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サラダ嫌いのサンドイッチ(創作)

「言葉であそぼ」では、五十音を使って物語を描いていきます。今回は「さ」から始まる言葉がたくさん入っています。

(司会者)

さて、こうして皆様とご一緒に過ごしてまいりましたお2人の結婚ご披露宴も、どうやらおひらきの時が近づいてきたようでございます。
ご新婦が1通のお手紙をしたためてこられましたので、ご自身からお読みいただきたいと思います。


(花嫁の手紙)

皆さま、本日は私たちのためにお集まりいただき、本当にありがとうございます。私事ではありますが、少しお時間をいただいて最愛の母へ手紙を読ませていただくことをお許しください。

大好きなお母さん、私は今日お嫁に行きます。私を女手一つで育ててくれて本当にありがとう。私からの感謝の手紙を聞いてください。

朝早くから夜遅くまでずっと人生の盛りを働き通しだったお母さん。大変なときがあっても、いつも爽やかな笑顔で過ごしていましたね。その笑顔にどれだけ救われていたか。どんなときも私のことを支えて、手を差し伸べてくれるので、心から安心していました。

私のことを大切に考えてくれるのと同じように、私の友だちのことも大切にしてくれて、本当に感謝しています。
友だちもみんな、お母さんのことが大好きで、私がいないときでもお母さんに相談にくるほどでしたね。「サバサバしていて素敵」「颯爽としている」「サザエさんみたいで楽しい」と誉めてもらうのは嬉しかったけど、あまりにも仲良しでときどきヤキモチをやいたりしていました。気がついていたかしら。
一度友だちに「私よりも仲良しだよね」と言ったら、「お母さんは話し終わった後に必ず『あの子をよろしくね。私の宝物なの』とささやくのよ」と言われました。恥ずかしさと嬉しさで、さすがに顔が真っ赤になったのが昨日のことのようです。

学生時代、少し反抗期だったころ、お母さんの言葉に耳を傾けることができず、生意気なことを言ったりしたこともありましたね。あの時は本当にごめんなさい。
私がピリピリしているのを察すると、さりげなくサンドイッチを作ってくれましたよね。サラダが苦手な私がサンドイッチにすると盛んに食べると言って、いろいろ工夫してくれた野菜のサンドイッチ。サッパリしていて美味しいサンドイッチ。
これからは新しい家族に、私が作っていこうと思っています。

お母さんを一人にして寂しくさせてしまうのが心配で、なかなかプロポーズにOKできなかった私に、「さっさとお嫁にいきなさい。そして最高の日を私にも味わわせて」と背中を押してくれましたね。

お母さんが勇気を授けてくれたおかげで、彼のお義父さん、お義母さんにもあたたかく迎え入れていただき、新しい人生をスタートすることが出来ました。

本当にありがとう。お母さんの娘でよかった。この定めに感謝しています。
これからもどうか見守っていてください。娘でいさせてください。

サービス精神が旺盛で幸せを探し当てるのが得意なお母さんと過ごした毎日は私の財産です。裁縫の才能は引き継がなかったけど、明るさと元気はしっかりと引き継いで、これからも幸多い家庭を作っていくね。

大好きなお母さんへ。

本当に本当にありがとう。

【さ】
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ちょっちょ
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