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『うた新聞』2021年9月号

①鈴木英子「詩歌の幸福」〈賞を得ることは、機会を得ることと私は思っている。発表の機会が多ければ多いほど作品は磨かれてゆく環境を得る。〉その通りだと思う。正のスパイラルだな。ただ誰でも乗れる訳では無い。そして逆の、負のスパイラルもある。

 〈何を詩歌の幸福とするかは人それぞれだが、受賞者も、賞という形は得られなかった作者たちも、自身の詩歌の幸福を信じながら歩んで欲しい。〉さらっと書いてあるけれど重い。自分にとって「詩歌の幸福」って何だろうと考えてしまった。まだ答えは出ない。

暴言を仰せになり、と書き込んでクレーム対応引継ぎをせり 田宮智美 クレーム対応は辛い業務だ。相手のストレスの捌け口にされることもあるだろう。それを「暴言を仰せ」という皮肉な敬語遣いで扱う態度に微苦笑する。ユーモアが心を救ってくれる場合は多いのだ。

時々はカフェにも寄って あきらめてみればしずかで幸福な日々 田宮智美 ちょっとお茶、という具体的で小さい行動で心が平静に保てる。主体は自分のこととして特化しているが三句以下は誰にでも当てはまるのではないか。みんな何かを諦めて、手に入る幸福を撫でているのでは。

2021.10.28.Twitterより編集再掲