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つかの間のコーヒータイム、秋の日に

いつもは素通りしているだけの某所の喫茶店。
いわゆる“純喫茶”というカテゴリに属するお店になると思う。分煙になっていないので、喫煙者にとってはパラダイスだと思うけれど、嫌煙家のわたしにとっては、あえて足を踏み入れる場所ではなかった。

ところが、今日。

いつもその店に通っているという仕事先の人が、時間がなくて出てきてしまったので代わりに行ってきてほしいという。コーヒーとケーキを頼んでもうお代も済ませてあるから、と。

それなら、とせっかくなので行ってみることにした。ちょうど休憩もしたかったし。


初めて入る店内は、なんとなくしていた想像どおり、茶色を基調とした落ち着いた空間だった。アイコスをくわえている二人組の妙齢の女性、奥にはPCを開いてやはり煙草を燻らせているサラリーマン。
ケーキにつられて来てしまったが、喫煙者しかいない空間に一瞬たじろぐ。まぁ、ちょこっと寄るだけだから短時間なら大丈夫だろうと端の席に腰をおろす。

考えてみると、こんなふうな喫茶店に長いこと来てないなということに気づく。もともと一人でご飯を食べたり、お茶をしたりすることがわりと苦手。食事なら仕事の合間に必然的にということがあるけれど、お茶とか休憩となると出先で無理して入らなくても家でゆっくりすればいいやと思ってしまう。さらに、最近はスタバとかタリーズとか、いろんなチェーン店ばかりなので、誰かとお茶するとなっても相手が喫煙者でない限りは大抵そちらに行くことになる。


初めてのお店、しかも他人様のお金で休憩させていただいているのでなんとなくそわそわしながらも、流れているインストや空間が心地よくて、次第にリラックスモードに。
それなりの広さがあるし、わたし以外に三人しかいなかったこともあり、煙もさほど気にならなかった。


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そして、なにより珈琲のおいしかったこと!
ブラックでまず一口飲んでスッキリ、モンブランをとの相性もよし。さらにケーキを食べ終わったあと、半分くらい残った珈琲にミルクをちょろっとたらしてみたら、これまた風味がふわあぁっと変化した。いつも自分で淹れてる珈琲はやはり素人の味なんだと気づかされたし、チェーン店の珈琲とも味わいが違う。ふくよかで、でも後味はさわやかな余韻が残る感じ。とっても好きな味だった。豆がなにか聞きたかったけれど、いきなりお店の人にそんなことを尋ねる勇気はなかったのが残念。

結果、許されるなら、ここで1時間くらいのんびりしたいなと思わされる空間だった。カフェめぐりが好きな人のなかで“純喫茶”好きな人がいると聞いたことがあるけれど、こういう雰囲気に魅せられるのだろうな。わたしもここなら読書とかしたくなるもの。

モンブランとともに、秋の深まりを堪能できたようでちょっと幸せな時間。
ごちそうさまでした。


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