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『まいだーん』vol.1
2020年2月1日発行 発行人三井修
①ろうそくの火よりも揺れる熟考の夜の岸辺にいま船は着く 千種創一 現代短歌がより象徴性を志向し、王朝和歌の特徴に近づく時、序詞的な技巧が復活するのではないか。上句、序詞と取った。ただ下句も喩に思える。全体、考えに何か目処がついたという印象。
②いわなければいけないことを言うときのどくだみの花くらやみに浮く 千種創一 この歌の上句は序詞ではなく、むしろ表現したい心情だろう。しかし「い」音の繰り返しに言葉遊び的な音韻への愛着も感じる。下句は景とも心象とも取れる。暗闇に浮く白が上句に合っている。
③「又会ふぜ。きつと会ふ。滝の下で」光のような飛沫を浴びて 畑彩子 五七四七七と取った。三島由紀夫の自決を扱った一連の最後の一首。カッコ内は三島の発言だろうか。誰と誰が会うのか。謎を秘めた発言だ。滝の持つイメージが死後の再会を不自然で無いものにしている。
(カッコ内の発言は三島由紀夫『豊饒の海 第一部 春の雪』よりとの吉川宏志氏からのご教示あり。)
2021.7.30.Twitterより編集再掲