「猫のゴロゴロは魔法の力」って話
猫にゴロゴロされて、癒されない人間はいるだろうか?
???
まてよ?ゴロゴロに癒されるのは、かわいいから?
そもそも、ゴロゴロってなに?
なんで鳴ってるの……?
今日は、「猫のゴロゴロが、猫自身や人間までも治癒させる」という話。
*
ゴロゴロは経験的に、撫で撫でしているときに、喉元あたりから鳴っているような気がする。
ゴロゴロするのは、猫だけで、犬がゴロゴロするのは、聞いたことがない。
ネコ科の動物で、ゴロゴロを確認できているのは、チーター、オオヤマネコ、ピューマ、サーバル、オセロット、ベンガルヤマネコなどで、ライオン、ヒョウ、トラ、ジャガーのような吠える、ネコ科動物ではゴロゴロしているのを確認できていないらしい。
ちなみにネコ科以外では、猫とは全く異なる種類の「ジャコウネコ科」の一部でゴロゴロが確認されているとのこと。
そんな調査から、吠えない→ゴロゴロする、吠える→ゴロゴロしない、という仮説も立てられている。
ゴロゴロの仕組み
ゴロゴロは、どこから、どうやって鳴っているのか?
その仕組みについて、たくさん研究が行われているものの、現代医学、獣医学をもってしても、まだはっきりとは解明されていない。
理由は、調べようとして猫に測定器を付けると、ゴロゴロが止まってしまうためらしい。
センシティブな猫だけに、難しいことなんだろう。
現時点で考えられている仕組みは、2つあって、
①血液の流れによる横隔膜の振動説
②喉元にゴロゴロ音をだす仮声帯が備わっている説
①「横隔膜の振動説」は、
喉元を通る太い血管の「大静脈」の血流が増え、血管の中で乱流(血流が渦巻くようになる)が起こり、低い音を出す。その音による振動が「横隔膜(胸と腹の間にある呼吸するための筋)」によって増幅され、ゴロゴロと音が鳴る、というものだ。
そして②「仮声帯説」では、
鳴き声をだす声帯とは別の「仮声帯 = 喉頭室皺壁(こうとうしつしゅうへき)」と呼ばれる器官を持っていて、ここを動かすことでゴロゴロと喉を鳴らしている。
ある調査で、猫の筋肉の収縮を調べたところ、ゴロゴロ鳴っているときに喉頭の筋肉が細かく収縮していることがわかり、②の「仮声帯あるいは喉頭周辺の振動」が優位となった。
一方で、のどのあたりの喉頭が麻痺して鳴くことができなかった猫の喉頭部を切除したところ、回復して泣き声やゴロゴロを再び鳴らすこともできるようになったという記録が残っていて、①の「横隔膜振動説」も排除できなくなり、この2説が残ることになった。
実際に、おなか周りで振動を感じるだろうか?
やはり喉元あたりが、ぶるぶるしているように思うのだが……
ゴロゴロ鳴らす理由
最近、ゴロゴロするタイミングは、リラックスして幸せを感じているときだけでなく、不安な時にも鳴る、ということが知られるようになってきた。
では具体的に、どんなときになぜ鳴らすのか?
猫は生まれて数日たって、自分を守ってもらうよう母親にアピールするために、ゴロゴロ鳴らし始める。
逆に、母親もゴロゴロ鳴らすことで、子供に居場所を教えたりして子供とコミュニケーションをとるために行う。
それ以外にもわかっているのが、
飼い主になでられてリラックスして気持ちがいいとき、その他怪我をしたときや病院などで緊張したとき、出産のとき、死の直前など、
総合すると気持ちが高揚しているときというのが、鳴らすタイミングのようだ。
ゴロゴロすることで、不安や緊張などのストレスを静めて良好な状態にする「癒しの行動」だと考えられている。
ゴロゴロで骨折治癒
そしてこのストレス後の癒しの行動は、骨の成長を促進するとも考えられている。
以前から、ネコ科の動物は骨折の回復が早いことが知られていて、その理由がゴロゴロの振動にあるのではないか?ということで注目されていた。
1999年、ニューヨーク州立大学のクリントン・ルービン博士は、猫のゴロゴロの基本周波数は25~30Hzであり、20~50Hzの音響周波数が、骨折の治癒と骨再生を加速することを発見した。
つまり、ゴロゴロとほぼ同じ周期の振動を、骨折した患部にあてると、直りが早くなる、ということなのだ。
サッカーのディビッド・ベッカム選手や野球の松井秀喜選手も骨折したときに、この結果を応用した超音波治療を行ったことが話題となり、ゴロゴロの効果を知った人も多いかもしれない。
超音波治療では、微弱な超音波を1秒間に1000回というパルス状にして1日1回20分間、骨折部に当てることで、骨折の治療期間が38%も短縮するそうで、実際にベッカム選手は全治3か月に対して1か月半で復帰したそうだ。
まだまだ知られていない猫の能力
ゴロゴロには、猫自身だけでなく、人間もリラックスさせるだけでなく、骨折まで治してくれる、不思議な力あることがわかった。
実は他にも報告されていて、例えば地震を予知したり人間の死期を察知する、「第六感」的な能力をもっているらしいということ。
う~ん。
猫の割には、よくキャットウォークからすべり落ちたり、はたまた、ベランダにカラスが飛んで来ても、全く無反応なウチのヨタロウには、とてもそんな能力があるとは思えないのだが……
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