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悲恋にさめざめ『錦秋十月大歌舞伎』

金曜日、会社に午後休をいただき、行ってまいりました錦秋十月大歌舞伎。

夜の部が泉鏡花の名作『婦系図』、仁左衛門さまと玉三郎さまが初共演ということで、発売日10時にあっという間にチケットは売り切れていき、平日しか取れなかったのです。
もう一つの演目の『源氏物語 六条御息所の巻』も人気でしたしね。

というわけで期待値マックスで伺いましたが、いやー、さすがです。舞台から遠い三階席でも十分に堪能させていただきました。

3階10列からの緞帳の写真です。

『婦系図』のニザさまが24,5歳に見えるのもすごいですが、玉さまのお蔦の可愛らしさが絶品で、だからこそ二人の哀しみがより一層伝わってきました。

湯島境内は、オペラグラス→涙ぬぐう→裸眼→涙ぬぐう→オペラグラスの繰り返しでずっと泣いておりました。他の方の鼻をすする音まで美しい。お蔦が本当に健気でいじらしいのですよ(思い出しただけでまた泣けてきます)。
湯島の白梅で有名なアノ台詞を、玉さまで聴けたのも嬉しかった!

こんなに泣いたのに幕間にめでたい焼きを食べるのは忘れません。
焼きたてのうえに紅白のお餅入りで本当に美味しいです。


2回目の幕間のあとは『源氏物語』。
先ほどまでと打って変わって気品ある知的な玉さま。光源氏との連れ舞がしっとりとおごそかで、まさに目の保養という感じ。染五郎さんの光源氏もとても美しかったです。
ここでの美しさがあってこそ、葵の上のところにあらわれる生き霊の玉さまの怖さも際立ちます。

いくつかの几帳が並ぶシンプルなセットでしたが、お衣装と照明もあり、大変雅やかな雰囲気でした。

佳い舞台を拝見できてありがたかったです。
感謝感謝。

今月の筋書きの表紙もすてき。

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