『現代短歌新聞』2020年12月号
①「西藤定氏に聞く」 「勝ち組」の側の歌として評価されたという言葉に〈恵まれた環境にいたのはまちがいない〉〈与えられた環境を自分のために利用する利己心〉をもちあわせて生きてきたと答える。今の世評からは勇気ある発言。そう、誰もが自分の環境の中で詠うしかない。
勝ち組負け組の論点は、短歌の豊穣にはつながらないと思う。
②石井大成「視点」田中翠香の角川短歌賞受賞作に〈作品を読んだ後に受賞のことばを読んだのだが、その前後で確かに鑑賞の質が変わったことを実感した。そして私はその変化を、私の「読みの修行不足」だと捉えたい。〉そうだろうか。修行不足ではなく、変わるのが自然では?
〈本当の意味で歌を、歌人を感受するためには、読者としての自分の「視点」を常に批判的に検討する必要がある。〉それと上記の鑑賞の質が変わることは矛盾しない。虚構と現実を、それと分かっていて、全く同じようには鑑賞できないのではないだろうか。
と思わず力を入れて反論めいたものを書いてしまったが、この文章とてもいい。色々議論したくなる論点がある。
2020.12.27.Twitterより編集再掲