コーヒーはフィルター
オットがお昼ごはんに
どこで何を食べているか?
なんて、1ミリも興味は無かった。
無かったのだ。
コーヒーを飲んでいたら、
唐突にオットが
「良くお昼ごはん食べに行ってた店、
リニューアルしたら、
コーヒーが美味しくなくなったから、
もう行かない…」
と静かに宣言した。
普段、出されたものを黙って食べるタイプ。
よっぽどのことだと、詳しく話を聞いた。
その都度一杯づつ、淹れていたのに、
作り置きしてるぽくて、美味しくない。
なのに、値段も上がった、
もう、行かない!と。
立派な(?)おじさんですが、
安くて美味しいコーヒーを求めて
イートイン出来る、チェーンのパン屋さんへ
行っていた様子。
食後に、おまけにつくコーヒーではなく、
コーヒーを飲みたくて選んだ店だったらしく
心底残念そうだった。
うちで、コーヒーの味とか、豆がとか、
好みとか、あんまり深く話をしたことも
無かったから、この話には少し驚いた。
いつも私のうんちくを、面倒くさそうに
聞いていた人とは思えないぞ。と
コーヒーは、フィルターになるのだ。
普段、"美味しい店"を探すとき、
無意識に、"美味しくない店"も、
検索条件に含めている。
雰囲気が良くて居心地は良いけど、
コーヒーがイマイチなお店とか、
美味しいけどいつも混んでいるとか、
色んなフィルターを通すと、
行きたい店が、どんどん減っていく。
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地元の、昔からあるなーんの変哲もない
喫茶店ってあるでしょ?
どこかで誰かに紹介されたり、
突出して目立っている訳ではないのに、
潰れない。流行っている雰囲気もないのに。不思議…
何か、すごい秘密があるのではないかと
気になって、行ってみた時期がある。
そこで、分かったこと。
ただ、地元のおじさま方が、
第2のリビングのように、
新聞を読みながらコーヒーを啜っているだけ。
店によっては、タバコも吸えたり。
そういう、超常連がいるから、
潰れないのだと悟った。
そういう店において、私みたいな客層は
珍しいのか、はたまた、
常連以外が珍しいのか、たいていは
居心地が良いとは言えないのだ。
フードやコーヒーが美味しいかも、と
気を取り直すも、ほぼ、裏切られる。
常連の、常連による、常連のための喫茶店
なのである。
常連の人さえ居れば、安泰。
ずっと同じメニューで、同じやり方で
やって行くのだろう。
そういう店で、メニューや内装の
アップデートなんて必要ないもんね。
残念なことも多いけど、稀に
自分にとっての名店が見つかることもある。
一番大事なのは、
自分にとって
ってところ。
店主の態度が違うと、
常連のおじさまの客層も違う気がする。
そういうところは、
基本、人に教えない。
秘密にしたいと言うよりは、
教えても、その人にとっては、
全然魅力的ではなかったりするから、
意味が無い。
ひとりひとり、
みんな、違うフィルターを持っているから。