りだと「大将!今日のお勧めのネタは?」ってノリでとりあえずAIやRPA提案してくださいってケースが少なくないのですが、このあたりはHowに囚われすぎず常にその前段階にあるWhatは何だったか、さらのその前にあるWhyは何だったか、を立場によらず常に意識して、投資対効果の低いプロジェクトを発注してしまわないようにお気をつけいただきたいですね。

コンサル側としては売上は立つのでありがたいっちゃありがたいのですが、この手の案件はどうも本質感が薄かったり、パートナーから「そもそもなんでこんなソリューションで提案してるの?」って自分が詰められたりするので…。

さて、気を取り直して、このレイヤーのプロジェクトのイメージはこんな感じです。

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ロワーマネジメントはDoを協業する

あまり馴染みのない単語かもしれません、ロワーマネジメント。
このレイヤーは一般的には発注権限などはもたず現場メンバーの直接の指揮監督を務める、係長、主任クラスが該当します。
彼らが発注者となるケースはほとんど無いのですが、ソリューションのデリバリーフェーズで協業する場合の、現場レベルのカウンターパートとして長い付き合いをすることになります。

前段のような何をすべきか(What)、なぜそうなのか(Why)、どう実現するか(How)、より更に具体的な、モノづくりを行うこと(Do)が求められます。
じゃあ餅を一緒に焼いていきましょう、美味しく焼き上がりましたね、というフェーズですね。

この段階になってくると、QCD(Quality:品質, Cost:費用, Delivery:納期)が重要な要素となり、それらを適切にコントロールし確実にデリバリーしきるプロジェクトマネジメントが求められてきます。
例えば、価格競争になりやすいシステム開発プロジェクトにおいて、SIerと比べ単価の高い総合/ITコンサルが実装まで担うケースが少なくないことから、大規模案件の進捗管理手法、複数社が入り交じる環境でのコミュニケーションの推進、課題の早期発見と展開、課題の解消までの精緻なトラックといった、コンサルティング案件で培われたプロジェクトマネジメントスキルに一定のニーズがあるのだと言えるでしょう。

日本のサグラダ・ファミリアことみずほ銀行のシステム統合のように、超大規模なSI案件になってくるとコンサルファーム、ITベンダーがそれぞれ複数社ずつ入り、開発領域ごとのプロジェクト管理と実装、更にはそれを束ねる全体統括としてのPMOに求められるスキルは非常に高いものとなってきます。

PMOについて
PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)とは、プロジェクト全体の管理、推進をサポートする役割をもった組織を指します。
PMO案件ってどちらかというと地味ですし、どこのファームでもあまり人気があるとは言えないのが現状かと思います。
ですが、餅がしっかりと焼けて食卓に並ぶまでのラストワンマイル的なサポートを行うスキルって何をやるにも役に立ちますし、ポストコンサルで事業会社の経営企画などに移り、発注側の立場となった場合などにも大いに必要とされるので、同業各位はあまりPMO案件を嫌わずにぜひとも前向きにデリバリーしていっていただきたい、とちょこさんは密かに思っています。


今回のまとめ

さて、そろそろ良い感じのボリュームになってきたので、今回はこのあたりで締めたいと思います。

結論である、戦略コンサルティング、経営コンサルティング、ITコンサルティング…の違いはクライアント側のどのようなレイヤーのマネジメントに対して提供されるサービスか、について、そして、戦略ファーム、総合ファームなどの違いは、どのようなサービスを専門としているファームなのか、について具体的なイメージを持っていただくことはできたでしょうか。

このシリーズで取り上げる予定のグローバルファームを中心とした大手ファーム以外にも、昨今は新興ファームも数多く、コロナ禍にも負けず各ファームとも活発な採用活動を行っているようです。
その中で、"当社は戦略ファームである"、"戦略プロジェクトの実績が豊富"と謳っているファームも少なからず見かけるかと思います。

カジュアル面談などに赴く際はぜひ、"御社が提供する案件のカウンターパートはどのレイヤーのマネジメントか""御社のパートナーは業界リーディングカンパニーのCxOとどの程度コミュニケーションを取れるか"などと聞いてみてください。
実態としてのサービス提供先がわかれば、そのファームがどのような立ち位置で何を専門としているのか、客観的に知ることができます。

"○○ファーム"、との名乗り方だけではなく、そのファームがどのレイヤーのマネジメントに対するサービス提供を専門としているか、という観点でコンサルティングファームを分析できるようになると、一段階深い業界研究を行うことができると思います。

では今回はこのあたりで。

次回予告

総論②として、
・戦略ファーム、総合ファームなどの各分類ごとの主要プレイヤーの紹介
・昨今の業界トレンド

などについて語っていきたいと思います!

お楽しみに!


以下、カンパいただいた方向けにちょこさんお勧めのチョコレート屋さんのリンクを貼っておきます。
今回はジェラートです。

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