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「界隈toコミュニティ」を6Sフレームワークで理解しよう
先日は「コミュニティと界隈の違いは縁(ふち)の有無」というテーマで界隈について抽象的な観点から分析を試みました。その後各所から界隈とコミュニティの違いだけでなく、両者を融合させる発想について相談を受け、ディスカッションするなかで私自身もさらなる可能性を感じています。
この記事では、界隈の盛り上がりからコミュニティを立ち上げる、いわば「界隈toコミュニティ」について現時点で構造化したフレームワークをご紹介します。フレームワークの名前は「6S」です。それではいきましょう!
界隈toコミュニティとは
界隈は、特定の興味関心を共有しSNSでゆるやかにつながる集団です。ただし、明確な境界や中心はなく、非常に流動的という特徴があります。このあたりは以前の記事にも書いたので読んでみてください。
企業やブランドにとって、この界隈に向き合うことももちろん必要です。そこで生まれた話題や熱量によって商品の認知が広がったり購買につながったりもするからです。ですが、発生しては消えていく界隈も多く、どうしてもその付き合い方は短期的にならざるを得ません。
一方で、界隈よりも中長期的に取り組むことができるのがコミュニティです。コミュニティには境界があり、その内側で安心感が高まったり熱量が高めやすかったりするメリットもあります。時間をかけて商品のユーザーを育成し、理解し、新たな顧客の創出へとつなげていくには、界隈よりもコミュニティのほうが有利になるケースも多いのです。
そこで、短期的に界隈と向き合いつつ、そこでの接点からコミュニティに誘導することで中長期的な関係へと変化させる「界隈toコミュニティ」の発想が必要となるのです。以下にそのフレームワークをご紹介します。
6Sフレームワーク
6Sフレームワークは、企業やブランドが界隈でどのように振る舞い、コミュニティに誘導するのかを整理したフレームワークです。時間軸上でのアクションの頭文字がすべてSとなります。以下のような図で表現されるので、ご覧ください。
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Search(探す):投稿のキーワードや写真、プロフィール文から界隈を発見する
Study(学ぶ):熱量の高さ、話題性、興味関心、困りごと、常識などの界隈の特徴を学ぶ
Support(支える):界隈に貢献する。界隈での発信に対してリアクションしたり、困りごとを解決したりする
Suggest(提案する):界隈での活動がより充実するような利用シーンの提案など踏み込んで発信する
Stir up(盛り上げる):界隈の世界観に寄り添い界隈を盛り上げるキャンペーンやプロジェクトを発信する
Spread(広がる):界隈の内部でブランドの認知や愛着が広がる。また、他の外部への波及の可能性もある
Search(探す)/Study(学ぶ)
SearchとStudyは界隈と本格的に向き合いための事前準備です。界隈が一覧化された便利な一覧表はないので、自ら自社のビジネスゴールとマッチする界隈を探し、学ぶ必要があります。
Support(支える)/Suggest(提案する)/Stir up(盛り上げる)
界隈を探し出し、その特徴を学んだあとに、まずは界隈に貢献することで信頼を得るのがSupport(支える)のフェーズです。このフェーズでは界隈での発信に対して受動的な対応にとどまります。その後、そのSupport(支える)で得た信頼を足場に少しずつ能動的なアクションを取り始めるのがSuggest(提案する)です。企業として界隈の人々と横並びの関係性を築いていきます。そして、最終的には能動的にリーダーシップを取り熱量を高めるStir up(盛り上げる)へと進んでいきます。このとき、企業のビジネスゴールを優先しすぎずに、界隈のカルチャーにマッチした取り組みをするのが重要になってくるでしょう。
こうして界隈に関わるなかで接点が生まれた人々にコミュニティを案内することでコミュニティの立ち上げや成長に繋げることができるのです。その後はオンボーディングや活性化など、コミュニティ運営の領域に入っていくため、今回は割愛します。そのかわり、ぜひCommune Community Labの他の記事を参考にされてください。
Spread(広がる)
Support(支える)/Suggest(提案する)/Stir up(盛り上げる)によって生まれた信頼、関係性、熱量は界隈のなかで広がっていきます。また、複数の界隈にまたがる人々が他の界隈にもそれらを広げてくれることでしょう。こうして新たな界隈と向き合うためにSearch(探す)/Study(学ぶ)を再開するのです。こうして6Sのループが回っていくのです。
最後に
この6Sフレームワークによる「界隈toコミュニティ」というコンセプトはこれから実証していく段階です。みなさんもぜひSNSにおける界隈とコミュニティを統合する際には、このフレームワークを活用してみてください。フレームワークがあると思考や戦略を整理しやすくなるので、今後も定期的に生み出していきたいと思います。最近ではコミュニティ時代の消費行動モデル「CoLoTASS」が好評でした。
近日中に界隈にまつわるウェビナーも開催予定なので、お楽しみに!!そこでの発見を活かして6Sをアップデートしていけたらと思っています。
研究について詳細が気になる方や、コミューン株式会社にご興味のある方は以下のサイトからお気軽にお問い合わせください!
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