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やっぱりもやもやエコバッグ

帰り道に寄ったドラッグストアで、どうやらエコバッグ万引の現場に居合わせてしまった、ようでした。

決定的な瞬間をしかと目撃した訳ではないので、もしかしたらもしかすると違ったのかもしれない、けれど限りなく黒に近いダークグレーな感じで、帰宅した今もなんとなくもやもやしてしまっています。

ちょっと探していたものがあったので、そのカテゴリの棚のところで結構真剣に商品を見ていたんです、わたし。ガチで裏の成分表とか効能の文字まで読んでいたので、最初はなんとも思わなかったんです。

けど、なんだか違和感が。

そのドラッグストアは陳列棚の間の通路が結構狭くて(譲り合って人がやっとすれ違える程度)わたしはトートバッグを肩掛けしつつ、低めの棚の商品も気になって体がちょっとくの字状態になってたんですね。そこを通ろうとした人がいたので「あ、すみません」と思ってバッグをちょっと持ち直してまた真剣に選んでいたのだけれど、、、

通り過ぎたはずの人がなぜかわたしの後ろにピッタリいる。

「あ、わたしのすぐ後ろにある商品が見たいのか、あぁ夢中になってこちらも品定めしてたから気づかなかったわースミマセンすみません」と心のなかでつぶやきながら、ちょっと立ち位置をずらしたわたし。

ところがその方、なにも言わずむしろわたしの方に近寄ってくる。

これで男性だったら完全に「オイ、キッショイぞ」と思ってすぐにその場を立ち去っていたのだろうけれど、相手が女性(おばちゃんとおばあちゃんの中間くらいな感じ)だったので、ついわたしも油断?してというか、気に留めずずっと自分が商品を見比べてるほうに夢中になっていたのだと思うんです。

が、その女性、わたしの背後でものすごく自分のバッグを気にしているんです。布のエコバッグを肩掛けしていたので、ビニール袋みたいにガサガサ音がするとかではないのですが、なんかね、そのバッグを開いたり閉じたりみたいな、なんともいえない動きをしていたんです。「お財布でも探してるのかな、買うものを書いたメモがどっか行っちゃったのかな」なんて思ったんですが、どうしても違和感が拭い去れなくて、ちょっと振り返って肩越しに、その人を見てみたのですが、背中が邪魔になって、手になにを持っていたのかまでは見えず。

「んん?」って思ったのですが、ちょうどその時間帯店員さんはひとりしかいなくて、しかもレジで接客中(お客さんとの話し声が聞こえた)。そしてその位置はレジからちょうど死角になっている場所。ややあって、その人は手をバッグの中に入れて、、、

「えええ?まさか?」と思ったのだけれど、「レジの方に行くでしょ」って思ってたら、スス〜ッと出入口の方へそのまま向かってゆくのです。「あ、そういえばあの人店内用のカゴ持ってなかったな」と思いながらそのままぼんやり見送ってしまったんですけれど、その人の背中が絶妙にみすぼらしい(失礼かもしれないが着ている服とかもちょっとくたっとしていてほんとにそう見えたのです)感じで、ただただなにもできないわたしがいました。

ふと我に返って、わたしの背後の棚にはなにが並んでいたのだろうと見てみると、ハンドソープのコーナーでした。そして、確かに商品が櫛の歯が抜けたようになっています。もちろん、それは今みんなが必要としている商品だから、少し前に別の人が買って、補充しないままになっていたのかもしれません。けれどもそのぽっかり空いた部分を目にして、見てはいけないものを見てしまったような気持ちにさせられました。

その人が去っていったのを見ながらレジに向かうと、ちょうど店員さんも接客が終わったようで無言で出入口の方を見ていました。もしかしたら、カゴを持たずに店内に入っていって、しばらくしてなにも買わずに出ていったその人を“怪しい”と思っていたのかもしれません。そしてなんとなくわたしと目が合って「見ました?」「やっぱりアレってそうですよね?」みたいな沈黙。そう、実際にはお互いなにも言わなかったし、ただ単にわたしの思い込みかもしれない。店員さんも次の瞬間には笑顔になってなにごともなかったようにわたしの会計をしてくれました。

あの人、もしかしたらほんとうに生活に困ってたのかもしれないし、そこにたまたまちょうど都合よく“わたし”という壁がいて(わたしがいなくてもレジからは死角ではあったのだけれど、店員さんが近くに来た場合を想定してたのか)出来心がわいたのかもしれない、、、

けれど、けれど。

そこに居合わせてしまった者としてはなんだか引っかかってしまうのです。
店内にカメラがないことを知っていて、店員さんが接客中だったのが外からも見えたから入ってきたの? もしかして、わたしがいたのはむしろ邪魔だったのか? でももしガッツリ目撃されてたら向こうはどうするつもりだったんだろう? 逆に目撃したわたしは店員さんに言った?? どうしてやってしまったのだろう? そんなに欲しかったの? などなどと。


その人の顔は見ていないので、もしまたどこかですれ違ってもあの人だときっとわからないのだろうけれど、こんな近所でも噂のそういう事件が起こっていることに少なからずのショックを受けてしまった夜でした。


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