シェア
ちょび
2017年9月17日 20:01
花火なんて何年ぶりだろうか。 僕の横に座った香織がくすっと笑った。小さい頃には長かった黒髪も今では短く揃えてふぁさっと軽やかに揺れる。横顔は花火の緑に照らされて。 小さい頃よく遊びにきた砂浜。田舎だからなのか、夜になれば人気もほとんどいなくなるような、だだっぴろい世界。夜の砂浜も、怖くなくなったんだな香織。「花火ってさ、やってると馬鹿みたいに楽しい気分になったり、かと思えばしんみりしたり
2017年8月28日 18:31
ベランダの窓を開けると、ムワッと重たい空気と一緒にくぐもった音が入ってきた。 「そういえば花火大会だね、今日」 振り返って、ベッドで本を読む彼に言う。 「そうなんだ」 ぺらっとページをめくる音。 「うん、なんか音、聞こえる」 「ほんとだ」 会話の度に視線はこちらに向いて、そして数瞬の後で本に戻る。 私はフローリングに座り込む。ヒンヤリしていて気持