テナガカクレウオ ちょぼ先生の自己満おさかな図鑑 vol.74
ナマコやヒトデの肛門へ入り込み、借りぐらしをする「テナガカクレウオ」のご紹介です。
・標準和名
テナガカクレウオ
・漢字
手長隠魚
・学名
Encheliophis homei
・分類(仲間分け)
アシロ目カクレウオ科カクレウオ属
・大きさ
全長20cmくらになる。体全体が透明。シロウオやシラウオを連想させる。頭部付近の体の側面に黄色みを帯びた部分があり、なんかフラッシングを発するワームみたいである。
鱗と腹びれがなく、シルエットはウナギやチンアナゴみたいでつるんとしている。甲殻類や小型魚類を食べる動物食性。意外かもしれないがよく見ると顔つきが、いかついので納得できる。
ちゃっちいペグみたいなサイズ感である。
・生息地と知名度(認知度)
カクレウオ科のおさかなはすべて海水魚である。暖かい海のサンゴ礁の浅瀬に生息。日本でも限られた海域にしか住んでいないので、なかなかお目にかかれない。はっきり言って超マイナーなおさかなであると思う。
知名度を例えるなら、漫画みどりのマキバオーに出てくる「ヒゲドラゴン」くらいの知名度である。
・ちょぼ's コメント
ヒトデやナマコの消化管の中に住んでいるので、カクレウオという名前になった。ナマコの肛門で暮らしているのである。ナマコの肛門に隠れているのでカクレウオなのである。そこに目を付けたかと感心してしまう。
ナマコの体内の方にいる方が安全じゃね?と思って気が遠くなるような長い年月をかけてナマコの肛門から体内に入りやすいような体を形作っていったのだろうか?なんかするんと入っていきやすそうな体型しているもんなぁ。ホント進化っておもろいよね。
普段はナマコの体内にいて(魚類界の借りぐらしのアリエッティやな)、エサを食べる時だけ海中に出ていく。なんとも省エネな生活である。さらにナマコが食べ残したものも食べると言われているので、住まいも安全だし食べ物も供給されるしで、ほぼ引きこもりのような生活である。ナマコ1匹に対してカクレウオが16匹入っていたという記録もあるので、よほどナマコの体内が安全で居心地がいいのだろう。
片方に利益があり、もう片方には利益でも不利益でもない共生のことを生物学的用語で、「片利共生(へんりきょうせい)」という。
カクレウオとナマコの関係は片利共生と言われている。カクレウオはそりゃニート生活を満喫さしてもらっているので、利益がありありだが、ナマコは不利益ではないのか?と思ってしまう。肛門からいきなりにゅるんと入ってきて、なんか許してもないのに勝手に生活し出して、自分の食べたものをなんか食ってるしで(まぁ食べ残しの未消化のものだが)マイナス面の方が大きい気がするのは私だけでしょうか?まぁナマコは体内に入られても生きていますし、なんら問題がないんでしょうね。生物間の関係性って我々の理解の範疇を超えていますから、実際のところは想像でしかないですけども。
内臓を取って、素揚げにしたらフィッシュチップスみたいで美味しそうだが、食品として利用している例がほとんど見られないので、食味がどんな感じか全くわからない。そもそも釣れるようなおさかなではないし、捕まえようにもナマコの体内にいるから至難の業である。あ!ナマコの体内にいるからナマコを採って捌いてみたら見つかるかもね。その前にナマコって、漁業法が改正されて特定水産動植物に指定されたから、採ったらダメやったわ。ナマコの肛門から出てくるのを辛抱強く待って捕まえるしかないね笑。
画像はwebさかな図鑑から引用