『アンデルセン童話集』から読み盗った3つのこと
みなさん、こんにちは。
今回は、出口治明 著『教養は児童書で学べ』で紹介されている『アンデルセン童話集(全3巻)』から読み盗りました。(「能動的な読書」を目指しておりますので、「読み盗(と)る」というアグレッシブな言葉を使わせてもらっています。)
本書の概要
著者 アンデルセンはデンマーク生まれの童話作家です。貧しい家に生まれ育ちましたが、チャンスを掴み大成します。本童話集は全3巻あり、「みにくいアヒルの子」「マッチ売りの少女」「人魚姫」など33の童話が収録されています。
本書は、貧しく辛い経験をした著者が紡ぐ、暗闇の中の光を見つける物語集です。
では『アンデルセン童話集』から読み盗った3つのことを書いていきます。
まず1つ目は、
①感覚が紐づくと言葉は豊かになる
ということです。
「おとなりさん」というお話で、塩漬けされるバラをスズメが皮肉ります。
そうするとフランス語の名まえがつくんだよ。わたしなんかいえないような名まえさ。なにいえなくたってかまやしないけどね。
この「フランス語の名まえ」が気になったので少し調べてみました。
おそらく「pot-pourri (ポプリ)」のことで、香草やスパイスを容器に入れて作るフレグランスのことだと分かりました。
Googleで画像検索すると
こんな感じです。
恥ずかしい話ですが、検索する前まで「ポプリはお店の名前」という認識しかありませんでした。ですがこうして、色や香りが紐づけられてちょっと幸せになった気がします。
色・香り・音・味・温度など、感覚が紐づくと言葉は豊かになる と読み盗りました。
続いて2つ目は、
②人は信じたいものを信じる
ということです。
「銀貨」というお話があります。銀貨は擬人化され、異国を旅することになります。母国では通貨だった銀貨も、異国では認めてもらえません。
「この国のお金じゃない。にせものだ。通用しないよ。」
そう言われ、銀貨はこんなことを考えます。
世間の人は、世間がこうこうだと信ずるものをそのまま信ずるものだ。
この一文は本質を捉えていると感じました。
良くも悪くも、人は信じたいものを信じる と読み盗りました。
最後の3つ目は、
③面白さは足していったほうが面白い
ということです。
「とうさんのすることはいつもよし」という話の冒頭に、こんなことが書かれています。
つまり、世の中のお話というものは、年をとるにつれて、ますますおもしろくなっていく人と同じようなものなんですよ。
反射的に「いや、そんなことはない」と思ってしまいました。「みにくいアヒルの子」や「マッチ売りの少女」が年をとるにつれて面白くなっている、とは思えなかったからです。
でも誠実に内省すると、それは面白くない考え方な気がしました。
子どもの頃の面白さを思い返して、今の面白さに足しちゃう。そのほうがよっぽど面白いなぁと思い直しました。
引き算してるのは自分のエゴで、面白さは足していったほうが面白い と読み盗りました。
まとめ
『アンデルセン童話集』から読み盗った3つのこと
① 色・香り・音・味・温度など、感覚が紐づくと言葉は豊かになること
② 良くも悪くも、人は信じたいものを信じること
③ 面白さは足していったほうが面白いこと
次回は『さかさ町』(F.エマーソン・アンドリュース 作/ルイス・スロボドキン 絵/小宮由 訳) から読み盗ってみます。
最後までお付き合いいただいて
ありがとうございました。
では、またです。