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小さな侵入者

ちょっと暖かくなったと思ったら、どこから入ってきたのか1センチくらいの羽アリみたいな虫。ちょっと嫌だなとは思ったけれど、刺したりはしないだろうし、そのうちどこかへ飛んでゆくだろうと思って放っておいたのが二、三日前。

今朝、なにかペタペタと音がすると思ったらシーリングライトのまわりを飛んでいた。目立たないところでひっそりしていてくれたらいいのに、その不規則な足音のようなのが気になる。気にしないようにと思っていても、静かな部屋ではなんだか響く。わたしに殺意が芽生える前に、頼むからどこかに行ってくれと思っていたら、さすがにここ数日で弱ってきていたのか今度は床から30cmくらいの低いところを飛んでいる。こうなってくるとこちらも存在を意識せざるを得ない。ハエ叩き、、、どこにあったっけ。

そうこうしているうちに、カーテンに止まった。チャンス、ちゃんと外に飛んでゆくのよと思いながら、窓を開けた。

ところが。
窓を閉めるとまだ部屋の中にいる。ねぇ、なんで外に出てゆかないかな。今日はもう外も暖かいよ、わたしはできれば殺生はしたくないのよ。
再びカーテンに止まったスキに、今度は慎重にそっとくるむようにして窓を開け、ふわっとカーテンを広げて何度もパタパタとはたいた。こんな狭い家の中じゃなくて、広いお空を存分に飛び回ってくださいな。


部屋には静寂と平穏がもどった。
命を救ったとか大袈裟なことはいえないけれど、無駄に残酷な行為をしなくてすんだのだからよかったと思おうか。これがGからはじまる憎いアイツだったらこうはゆかなかった。そうじゃなければ、無闇に痛めつけることはしないけど、でもやっぱりできることなら、わたしのサンクチュアリには入ってこないでほしいわ。これからも、そういうことで、よろしくね。

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