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コミュニティで「共有」されているものとは?5つに分類してみよう

コミュニティとは何なのか?その形は様々ですが、共通しているのは何かを「共有」していることです。

共有は仲間意識や安心感を生みます。共有されている何かがあることで、人々はコミュニティに所属する意味を見出し、居場所を見つけり楽しんだり成長したりするのです。

共有するものによってコミュニティの特性や活動、そしてメンバー同士の関係性は大きく変わります。本記事ではコミュニティが共有する対象を「価値・信念」「情報・知識」「経験・興味」「資源・資金」「地縁・血縁」といった5つのカテゴリーに分類し、それぞれについて掘り下げていきます。こうした分類を通じて、私たちはどのようにコミュニティに関わっているのかを考える一助となるでしょう。あなたが所属するコミュニティ、または関わりたいと考えているコミュニティも、きっとどこかにあるはず。

それではいきましょう!



①価値・信念の共有

価値観や信念を共有するコミュニティは、個人のアイデンティティや生き方に深く結びついています。この「価値・信念」には、宗教や思想、社会的理念、個人の人生哲学などが含まれ、多岐にわたります。

a.宗教・スピリチュアルな信仰

宗教やスピリチュアルな信仰を共有するコミュニティは、精神的な支えを提供する役割を担っています。礼拝や瞑想などの共通の儀式を通じて、メンバー同士は深いつながりを得ています。このようなグループは、個々の精神的な充足感を促すだけでなく、地域社会に対する貢献活動も行い、信仰を基盤に社会的役割を果たすことも多いです。

b.社会的・政治的な信念

社会的・政治的な信念を共有するコミュニティもまた、多様なテーマに取り組んでいます。環境保護、人権擁護、ジェンダー平等といった社会課題に対する共通の目標を持つメンバーが集い、同じ価値を共有することで、より大きな社会的影響を生み出します。こうした活動を通じて、個々の信念が具体的な行動となり、社会を変える力となることもあります。

c.ライフスタイルや人生哲学

現代のライフスタイルや人生哲学を共有するコミュニティも、価値に基づく強固な結びつきを持っています。「シンプルライフ」や「ミニマリズム」、「サステナビリティ」を実践する人々が集まり、実生活での工夫や経験を共有し合うことで、メンバー間に共感と理解が生まれます。このようなコミュニティは、個人の生き方を肯定し、安心感を提供することで自己成長を促します。

d.アイデンティティ

アイデンティティを共有するコミュニティは、民族、文化、ジェンダーなどの共通点に基づき、メンバーに安心感と帰属意識を提供します。 マイノリティが集うコミュニティでは共通の経験や課題感を持つメンバーが集まり、自分らしさを尊重し合う場を作り出しています。これにより、社会的な不平等に対抗するだけでなく、自らの文化や価値観を共有・発信する場ともなっています。

e.倫理的な消費や行動

倫理的な消費や行動を推進するコミュニティも増えています。エシカルファッションやフェアトレード商品を支持する人々は、消費を通じて社会や環境への配慮を示し、持続可能な未来を目指しています。このようなコミュニティは、消費行動を通して価値を共有し、社会的影響を広げる力となります。


価値・信念を共有するコミュニティに共通するのは、メンバーが単なる交流にとどまらず、互いの価値を尊重し合い、社会的な影響を生む存在であるということです。信念の共有は、メンバー間に深い信頼感と結束を生み出し、個々の自己実現と社会貢献を両立させる重要な役割を果たします。


②情報・知識の共有

情報や知識を共有するコミュニティは、個々のスキル向上や問題解決を目的とするだけでなく、自己成長や社会への貢献をも促進する役割を担っています。このようなコミュニティは、学びを深め、成長を加速する重要な場となっています。

a.専門知識・技術

特定の知識や技術に特化したフォーラムは、情報共有の典型的な場です。たとえば、プログラミングや医療、教育などさまざまな分野において、初心者から専門家までが集い、最新の知見や実務的なアドバイスを互いに共有しています。このような場では、質問を通じて学び合い、経験を分かち合うことで、コミュニティ全体の知識水準が向上します。

b.オープンソース

技術分野において顕著な例がオープンソースプロジェクトです。世界中の技術者がコードを共有し、共同で開発を行うことで新しいソリューションが生まれています。このようなコラボレーションを通じて、コミュニティ全体の技術力が向上し、目標が達成されていきます。

c.自己成長・学習

自己成長を目指す人々が集まる学習プラットフォームも多く存在します。たとえば、語学学習やプログラミングスキルの習得を目指すグループでは、進捗を共有し合い、互いに励まし合うことでモチベーションを維持しながら学びを深めます。このようなコミュニティでは経験を共有することで一層の理解を深める場でもあります。

d.DIY・ハウツー

DIY(Do It Yourself)やハウツーを共有するコミュニティも発展しています。料理のレシピ、手芸やガーデニングの技術など、趣味に関する知識が広く共有され、共通の興味を持つ人々が互いに学び合う場となっています。


情報や知識を共有するコミュニティは、個人の成長とスキルアップを促進するだけでなく、メンバー間の信頼関係を強化し、相互支援を可能にします。共有を通じて生まれる価値は、単なる知識の伝達にとどまらず、新しい発見や創造性の育成を促すものであり、現代の学習や社会の発展に不可欠な要素となっています。


③経験・興味の共有

経験や興味を共有するコミュニティは、共感と楽しみを基盤に人々が集まる場です。人生の特別な経験や趣味を共有することによって、メンバー間に深い結びつきが生まれます。こうしたコミュニティは、個人の精神的満足やリフレッシュにも大きく寄与します。

a.趣味・クリエイティビティ

映画、音楽、読書、アート、ゲームといった共通の趣味を持つ人々が集まるコミュニティでは、情報の交換や楽しみの共有が中心となります。映画愛好家のグループでは、新作映画や監督の技法について意見を交わし、さらに深い見識を得ることができます。ゲームやアートに関するコミュニティも、世界中の同好の士と交流し、新しいアイデアや作品が生まれる場として機能しています。

b.スポーツやレクリエーション

スポーツやレクリエーション活動を通じてつながるコミュニティは、身体的な健康増進のみならず、チームワークや友情の構築に寄与します。ジョギングクラブやサッカーのアマチュアチーム、ヨガやピラティスのグループなど、多様なスポーツの愛好者が集まり、共に健康的な生活を楽しみながら、互いの成長を支え合います。また、イベントや大会を通じて同じ目標に向かって努力することで、達成感と一体感が強化されます。

c.ライフステージ・生活体験

特定のライフステージにおける経験を共有するコミュニティは、育児や介護といった日常的な課題に直面するメンバーにとっての支えとなります。子育て中の親たちが集まれば、育児の知識や経験を共有することにより、孤独感が軽減され、現実的な助言と情緒的な支援が提供されます。このようなコミュニティは、個人の生活を豊かにし、安心感を与える重要な存在です。


経験や興味を共有するコミュニティは、メンバー間の共感を育み、日常生活に喜びや楽しみをもたらす場です。このような場で共有される経験は、自身の趣味の活動を広げるきっかけとなり、人生の多様な局面での支えやインスピレーションとなるでしょう。


④資源・資金の共有

資源や資金を共有するコミュニティは、経済的効率性と新たな価値の創出を目的としています。個々人の経済状況や地球環境への負担を軽減し、より豊かな生活やビジネスの機会を創出するのです。シェアリングエコノミーの拡大に伴い、物品の貸し借り、共同での資金の調達、空間の共有など、多様な形態の資源共有が現代社会に根付いています。

a.モノのシェアリング

カーシェアリングや自転車のシェアリングなど、移動手段の共有は、個人所有のコストを抑えながら、必要なときに効率的に利用する利便性を提供します。さらに、家具や電化製品といった生活必需品のシェアも広がり、特に短期間の使用や引っ越し時に重宝されています。このような共有の形態は、資源の効率的な利用を可能にし、環境への負荷を軽減するだけでなく、利用者間の信頼関係を育む役割も果たします。

b.空間のシェアリング

コワーキングスペースやシェアハウスのように、空間を共有するコミュニティも増えています。コワーキングスペースでは、異なるバックグラウンドを持つ人々が共に働くことで、新たなアイデアの創出やビジネスチャンスが生まれます。シェアハウスは住居を共有しながら互いに支え合うことで、経済的負担の軽減とともに新しい人間関係を築く場となります。このような空間の共有は、経済的利点と交流の機会を提供し、生活や仕事の質を向上させる手段となっています。

c.クラウドファンディング

クラウドファンディングは、資金共有を通じて新しいプロジェクトやアイデアを実現するための方法として注目されています。個人や団体がプロジェクトを公開し、その内容に共感した支援者から少額の資金を集めることで、銀行など従来の資金調達に依存せずにプロジェクトが成立します。これにより、多様なアイデアが具体化されると同時に、支援者とプロジェクトとの間に信頼と共感が生まれ、コミュニティとしての一体感が形成されます。


資源・資金の共有を基盤とするコミュニティは、単なる経済的メリットにとどまらず、メンバー間のつながりと信頼を強化したり、生活の質を向上させたりする重要な役割を果たします。資源を効率的に利用し、持続可能な社会を目指すこれらの活動は、私たちの暮らしの新しいスタイルとも言えます。


⑤地縁・血縁の共有

地縁や血縁を基盤とするコミュニティは、個人を超えた深い結びつきと長期的な安定性を特徴としています。地理的な近さや家族の絆によって、人々は互いに支え合い、安心感を得ています。こうしたコミュニティは、日常生活の支援や社会的な結びつきの維持において重要な役割を果たしています。

a.地域社会

地縁に基づく地域コミュニティでは、近隣住民が共通の課題に取り組むことで共同体意識を育てます。例えば、地域イベントの開催や防犯活動、清掃活動などを通じて、住民同士の協力関係が築かれます。これにより、地域全体がより安心して暮らせる環境が形成され、地域の結束力が強まります。また、伝統行事や地域文化の継承を通じて、次世代へと価値が受け継がれ、地域社会への愛着が深まります。

b.家族・親族

血縁を基盤とするコミュニティは、家族や親族のつながりを通じて互いに支え合う場です。親族同士のネットワークは特に高齢者や子育て世代にとって大きなサポートとなり、日常生活の中での助け合いや心理的な安心感を提供します。例えば、高齢者が家族と近くに住むことで、健康や安全面の支援を受けやすくなり、子育て世代にとっても働きやすい環境が整います。こうした家族間の相互支援は、個々の生活の質を向上させる要素として機能しています。

c.自治会・町内会

自治会や町内会といった地域組織は、地縁を共有する重要なコミュニティです。これらの組織では、防犯パトロール、地域清掃、ゴミの適切な処理など、地域の日常生活に密接に関わる活動が行われています。また、防災計画の整備や高齢者の見守り活動など、住民の安全と福祉を確保するための取り組みも行われており、地域全体の安心感を強化しています。これらの活動を通じて、地域の協力関係が維持され、社会的結束が深まります。

d.同郷者ネットワーク

故郷を離れて都市部や異国で暮らす「同郷者」のコミュニティも、地縁に基づくつながりの一つです。共通の文化や価値観を共有することで、互いに支え合い、新たな環境での生活に適応する助けとなります。例えば、同郷者が集まり郷土料理を楽しむイベントや、情報交換の場を設けることで、都市での孤独感が和らぎ、生活における実際的な支援が提供されます。また、就職や住まいに関する情報共有を通じて、同郷者同士が新しい生活環境に迅速に適応できるようサポートし合います。


地縁・血縁を基盤とするコミュニティは、長期的な安定性と深い信頼関係を提供するため、人々にとって重要な心の拠り所となります。これらのコミュニティは、生活上の支援や文化の継承を可能にし、地域社会や家族の結束を強化する役割を担っています。また、個人が地域や家族とつながることで、自己のアイデンティティを再確認することができるでしょう。


おわりに

コミュニティは「共有」をベースに形成されます。本記事では、様々な種類のものごとを共有した人々が集うコミュニティと、その理由や効能を解説してきました。一人ひとりに異なる目的や背景があったとしても、そこに共有するものごとがあるのです。もしみなさんがコミュニティに関わる活動をされているのであれば、そこで何が共有されているのかを考えてみるのも面白いかもしれませんね。



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黒田悠介|コミュニティ研究家|Commune Community Lab 所長
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