『現代短歌新聞』2022年3月号
①島内景二「辞世の歌」相思はで離(か)れぬる人を留めかね我が身は今ぞ消えはてぬめる 梓弓の女 〈女が再婚の事情を告げると、元の夫は「幸せになってね」と言い、去ってゆく。この瞬間、女の心の中で烈しい火花がはじけ、思いもよらぬ「本当の自分」が姿を現した。〉
『伊勢物語』第二十四段から。何かのきっかけで抑えていた感情が爆発する過程がリアリティを持って書かれている。今回の島内の語りには何かに憑かれたような迫力があった。自分を捨てた男を鬼になって追う話は似たものもあるが、やはり歌があるのがいいのだと思う。
②小塩卓哉「短歌文法道場」〈古語辞典で「ごと」を引くと、「ごとし」の語幹という説明が出てきますが、語の発生の順序から言えば、「ごと」のほうが先にあったと言えます。〉知らなかった。省略か語数合わせだと思っていた。
2022.4.21.Twitterより編集再掲