063 紫陽花
「嫌いになったわけじゃないんだけど…」
ばつが悪そうに俯きながら、私が傷つかないようにと言葉を選んでいる。
彼が2時間かけて私に話そうとしていることは他の人を好きになった、別れたい。と言う事だけ。
それなのに、つらつらと私への感謝の言葉を重ね、最後は決まって「嫌いになった訳じゃない」と言う。
そう言われるたびに、女としての魅力がなくなったんだと言われてるようだった。
もういいよ。
そう私が言うと彼は少し気が晴れたように、顔色が変わる。
でもすぐにハッとして、それを隠そうと、慌てて顔を伏せた。
涙も出なかった。
私がこんな時に泣けたのなら、可愛く甘えられたら、ピンクが似合うような女の子だったら
君は好きでいてくれただろうか。
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青い紫陽花の花言葉は、『冷淡』『無情』『辛抱強い愛情』。
白い紫陽花の花言葉は『寛容』。
ピンクの紫陽花の花言葉は、『元気な女性』『強い愛情』。
紫陽花が咲いてると春が終わったことに気付かされる。そして私はまた桜に焦がれる。。。。
ちなみにショートストーリーについては全くのフィクションです。でも1枚の写真から、色んなことを妄想するのも楽しい。