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『短歌往来』2020年7月号

美(は)しきものを美しと感ずる気持ちまで葬(はふ)るがに刈られゆくチューリップ 松本典子 本当に残念な出来事だった。胸が痛かった。この歌はあの時の痛みを表してくれている。自分の中の、美しいものを美しいと感じる気持ちが刈られたのだ。

②「前川佐美雄没後30年」日高堯子〈グローバルな情報世界の広がる現代だが、誰にとっても生の記憶の刻まれた地は意外に狭く、限定されているものだ。佐美雄が生涯をかけて歌った「大和」は・・・〉私たちはどこにでも行けそうな気がするがそうではない。日高の言う「地」を思う。

③楠田立身「前川佐美雄から斎藤史へ」〈(前川佐美雄・石川信雄・斎藤史が)仲間同士で影響を与え合ったことが顕著である〉若き日の繋がりが続いたことの証の一首が挙がっている。〈人にしやべらせわれに歌評をさせ「まあそんなものや」と言ひし前川佐美雄 斎藤史〉この歌生き生きしている。

④谷岡亜紀「信綱から佐美雄へ」〈さて信綱と佐美雄である。作品を比較したい。〉佐佐木信綱から前川佐美雄へ、さらに塚本邦雄へ。近現代短歌を貫く一本の線が見えてくる。

いくばくか聞き惚れておりみずからの授業動画を夜ふけ見直す 大松達知 コロナ休校時に授業動画を配信したのだろう。まず作った動画を自分で見直している。そして自分の授業に少し「聞き惚れて」・・・。もうとっても先生だ。そして素直。動画作るのは大変、本当に。

2020.7.8.~7.9.Twitter より編集再掲