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牡蠣がらにかくれて(創作)

「言葉であそぼ」では、五十音を使って物語を描いていきます。今回は「か」から始まる言葉がたくさん入っています。


カサコソ
カリカリ
カランコロン

音がひびいて重なって
ぼくらはたくさん生まれたよ

みつけられたら大変だから
かしこくかわいくかくれんぼ

陸にあがったともだちは
乾いたところでかくれんぼ

カミキリムシやカマキリに
みつからぬようバレぬよう
カブトムシやらカタツムリ
遊ばれぬようかくれます

ひとりはかるがる柿の木へ
ひとりは駆けって草原へ
風をからだに受けながら
光も影もかくします

水にもぐったともだちは
覚悟をきめてかくれんぼ

川に来たカバ、カピバラに
食べられぬよう見えぬよう
カニのはさみに気をつけて
いじられぬようかくれます

海を選んだともだちが
最初に聞くのは言い伝え
同じ憂き目にあわぬよう
悲しい過去が語られる

むかしむかしのそのむかし
海藻のかげ、かなり奥
かすかな気配がしたからと
のぞいてみたら牡蠣がいた

レースのようにヒラヒラな
縁はキラキラ輝いて
縞の模様はかっこよく
みんな歓喜の声あげた

無理やり殻をこじあけて
代わりに入る牡蠣のなか
かよわくかそけき姫ごっこ
うっとりうとうと眠ります

からだが熱いと目が覚めた
とき、おそかりし由良助
網に並んだ牡蠣たちは
ぶくぶくぶくと加熱され

海水浴の家族連れ
硬い殻でもなんのその
片手でナイフを握りしめ
グッと開いて口のなか

動物たちに食べられた
仲間は生まれ変わるけど
人間たちに食べられりゃ
二度と帰ってこられない

語り継がれる物語
みんな牡蠣には近寄らぬ

お山が雪のかんむりを
はじめてかぶるそのころは
仲間の数はだんだんと
減ってさみしくなっていく

生き残りたるものどもは
完全体に仕上がって
活躍ぶりもめざましく
株式会社を設立す

課題解決 改善提案
開運祈願に冠婚葬祭
開花宣言 関白宣言
なんでもござれのこの会社

受けた依頼は完璧に
カスタマイズはかろやかに
観音さまや神さまを
味方につけてガムシャラに

会話もひかえてがんばって
あなたにとって価値のある
解決めざしてひたすらに
感謝をこめてつくします


だけどときどき疲れ果て
みんなでこっそりかくれんぼ

そんなときには探さずに
可能なかぎり寛容に
ふたたび顔を出すまでは
がまんでおまちくださいね

どうぞお願いいたします

【か】
牡蠣/かくれる/カサコソ/カリカリ/カランコロン/重なる/かしこい/かわいい/かくれんぼ/乾いた/カミキリムシ/カマキリ/カブトムシ/カタツムリ/かるがる/柿の木/駆ける/風/からだ/影/かくす/覚悟/川/カバ/カピバラ/カニ/悲しい/過去/語る/海藻/かなり/かすかな/牡蠣/輝く/かっこよい/歓喜/殻/代わり/かよわい/かそけき/加熱/海水浴/家族連れ/硬い/片手/変わる/帰る/語り継ぐ/かんむり/かぶる/数/完全体/活躍/株式会社/課題解決/改善提案/開運祈願/冠婚葬祭/開花宣言/関白宣言/会社/完璧/カスタマイズ/かろやか/観音さま/神さま/ガムシャラ/会話/がんばる/価値/解決/感謝/可能/かぎり/寛容/顔/がまん

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