ボストン美術館展 芸術×力
なかなかよかった。
権力とアートの関係について、さまざまな切り口から紹介していた。
・権力者自身の姿を描いたアート
・所有することで権力を誇示するアート
・権力について描かれたアート
・神の姿を描くことで自らの権力を示すアート
・権力者が自ら所望して描かせたアート
・権力者自身が描いたアート
といったところ。
メディチ家あたりも出てきそうなトピックだけど、今回は出てこなかった。所有作品になかったのかもしれない。
目玉作品は、平治物語絵巻(権力争いについて描かれたアート)と、吉備大臣入唐絵巻(権力者が描かせたアート)だった。これは両方とも質のいい作品だったが、案内係が「ここは混んでいるから他のところを回ってきてからでも良い」「後ろの人がいるから進んでくれ」といったアナウンスをずっとしていて、作品に集中できなかった。会場に来て一巡すれば鑑賞したことになるという考えが根底にあるのか。こちらはどれだけ多くの情報を見出し、自ら思考できるかという想いで訪れているのに、非常に不愉快だった。
他にはエル・グレコ「祈る聖ドミニクス」もよかった。エル・グレコは、登場人物の不健康そうな感じがいい。そこには俗世離れした、もしくは人間離れした存在感がある。
「おそらくビシャンダースに倣う ジャハーンギールの大使カーンアラムとシャー・アッバース」という作品もおもしろかった。絵の中央に枠があって、その中でカーンアラムとシャー・アッバースが草原に座って話をしているのだが、枠の外にも人がいて、二人をみている。ただし、枠の外は平面というか、草原ではないのだ。
他にはデューラー「マクシミリアン1世の凱旋車」もよかった。
現代においてもアートの中心にいるのは富裕層であって、そう考えると、紀元前2,000年くらいから、アートというものは富裕層のものだったんだなあ、という感想を抱いた。昨今、普通の人にもアートを普及しようという試みが多く行われているが、それは小生のように、ちょっと展覧会にいく程度の普及しかしなくて、所有したり、パトロンになったりということは広まらないだろうから、やっぱりアートは富裕層のもののままだろうなあ。
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